育成牧場へ移って、10日ほど。
ゴロゴロ転がるほど痛いわけではないが、肢を投げ出して寝る。
食欲もあまりない。
体を伸ばすような姿勢をする(左)。
直腸検査でははっきりした異常は感じない。
超音波画像診断でもはっきりした異常はない。
血液検査では、PCV46%、乳酸値は0.8mmol/?。
輸液だけして様子を診ることにした。
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結局、午後になってもまだ痛い。
直腸検査でははっきりした異常は感じない。しかし、結腸にわずかに肥厚した部分があるような気もする。
超音波でもはっきりした異常は確認できない。しかし、結腸壁にわずかに肥厚している部分があるように見える。
胃内視鏡検査では見える範囲に胃潰瘍はない。
類症鑑別は・・・・・
・結腸左背側変位。これは直腸検査で脾臓と左腎臓の間に触れることができたので否定。
・回盲部重積or狭窄。小腸の膨満が超音波画像や直腸検査で確認できないので、ほぼ否定。
・胃潰瘍。見える範囲には胃潰瘍がないので、ほぼ否定。
20時間以上疝痛が続いているので、開腹手術を勧めなければいけないのかもしれないが、できれば開腹手術したくない馬なのはわかっている・・・・・
便秘の確信がないのに下剤をかけるのはめったにしないことなのだが、硫酸ナトリウムを250g経鼻投与してみた。
結果、疝痛はひどくなって、開腹手術することになった。
開腹手術してみると、結腸捻転だった。
といっても結腸にはチアノーゼはなく、肥厚もほとんどない。わずかに結腸動脈周囲に浮腫があるだけ。
切開した結腸骨盤曲の粘膜も正常。
それでも、盲腸と位置が入れ替わり、腹腔から引っ張り出すのには少し苦労した。
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体を伸ばすような姿勢は、疝痛の時の症状のひとつだ。
結腸が膨満する疝痛のときにこの姿勢をする馬もいるし、
胃拡張の時にこの姿勢をする馬もいる。
鼠径ヘルニアの時にこの姿勢をしめした種雄馬も診たことがある。
診断の鍵にはならないか・・・・・・・
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痛みがひどくなかったり、全身状態がそれほど悪くならない疝痛はかえって開腹手術する決断がつきにくい。
それでも慎重に経過を診て、良くならないようなら手遅れにならないうちに開腹手術する判断をしなければならない。
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今日は、繁殖雌馬の後肢のsarcoid類肉腫の切除手術。
全身麻酔からの覚醒が悪く、胆を冷やす。
頚にまたがってキャメルクラッチホールド。息が切れる。
続いて、繁殖雌馬のEthmoid hematoma 篩骨血腫。
ホルマリン注入療法の2回目なのだが、位置が悪く、うまくいかない。
午後は、1歳馬の副鼻腔蓄膿。円鋸した穴と鼻から膿性鼻汁が流れ出す。
その後、1歳馬の下顎の切歯骨骨折。ほとんど歯は抜けてしまっており、なんとかワイヤー固定したが厳しい。
・・・今日は土曜日だゼ・・・・・・・
ヒトでは各臓器と皮膚分節に関連痛があるので、消化管が特異に発達している草食動物では消化管に関連した関連痛があっても良いような気がします。
体表の触診で原因がわかるようになれば神ですね(笑)
姿勢と関連痛が関係しているのかという点から検討しなければならないのでしょうが。。
土曜日も診療されているのですね。私は昨日、今日と休日出勤をしています。私のような仕事は休日はとても仕事がはかどります。とはいえ連続で1週間も午前様がらみの帰宅だと辛いです(仕事で)、家には「寝に」帰るだけです。
世間で流行の?アラフォーの体にはきついです。あ~年代がばれてしまいましたね(笑)アラフォーの良いイメージ歓迎ですが、実際はいろいろと厳しいです。
病理学的に同じ状態でも、個体によって異なる症状を示したりもするので診断は難しいですね。
フットマッサージや耳のツボが効くとしたら教えてもらいたいものです。動物にはプラセボ効果がでない、でにくいので期待薄でしょう。
私は若い頃ほど眠たくなくなりました(笑)。しかし、無理すると回復しなくなっているのは確実に感じます。アラフィフでは流行り言葉にもなりませんね。
診療以外の仕事は休日に一人静かにやっているとすごくはかどって嬉しくなることがありますが、休日当番だと電話や急患が問題です。結局、オフに出勤して仕事するのが一番ということになります。