◉土に返す

2018年12月10日(月)
僕の寄り道――◉土に返す

井伏鱒二が長崎でもらったコンプラ醤油瓶─コンプラは金冨良と書いて仲買人、ポルトガル語の conprador ─を押入れにしまい込む話を読んでいたら、始末に困った貰い物の焼物を思い出して苦笑いした。わが家のそれは納戸に入っている。

貰い物がいらなくなったときは、くれた人の目につかない場所に捨てなくてはならない。集合住宅内での貰い物ではそれが難しい。人目につかないよう紙で包んで出すと、あやしい投棄と思われるのか、管理者に暴かれて丸見えになっていたりするので危ない。

行政が回収するとはいえ、他人のゴミ捨て場に無断でこっそり捨てるのはいけないことなので、社会のルールを守って始末するのはたいへんだ。友人の自宅や会社を訪ねる際に持参し、お願いして不燃ゴミに出してもらうのがいいかもしれない。

そもそも近所の人からいずれ不燃ゴミ化しそうなものをもらうのはやめたほうがいい。だいたいくれる方もうまいことゴミの始末に他人を利用しているかもしれないのだ。

マンション内の友人がリンゴをくれるというのでもらいに行ったら、数個のリンゴが大きなダンボール箱に入っている。
「箱もあげるから一階の資源ごみ置き場に出しておいてね、ということでしょう」
と言ったらアタリだと笑っていた。


植木を枯らして不用になった土の処分も苦労する。地域のゴミ捨てガイドによると土は回収しないことになっている。

地方都市なら土が露出した場所へ返すこともできるけれど、都会で土のある場所は街路樹の根元くらいしかない。早朝散歩すると家から持ってきた植木鉢をひっくり返し、固まった植木鉢型の土を、せっせと足で踏んでならしている姿を目にする。ミレーに描いてもらいたいセピア色の風景だ。

(2018/12/10)

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