風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

時の流れ vol.2

2007-11-21 | 風屋日記
今日私が着ていた、
30年近く前に買ったVANジャケットのネイビーブレザーを見て
一緒にタバコを吸っていたほぼ同年代の社員が
「お、VANですね」と気がついた。
「うん、しばらくタンスに入れてたけど、
 ダイエットして痩せたらまた着られたんだよねー」と私。
「いやー、懐かしいですね。もの持ちがいいなぁ。
 若い頃はこだわりありましたからねー」
「そうそう、昔の方が高い服着てた(笑)
 新入社員の頃はスーツはブルックス・ブラザースかJ・プレス、
 BDシャツもJ・プレスだったなぁ・・・
 ブルックスのスーツなんて1着7~8万してたけど
 今じゃア○キかア○ヤマだもんなー。BDシャツもユ○クロ(笑)」
「今も持ってる何かこだわりの1品ってあるんですか?」
「あ、それこそ30年近く前に買ったトニー・ラマのカウボーイブーツなら
 1年に1度ぐらいまだ履いてるなぁ」

そういえば、先日実家へ行き、久しぶりに自分の部屋に入った時、
独身当時のままになっている部屋のクロゼットの中に
昔懐かしいものが色々あったなぁ。
VANジャケットでいえば、まずウインドブレーカーが3着、
うち1着は当時のVANのアメフトチームであるNAN GUARDSのロゴ入り。
それとプルオーバータイプのBDシャツ。
尾錠がつき、少しテーパードしているコットンパンツ。
他には、すっかり皮が固くなってしまったSHOTのボアジャンバーや
JUNのアウトドアブランドであるBASSETT WALKERのダウン、
(今googleで検索したら、このブランドまだあるんだねー)
そしてどこのブランドかわからないけど
シープスキンのランチコートやネルシャツ、ビエラシャツが何枚か。
極めつけはタンスにあったBOAT HOUSE CLUBの半袖トレーナー(^^;

書棚の上の方は高校~大学時代に読んだ本が収まってるけど
一番下にきれいに並んでいるのはむかーしむかしのMEN'S CLUB。
背文字に「ヘビーデューティー」やら「プレッピー」なんて文字が踊ってる(笑)
(間違って「ヘビービューティー」と言ったヤツがいた。どんだけの美しさ?)
部屋の片隅には、各々表書きの文字を見ただけで誰からのものか今もすぐわかる
封書やハガキの束が箱につめられている。
メールなんぞなかった頃のことだから(アパートに電話すらなかった)、
ココロときめく手紙ばかりじゃなく、男の友人からのも何通かある。
ガラステーブルの上には
飲み屋さんからくすねてきたROBERT BROWNの灰皿や
確か東急ハンズでえらく気に入って買ったペン立てが置いてある。

そこにあったモノ達はみなホコリを被り、素材毎にそれぞれ色褪せていた。
その部屋の住人だったのは21年前まで。
さらにその4年前までそれらのモノ達は私と一緒に東京にあった。
時の流れは続いていて、現に私は今日VANのブレザーを着たんだけど、
この部屋の中だけは時を刻むことを忘れてしまったようだった。
タイムトンネルを通ったような懐かしさを感じたと同時に
いつの間にかそれらのモノ達が身につけてしまっていた静謐さに圧倒されて
しばらく私はそこに立ち尽くしていた。
コメント (10)
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