電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
縦書き横書き
2014年12月16日(火)
縦書き横書き
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01
最近タイポという言葉をよくネット上で見かけ、「これは多分タイポだと思うんだけど…」などと用いられている。デザインの仕事をしている者がタイポと聞いて思い浮かべるのはタイポグラフィのことだ。
02
タイポグラフィの意味は時代変遷と共に広義にわたるけれど、簡単に言えば文字を用いた視覚伝達のことで、それを専門にした人をタイポグラファーなどという。
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「これは多分タイポだと思うんだけど…」と用いられる時のタイポは typographical error のことだ。活版組や写真植字で誤字脱字のことを誤植というが、コンピュータでタイピングによって発生する誤字脱字を誤植と呼ぶのはおかしいので、typographical error をつづめてタイポと言っているわけだ。欧米人も略してタイポと呼ぶのかは知らない。
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青空文庫を読んでいるとときどき誤字脱字と思われる箇所を見つける。誤字脱字を見つけたことを指摘するには入力者が用いた底本にあたって確かめるのだけれど、わざわざ国会図書館に行ってそれをやる時間もないのでそのままにしている。
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入力者が打ち間違えたのではなく、底本にそういう間違いがあるのかもしれないし、さらにその底本の元となった手書き原稿を読むことができれば、著者があえてそうしていた可能性もあるのだ。
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先日も日記を書きながら寺田寅彦の随筆を引用したのだけれど、どう見ても入力ミスとしか思えない箇所があったので勝手に直しておいた。「青空文庫ママ」としておくべきか個人の日記だから許されるかどうかは知らない。
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誤字脱字を校正によって根絶することは難しい。定年退職まで鬼の校正をした編集者の友人ですら、完璧な校正は不可能だと言っていた。
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縦組み横組みが切り替えられるエディタが iOS にもあるので愛用している。★1 縦横の文字組み変更をしただけで誤字脱字が見つけやすくなるのが不思議で、これこそタイポグラフィーによる typographical error 発見法だろう。
09
毎日書くことをノルマとして続けている日記でも誤字脱字チェックに苦労するが、最近自動校正してくれるページをネット上で見つけた。★2 便利に使っているがなかなかよくできている。
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前の会社と違っていたのは校正の担当者がいなかったことです。
後々聞いたら、業界では校正の担当者がいることじたいが珍しいことのようでした。
最近、新入社員に少しずつ校正してもらってます。
「なるべく大勢で読もう」
ということをしていましたね。
初めて勤めた会社で、新入社員の時にやらされたのを思い出しました。