いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

優勝の資格

2008-10-05 01:35:09 | トラ、トラ、トラ。
僕、思うに。
長いことプロ野球を見ているが、
優勝チームとなるには、勢いだったり、ドラマだったり、
なにがしかの説得力がなければいけないような気がする。
ひりひりするようなデッドヒートの結果でもいい、
しらけるほどの圧倒的な独走でもいい、
それが見ている者を納得させるのだと思う。
これだけの熾烈な争いを勝ち抜いたのだから、
あるいはこれだけの強さを見せたのだから、と。

しかし。

今年のセ・パ両リーグの優勝争いはどうも、それが弱い。
西武は結局連敗中に優勝決定、
しかも決定後もズルズルと負け続けている。
これはどうもいただけない。
CSでぽろっと負けちゃうんじゃないか、
そしてその時この優勝は何の価値も見いだせないほどに
薄れてしまうんじゃないか、
そんな気にさせるのである。

そしてそして、我がタイガース。
一言で言おう。

何をやっとんじゃ。

13.5ゲームを追いつかれたことをとやかく言う気はない。
勝負は水物だし、相手あってのペナントレースだから、
彼我の調子の浮沈によっては、そういうこともあるだろう。
実際、それで面白くなってんだ。
しかも相手は巨人。これは燃える。
独走で決まっちゃうよりはずっと面白い。
むしろ僕は、こうなったことを歓迎していたくらいだ。

振り返れば、
1985年のホームランで彩られた派手な優勝。
2003年の18年ぶり、しかも圧倒的なぶっちぎり優勝。
2005年の甲子園で巨人を倒して決めた優勝。
いずれもそれぞれに違った見所があって、
毎回味のある、思い出に残る優勝だった。
だが、今年。
序盤から独走態勢を固めた虎を見て、
僕の心境は今までにない変化を見せた。
何と贅沢なことに、
飽きているのだ。
十数年待たないと優勝してくれない虎、
人生で数回と見られないはずの優勝が、
2003年・2005年と続き、あろうことかまたそれを手にしようとしている。
それに、どこか飽きているのだ。
何という屈折した心情だろう。

来る日も来る日も勝てない。
内紛に次ぐ内紛。チームはばらばら。
たまに破天荒な連勝を飾るかと思えば、
すぐに定位置に沈む。
そんな十数年の積もり積もった鬱屈が、
思い出したように一気に突き崩される、
その換えがたいカタルシスにこそ、
タイガースファンであることの理由が詰まっているかも知れないのだ。

それが、得られない。…が故の飽き。
しかし、そればかりではないだろう。
「常勝」なんて、巨人や黄金時代の西武のように、
野球そのものの面白さより、勝利至上に徹した結果の、
つまらない野球の代名詞。
それに立ち向かい、たたきつぶす野武士軍団。
それがタイガースであったはずだ。
だから巨人が弱くて面白いはずもない。
強い巨人を倒してこそ、タイガースは輝くのだ。
だから、巨人の猛追で、俄然面白くなった。
巨人とのデッドヒートの末に、それを倒して優勝する。
思えばそんなパターンは夢に描きこそすれ、見たことがない。
…見てみたい。
今までにない形の優勝を提示してくれようとしている。
タイガースに対する期待は再び高まったのである。

が。

そこからの虎のだらしなさったら、なかった。
どうして、直接対決で3連敗よ。
どうして、意地を見せないのよ。
もうプレッシャーでかっちこち。
ここ2回の日本シリーズを思い出さずにいられない。
タイガース伝統の、「ここ一番での弱さ」。
そこが愛される所以でもあるけれど、
相手が巨人となると腹立たしさと情けなさが先に立つ。
優勝をかけた、首位攻防の伝統の一戦で、いいところなく3連敗。
挙げ句、甲子園でも負け、対巨人4連敗。
何ですかこりゃ。やる気あんですか。
つけて加えてヤクルトに5点差ひっくり返されるわ、
今日は今日で勝ちきれないわ、
もう、優勝への執念てヤツをもうちょっと見せてくれないと、
優勝の資格ないんじゃないかと思っちゃうよ。
こんなんで優勝しても、疲れ果ててCSで散るだろう。
増して日本シリーズなんて期待すべくもない。
何だか、なあ。

タイガースへの複雑な思いは募る。
「常勝」の看板、
そんなモノのために金を湯水のように使って、
他チームの選手を強奪するようなチームであって欲しくないのだ。
巨人のクリーンナップは小笠原・ラミレス・李。
そんなんで勝って嬉しいか。
ところがふと見ればタイガースもまた、
新井で金本なんである。
こないだまではシーツもいたのだ。
カープファンにしてみれば巨人も阪神も同類だろう。
それが、堪えられない。
いつからこんなチームになっちまったんだ・・・。
だけど、やっぱり強いと嬉しい。
縦縞のユニフォームに袖を通せば、誰でもつい応援してしまう。
ヤクルト時代は苦しめられ、カネで巨人へ尻尾ふったとこき下ろしていた、
あの広沢ですら、タイガースに来たら応援してしまったのだ。
だから、せめて巨人にだけは勝って欲しい。
そうすれば、すべては勝つために仕方ない、
これもプロの世界なんだと納得できる。
それが、これじゃなあ…。

タイガースは優勝チームたる資格を失いつつある。
そんな気がしている。
JFKの崩壊が、なんだか象徴的で、イヤだ。
もちろん、心の奥底で虎の奮起を期待すればこその、
屈折した情動であることは否めないけれど。

頼む、頑張ってくれ。
原の胴上げだけは、見たくないんだ。
頼む。頼む。
Comments (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする