鉄人の悲哀

金本監督辞任、か…。
その手腕には是非もあろうし、
今季の成績を考えるとやむを得ないとは思うが…
それにしても残念の一言。

僕は選手金本は大好きだったし、
三顧の礼で監督になってくれた時も嬉しかった。
人気球団で甘え体質のタイガースに、
星野監督ばりの鞭をふるってくれるものと期待していた。
若手登用の方針で、次々と有望な選手が出てきたことも大きい。
長期的な視点でチームを作り上げて欲しいと思っていた。

だのに、やはり３年。
昨年の２位で期待を膨らませた虎党が、
今季の最下位にキレたのは想像に難くない。
掛布と揉め、高山と藤浪を腐らせ、鳥谷を冷遇し、
さらに矢野を２軍に送ったあたりから不穏なものを感じてはいたが、
それでも最強と豪語したチームがまさかの最下位とは。
僕もかなり失望はした。

誰もがイメージを重ねた星野と比べると、金本はメンタル弱いのかもしれない。
星野は（彼も毀誉褒貶あるけど）「自分が人からどう見えるか」を完璧に計算して、
みんなが期待する「男・星野」像を演じきれる強さがあったよね。
金本はそれに比べるとセルフプロデュースがヘタだし、
頑固な割にブレちゃう弱さもあったし、
人望…というか人心掌握の点でも中途半端だったような。
特に同じ記録背負ってた鳥谷への扱いなんかでファンに反感買ってる部分も大きいよね。
また言葉もうまくないしなあ…。

それでも、金本独りにすべて押し付けて誹謗中傷する気にはなれないんだよね。
秋風が吹き始めたあたりから、マスコミもネットも金本叩き一色で、
こういうのは変わらんなあ…と呆れてもいた。

ただ、思えば虎党も贅沢になったもんだよね。
87年から02年までの最下位が定位置だった暗黒時代を思えば、
これくらい、チーム再建の途上だと思って我慢できないもんかな。
自称虎党の集うグループなんかでは目を覆わんばかりの罵詈雑言が溢れる。
本当にファンなんだろか。

写真は、金本が選手時代に2000本安打達成した時の記念メガホン。
これをグラウンドに投げ込んだヤツがいる。
こういう感覚、本当にキライ。
チームというよりこういう下品な自称ファンに絶望して、
同類視されるくらいならファン辞めようかとさえ思う。

しかしこんなことばかりやってて、誰も監督の成り手がいなくならないのかなあ。
掛布でも岡田でも矢野でもいいけど、僕の大好きだった選手たちが、
監督になってしまったばかりにボロクソ言われるようなのは堪え難いなあ。

18年ぶりの優勝の立役者、世界に誇る鉄人の、悲哀に満ちた背番号６が哀しい。
次の犠牲者は、誰だ…？