電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
▼夏の裸観(らかん)さん
かつて文京区千駄木に住んでいた頃、当時テレビでも時々見かけた人気者、及川裸観(おいかわ らかん)さんに道で何度か遭遇した。
健康普及会ニコニコ裸運動を主宰されていた裸観さんは、1901年岩手県生まれというからすでに80歳を超えられていたはずなのだけれど、半ズボンに上半身裸というおなじみのスタイルで、『ニコニコ裸運動』と書かれたのぼりを持ち「ワハハ、ワハハ」と全身を顔にして笑いながら、元気に歩いておられたのを懐かしく思い出す。



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猛暑の本郷菊坂、正午(まひる)なり。
大人になってから半ズボンをはいたことがなかったのだけれど、なかば「はけ!」と命令するように友だちのカメラマンから半ズボンを贈られて以来、夏になると涼しいので半ズボンを着用している。半ズボンの快適さに夢中になり、半ズボンにアロハシャツ、裸足でサンダル履きという格好で東海道新幹線に乗り、郷里静岡県清水の『清水みなと祭り』に出かけて行って母親をあきれさせたこともあるのだけれど、数年前から半ズボン姿で遠出をするとあまり調子が良くない。清水も明日明後日とみなと祭りのピークを迎えるが天候がかんばしくないらしい。

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アジの開きすら涼しげな本郷菊坂、正午(まひる)なり。
人間年をとると、上半身に比べて下半身に汗をかかなくなると聞いたことがあるが、そのことと関係があるかどうかはわからないけれど、最近半ズボン姿で長時間歩いていると足が冷えてつることが多い。子どもの頃から足が疲れている状態で冷えると足がつりやすく、痛くてたまらないときは蒸しタオルなどを当てて暖めると痙攣が治まるので、冷やすのが良くないのだろうと思っていた。蒸し暑い夏の日でも、団扇で顔を扇ぐと嘘のように涼しいのと同じく、素足で長時間風を切って歩くと足の表面温度がかなり下がるので、足がつる原因になるのではないかと思う。
7月30日も、ノートパソコンに挿しっぱなしにする32GBのSDメモリを買いに出たついでに、健康のため秋葉原から遠回りして歩いて帰ったら、気軽に半ズボンで出たのが失敗で足がつってしまい、途中何度も立ち止まっては何とか帰り着いた。言わんこっちゃない、遠出をする可能性があるときは半ズボンはやめた方がいいと反省しながらも、焼け付くような猛暑で上半身は滝のような汗をかいているので、足の冷えを上半身に回せたらいいのにと思ってふいに裸観さんを思い出した。

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英語でいうところのpetticoat(ペチコート)は仏語でjupon(ジュパン)であり
それが日本語「ズボン」の語源だという。
「ズボン堂」のある本郷菊坂、正午(まひる)なり。
裸観さんは半ズボン姿でも足がつらない人なので半ズボンで良かったったのかもしれない。こちらは足がつる人なので、下半身を温めつつ上半身は冷やしたいわけで、熱を集めやすい黒のタイツで下半身を覆い、上半身は裸になって、風で皮膚表面が冷えるよう上半身を左右に揺すりながら歩いたら、夏の外出は理想的なんじゃないかと思う。ただそれでは、単なる力道山風の怪しいオッサンなので、『ニコニコ頭寒足熱』と書かれたのぼりを持ち「ワハハ、ワハハ」と全身を顔にして笑いながら歩いたらいいんじゃないか、などとできもしないことを夢想しながら、それを本当に実践していた懐かしい「裸の爺様」、及川裸観さんのことを日記に書いてみた。
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母は、病院へ行くのにはきちんとした格好をして行きたいらしいので、たいていスーツかツーピースを選んで何とか着せるのですが、それに小一時間はかかってしまうのでした。
スカートをはかせる際には、「ペチコート」がないとダメだと言い張るのです。
時間を気にしているボクは「そんなものしてもしなくても関係ない」と言うのですが(スカートをはいたことがないので、よく分からないのですが)ガンとして受け入れませんでした。
若いころ身に付けた習慣は、けっして忘れなかったのでしょう。
義母もお母さんと同じくらい小柄なのですが(体重30キロ代半ば)、外出に関してひどく頑固で、隣のコンビニにパンを買いに行くのでさえ、L字型に曲げた腕にハンドバッグを掛けて出かけます。
危ないので両手を空けさせ、背負うお洒落バッグを買ってやっても、矯正不能のまま固まってしまいました。ですから転ぶと前に手がつけず、顔面から倒れてしまい、一昨日も転んで顔に青あざです。若い頃から顔面から転んでいたので、困った身についた習慣は生きている限り抜けないのでしょう。
裸観さんは谷中のそばに住んでいたはずで、東北の人はやはり上野駅の近くに住んでいることが多いですね。
あの頃は笑いを健康法にしている人が多くて、浪越徳治郎も「ワーッハッハ」と良く笑っていました。偉大な世界チャンピオン柴田国明も良く笑う人で、KO負けしても笑っているので、さすがにこの人おかしいんじゃないかと思いましたが、柴田さんも「笑い」を大切にする会に入っていたんですよね。
及川さんや浪越さんと関係あったのかと調べたかったのですが、会の名前がわからなくて挫折です。「ニコニコ」と検索すると動画ばかり出てきちゃうし。