習性


Z7 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

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先日テレビでヒグマ襲撃事件についての番組を見た話を書いた。
ヒグマとは極めて知能の高い動物で、驚くような行動を取る場合がある。
たとえば以前も紹介したが、自分の足跡を慎重に踏みながら戻る「止め足」というテクニックを使い、ハンターの後ろに回りこむことがある。
また冬眠から覚めた母親のヒグマが、雪で滑り台のようなものを作り、小熊を遊ばせていたという目撃談もある。

以上はヒグマの頭の良さを示す例であるが、一方で極めて本能的な動きをすることもある。
たとえばヒグマはヘビに対する恐怖心を持っているそうで、ヘビを見ると驚き、怒り狂って何度も踏み潰すという。
飼育されているヒグマの檻にロープを投げ込んだところ、ヘビと間違えて飛び上がったと聞いたことがある。
恐らく毒をもつヘビへの警戒心が本能に刷り込まれているのだろう。

ヒグマは動くもの、逃げるものを本能的に襲う習性がある。
苫前のヒグマ襲撃事件の際、女子供ばかりが留守番をしていた明景家にヒグマが乱入し、何人もの人が殺害されるという惨劇が起きた。
その際ひとりがやられている間に、もうひとりが逃げようと出口に走ったところ、ヒグマは襲っている人を一度放し、逃げようとした人物に攻撃を加えた。
本能的に逃げるものを優先して追う習性があるのだ。

しかもヒグマの体は筋肉の塊で、とてつもない瞬発力と運動神経を持ち、時速数十キロの速度で走ることが出来る。
遭遇したら絶対に背を向けて逃げてはいけない、と言われる理由がこれである。
本能的に追ってくるし、必ず追いつかれる。

その場を動かず睨み合うことで、相手を落ち着かせ、諦めてくれるのを待つほうが、まだ助かる可能性があるということだ。
相手が人食い熊(人間の味を知っている熊)だった場合、最初からこちらを餌として見ているので、この手は使えない。
しかし通常のヒグマであれば、人間と戦うことを相手も望んでおらず、何もせずに立ち去ってくれる場合もある。

だがもし同行者が恐怖のあまり走り出してしまい、あなたも一緒に追われることになったらどうするか・・・
その場合もヒグマの習性を利用することで、わずかではあるが、あなたが助かる可能性を高めることができる。
走りながら、リュックなどの持ち物を横に投げるのだ。
すると動くものを追いかける習性を持つヒグマは、そちらに興味を示し、何であるか確かめるために一度止まる。

もちろん大したものではないと分かれば、すぐにまたあなたを追ってくるだろう。
次は着ているものなど、そのたびに何かを横に投げることで、時間を稼ぐことが出来る。
そうしているうちに、頑丈な家の中などに辿りつければ、あなたは生き延びることが出来るかもしれない。

不運にもいつかあなたがそのような状況に陥った時には、今日このブログで読んだことを思い出して欲しい。
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