電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【ぶらり途中下車御門台】
【ぶらり途中下車御門台】


(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 6 月 25 日の日記再掲)
静岡鉄道御門台駅ではじめて下車した。
自動券売機と自動改札機が導入されて実家最寄りの入江岡駅も無人駅になったけれどが、御門台駅もまた無人駅である。自動改札機を抜けて駅の外に出ようとしたら小さな遮断機が下りていてびっくりした。これは 4 輪や 2 輪の車両が踏切内に進入するのを妨げるのではなくて人が踏切内に立ち入ることを妨げるための遮断機なのだ。
Data:RICOH Caplio R1
言葉で書くと面倒だけれど写真を見れば一目瞭然であり、御門台駅はホームの端が改札口になっていて「上り」「下り」複線 の路線に挟まれた細長い島型の駅であり、改札口が道路に面しているのでこういう事になっている。上り電車が御門台駅を通過する際に下車した客は列車が踏切を通過するまで踏切内に入れない。こういう形式の駅では当たり前の話しだけれど、あらためてびっくりした。
Data:RICOH Caplio R1
郷里静岡県清水出身で東京在住の方からメールをいただき面白い話をうかがった。
静鉄電車は当然東京向きに走る新清水行きが「上り」で新静岡駅が「下り」だろうとばかり思っていたのだけれど、静岡鉄道の時刻表を見ると新静岡行きが「上り」なのでへんだなと思っていた。
お便りによると、通常は鉄道の「上り」「下り」は東京に近い方向へ走る電車を「上り」とするのだけれど、静鉄は「新静岡行き」が「上り」になっていて平行して走っている JR 東海道線とは逆なのだ。これは静鉄がそもそも「軌道」(=路面電車)だったため一般的な鉄道の原則が適用されなかったのだという。この話は講談社新書『鉄道ひとつばなし』原 武史著に掲載されているという。
列車が通過する踏切内に遮断機をくぐって入ってはいけないのは当然のことだけれど、踏切内を歩いていて遮断機が下りてしまったらちょっと嫌な気分である。しかも御門台駅から電車に乗りたい場合はこういう人も出てくるわけで気持ちはわかる。
Data:RICOH Caplio R1
気持ちはわかるけれど人の通行を遮断するためだけにしてはかなりの豪腕を備えた遮断機なので、懲らしめのために頭を痛打されて昏倒しなければいいな、などと心配しつつも笑ってしまう御門台駅前である。
【虹の美術館】
静岡鉄道御門台駅南側有度(うど)山麓に当たる部分は住所が有度本町になる。旧東海道から北の低地に向かう斜面であり市立有度第一小学校のある一角である。その有度本町の西端、御門台駅の踏切端に『虹の美術館』がある。
Data:RICOH Caplio R1
「靉嘔(アイオー)の「虹の部屋」を中心にして、20世紀後半の同時代に活躍した国内外のの現代美術家(瑛九・池田満寿夫・磯辺行久・アンディウォーホルなど)の作品を展示する私設美術館です」(『虹の美術館』サイトの解説より)
靉嘔は数少ない、出身大学芸術学科の先輩でもあるので一度見学したいのだけれどなかなか機会がない。機会などはあるものではなく作るものなので、近日中に再訪しようと思う。実は御門台駅でぶらっと下車するまで、この小さな駅前に小さな美術館があることすら忘れていたのである。
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