風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

当地方言語彙についての一考察

2005-08-04 | 風屋日記
昨日の反応に気を良くして、今日も引き続き、
当地の方言の中でもごく一般的な語彙について私の考察を述べることにしよう(笑)


「いづい」
痛痒いという意味が一番近いと思うが、ニュアンスはもっとビミョー。
目にゴミが入った時などに「ちょっと目がいづい」などと表現することば。
標準語には適切に訳すことばがないので、とても便利に使える。
もともと「居づい」だと私は思うのだがどうなんだろう。
「~い」というのは名詞にくつけて形容詞化するための活用で、
最近は「エロい」「プロい」などと若い人達が使っている。
同じく形容詞化する活用に「~めく」があるけれど、
「エロめく」「プロめく」「いづめく」ということばは聞かない。
ま、「エロめく」なんてことばもどうかと思うけどね(笑)

「髪をけずる」
字面を見るとそら恐ろしい表現に見えるけれども、実はれっきとした古語。
「黒髪を櫛けずって・・・」という表現が、何かの古典に載っているはず。
漢字で書くと「梳る」と書くが、実は「毛擦る」だと私は睨んでいる。
当地出身の女の子が上京して、ことばのカルチャーショックを受けるのは
この「髪をけずる」が最初だと聞いたことがある。
「えー!? なに!? 削っちゃうワケ? コワーイ!!」と驚かれるんだそうだ。
うん、そう聞こえるかも・・・。

「カッパリとる」
水たまりや小川の中に足を踏み入れ、靴(特に長靴)の中に水が入った状態。
東京時代に友人達にこのことばを教えたら
「そんなに稀にある行為でもないのに決まった表現があるワケ?
 しかもそんなに長い表現をひとことで言い表わしてる。
 岩手弁恐るべし」と言われたことがある(笑)
生活圏によるものか、文化圏によるものか、
はたまた地域の小集団ごとに違うものなのかはわからないが、
「カッパとる」「カッパする」「カッポリする」など、言い方はさまざま。
もともとはその「カッポリ」が語源と思われる。
同じ地域の子が集まる小学校、中学校時代はさほど話題にならないが、
いろんな地域から生徒が集まる高校では、
この表現を取り上げて、どの地域でどう言うかが必ず話題になる。
異文化体験の第1歩だ。
でも大概「それは田舎の言い方だな」という目クソ鼻クソの世界なのだが・・・。

「だぁーれぇー」
「冗談じゃない」とか「何言ってんの」とか「そんなことあるわけないじゃん」みたいな
相手のことばに対する否定的表現に使われる。
英語で言うところの「No way!!」とか「You don't say!!」みたいな感じかな?
「あの娘が好きなのはオメーじゃねぇ!?」
「だぁーれぇー、そんたなごどあるわげねーべ」
という風に、大抵の場合照れ隠しに使われることが多い。
イントネーションが大事で、「だぁー(→)れぇー(↑↓)」となる。
私が子どもの頃、家族旅行で東京へ行きNHKを見学した際の話だが、
「ここで子役としてスカウトされたらどうすっぺね(笑)」
というような、旅行ハイでご機嫌な母の冗談に
「だぁーれぇー(照)」を大声で連発した私。
とうとう母から「ちょっと恥ずかしいからその方言やめてちょうだい」と言われたことがある。
ちなみに漢字で書くと「誰」と味もそっけもなくなるので注意。
コメント (9)
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