私は、馬の顔の陥没骨折をプレートを使って手術してきた。
フェイスガードのようなものを付けて、それへワイヤーで引張り上げておく、というようなことも試したことがあるが、
結局、皮膚を開いて骨の状態を観て、持ち上げておいてプレートで固定する方がうまく行くことが多いと考えている。
Veterinary Surgeryに犬の上顎顔面骨のプレート固定の症例報告が載っている。
ひどい折れ方で、右上顎が口腔内近くまで割れている。
左下のCT像をみると陥没のひどさがわかる。
7頭の上顎・顔面骨折が扱われているのだが、その原因は・・・
3頭が馬に蹴られた!
1頭が車に轢かれた。
1頭はトラックから落ちた。
1頭は柵の支柱にぶつかった。
1頭はワイン作業場掃除機による。
馬に蹴られる犬が多いんだね~
さすが、USAだ。
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きのうは、
1歳馬の大腿骨滑車OCDの関節鏡手術。
午後は、競走馬の第三中足骨外顆骨折のスクリュー固定。
大荒れの北海道だったが、こちらは大して風も吹かず、雪も5cmほどだった。
これぐらい粉砕したものにスクリューはどれくらい効くのでしょう。
ブリッジをかけてワイヤーで引っ張ってくるという場面もありそうです。
めちゃくちゃになっているのはわかっていても目視で達成する必要があるのでしょう。
実際には粉砕骨折なので、しっかりした固定はできないのですが、持ち上げてとめて置くだけでくっついてくれるのは動かない、体重を支えない部分だからなんでしょう。
人間の頬部を陥没骨折すると その下は副鼻腔なんですが、CTで見るとワンコやお馬さんは鼻腔なんですね。
そう思ってしみじみ犬の顔を見てみましたが ひょっとして 上顎洞が存在していないのでしょうか。
手術は鼻腔側からの汚染もありそうですし、外にドレーンしておかないとよさそうに見えて鼻腔側に血腫や膿が押して行ってややこしいことになりそうです。
犬に上顎洞がない、というのは鋭い指摘です。上顎洞はあるのですが、肉食獣では上顎陥凹と呼ばれ、鼻道の憩室のようになっています。そして、犬の副鼻腔はあまり腔としては発達していません。
馬は馬面のほとんどが副鼻腔になっています。
犬って上顎洞が未発達なので ああいう 顔貌なんですね。
虫歯になっても膿が溜まらなくて便利だなあと思ったのですが、代わりに顔面骨折で簡単に硬口蓋が割れそうなのは恐怖です。
どちらも幸い?奥歯が折れただけで済みましたが、ボーダーコリーは放牧中の馬を追いかけるので躾けないと頭蓋骨陥没もありえますね~(汗)
「マールのドア」のマールには、エルクは見つけろ、バイソンや子牛は追うな、コヨーテはやめとけ、と教えた様子がでてきます。なかなか難しそうです。