以前に障害飛越競技馬の第一指骨骨折の症例について書いたことがある。
乗馬は、競走馬に比べて骨折事故は少ないが、第一指骨・趾骨は折れてしまうことがある。
障害飛越からの着地や、狭い馬場での回転運動が要因になるのだろう。
そして、X線撮影では見つけにくい不完全骨折が前駆病変としてあり、無理をしてとひどい骨折へと悪化しているというパターンもありうる。
Veterinary Surgery 44 (2015) 809-815
Radiographic and Computed Tomographic Configuration of Incomplete Proximal Fractures of the Proximal Phalanx in Horses Not Used for Racing
競走に使われない馬の基節骨の近位部不完全骨折のx線画像とCT上の形態
この文献の、知見のひとつ。
第一指骨(前肢基節骨)の近位部の不完全骨折は、第一趾骨(後肢基節骨)のそれより明らかに背側によっていた(上図)。
後肢第一趾骨の近位不完全骨折の横断面CT像。
骨折線は底側皮質を貫いており、骨の底側に軽度の骨膜反応がある。
染色体様に2重になった骨折パターンは、軟骨下骨の軽度の硬化に囲まれた近くの骨に囲まれている。
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海外ではCTの臨床応用が進んでいて、x線撮影では診断しにくい不完全骨折が診断できるようになっている。
正中の縦骨折でもどの位置にスクリューを入れるべきかの根拠になる。
第一指骨・趾骨はいろいろな折れ方・割れ方をするので、骨折「線」を正しく把握しておきたい。
CTがなくても、CTにより蓄積されたデータを知っておくことは、スクリューの位置の指針になる。
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那須での2月8日は第一指骨の縦骨折の実習もしてもらおうと準備している。
日本の乗馬でも指骨・趾骨骨折が診断され、手術して治るようになるために、乗馬の獣医さんにも参加してもらいたい。
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年末に骨折して、年が明けてゆっくりしてから帰されてきたらしい競走馬。
中足骨外顆の骨折だったが、スクリュー2本で締めたら骨折線は圧迫できた。
中手骨外顆骨折をスクリュー1or2本で内固定するなら、静脈麻酔で、あるいは立位でできるんじゃないかとも思うが、
それは全身麻酔下での充分な経験があっての話かもしれない。
そして、キャストを巻いて、安全に立たさなければならない。
思えば遠くまで来てしまったのかもしれない・・・・・・と遠い目;笑
hig先生が来られるなら、2月8日前後は晴れですね。
毎年厳寒期なので飛行機が飛ぶかヒヤヒヤします。飛行機が飛ばず羽田で泊められたこともあります。実習のためにも暖かくなってくれると良いのですが。