いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

思い出す腐臭

2023-09-13 10:17:28 | 超・いぶたろう日記
連日のジャニーズ事務所報道にふと思う。
20年前、僕がメジャーを夢見て頑張るバンドマンだった頃。
もしも「業界の有力者」がジャニーみたいなヤツで、
夢の契約と引き換えに、同じようなことを要求されてたら。

僕はそれを呑んだか?
…いや、絶対ないな。死んでもない。言い切れる。

いまだから…というわけじゃない。
いまも昔も、夢よりもずっと大事なものが僕にはある。
それは自分が自分であることの矜持だ。
自惚れや思い上がり、つまり自分がスゴイという意味じゃない。
言ってみれば自分は自分のままでいたい、という強い自己肯定感だ。
イヤなことはイヤ。
お金を積まれようと、夢を叶えてくれるのだとしても、魂は売れない。

…じゃあ、もし僕がまかり間違ってジャニーズにいたら?

この問いは、まあ前提からしてあり得ないんだけど(笑)。
容姿はさて措いても、僕みたいなへそ曲がりが、
あんなところで素直にアイドルなんぞやれるわけがない。
そこへあんなのにあんなこと要求されたら…
…やっぱり、ぶん殴ってでも断固抗って逃げ出したろうな。
迷う余地など1ミリもないよ。

ただ、だからと言って、
被害に遭ったタレントやその卵たちを非難する気持ちは毛頭ない。
彼らにはどうしても叶えたい夢、何を犠牲にしても…という、
それだけの思いがあったのだろうと思う。
僕の場合はそれよりも自身への矜持が大きかったというだけのことで。
僕の方が偉いとかそういうことを言いたいのではない。
足元見られて、一生消えないトラウマ刻まれて、本当に気の毒に思う。

さて。
もしあのバンドのメンバーで、他の誰かが同じようなことを持ちかけられたら?

なんとなく、あいつは確実に受け容れたろうな、と思えてしまう(笑)。
あと条件次第ではもう一人あいつが受け入れたろうなぁ…。
「これが業界なんだから」とか、わかったようなことを言いながら。
「これで売れるんなら惜しくない」とか開き直ったのかな。

まあ、そこまで極端なことはなくとも、
そういうところで彼らと僕とには、価値観に大きな断層があったのは確かだ。
彼らはいつでもヘラヘラして、何を言われても言い返さず、
たとえバンドやメンバーの尊厳が傷つけられても庇うことすらせず、
ずっと尻尾を振り続けてた。

そして同じように媚を売れない僕に、
「大人になれ」「本気で売れたいならこれくらいやれ」
なんて、よく上から説教してた。
いま思うと随分ご立派な処世術を開陳なさっていたなあと思うが、
退散後、彼らが出世した、大物になったという話は、とんと聞かない。

ま、いまやどうでもいいことだし、すべては僕の勝手な憶測だ。
でも、ジャニーズの件をきっかけに、あの頃見た、
業界のほんの入り口のさらに手前の手前くらいから漂い出す腐臭を思い出した。
負け惜しみかもしれないが、僕はあのまま進んでいかなくて本当に良かった。
運よく売れたところで、たぶんどこかで病むか腐るかしてたろうな。
何からも自由に、自分の大事なものを大事にしていられる、
平凡などこにでもある暮らしを送るいまの方が、ずっとずっと幸せだしな。

人生、短いようで意外と長い。
ある時期にはどうしても叶えたい夢だったことも、
年月が経てば変わることもある。
ありふれた平凡の中にかけがえのない幸福や価値を見出すこともある。
一時期の熱情で自分の大切な魂を売ってはいけない。
想像できないくらい後悔することになる。
僕はそう思う。

もうひとつ。
だからこそ、若者の夢につけ込んで、
薄汚い欲望を満たそうとするような連中は、全員地獄に堕ちろ、と思う。

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