汚し


Z7 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

大きな画像

そろそろ寝ようかと寝室に向かった時、玄関に並んでいるブーツが目に入った。
明日履こうと思い用意したウルヴァリンの1000マイルブーツだ。
貴重なアレン・エドモンズ製のモデルではなく、現在も普通に売られている製品である。
品質はほどほどなのだが、何故か履きやすくて今でも愛用している。

バーガンディのクロムエクセル製で、油をやりすぎて革がクタクタになっている。
比較的安価なブーツということもあり、普段からそれほど気を遣ってはいない。
雨の日に履いてそのまま放置したり、過剰にオイルを与えてみたり・・・
どちらかというと実験台にされてきた靴と言ってもいい。
そのためアッパーには艶が無く、バーガンディ一色ののっぺりとした色合いになっている。

ふと、この茶色いアッパーに、黒いクリームを塗ったらどうなるだろう・・と思った。
クロムエクセルは色に染まりやすいので、外観に何らかの変化があるはずだ。
実は前からやってみたかったのだが、一度やってしまったら元には戻せない。
そのため躊躇して実際にやることはなかった。
それが寝る直前に何故か急に実験してみたくなった(笑)

まずは油性のサフィールノワールのクレム1925の黒を摺り込んでみた。
しかし思ったほど色が浸透していかない。
そこで一度拭き取って、より強く染み込みそうなコロニル1909の黒を使うことにした。
墨汁みたいなベタッとした黒で、かなり浸透力が高そうだ。
タオルに付けて恐る恐る塗ってみると、じわじわとクロムエクセルに黒い色が乗っていく。
と言っても絵の具で塗るような直接的な感じではなく、擦っているうちにやんわりと黒いムラが付いていくのだ。

これはなかなかいい。
ゴシゴシ擦るので、表面に艶も出てきた。
革好きならゾクッとするような色合いに変わってきた。
ペンキを塗ったようにバーガンディ一色だったクロムエクセルに、表情と立体感が出てきた。

最初はトゥだけのつもりだったが、嬉しくなってしまい、サイドやヒールの方にも塗ってみた。
プラモデルの「汚し」のテクニックみたいで、靴がどんどんカッコよくなっていく。
存在感抜群になり、どこの靴だろうと二度見するような外観になった。

という訳で、調子に乗って夜中までかけてクリームを塗ってしまった。
お陰で今日は眠くて仕方が無い。
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )