空腹


Z7 + NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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お昼を食べる時間が取れなかった。
そうしているうちに夕刻になり、仕事の片づけに入ってしまい、夕食を取る時間も無くなってしまった。
やっと仕事が終わったのが夜8時過ぎで、さすがにお腹が空いてふらふらし始めた。

朝8時頃食べたきり、何も口にしていない。
家までもちそうにないので、乗り継ぎの駅で降りてマクドナルドに入った。
何か胃に入れないと体がもたない。

店員が白人の女性だ。
カウンターの向こうにいる4人のうち、3人が白人の女性・・・
マクドナルドの制服を着て忙しく動いている。
残る一人は日本人のようだが、逆に東洋人がひとり混ざっているように見える。

「イラッシャイマセ。店内デオ召シ上ガリデスカ?」
たどたどしい日本語で聞かれて我に返った。
まるで海外にいるような錯覚に陥っていた。
何しろ視界に入っているのは、全員金髪の女性なのだ。

「あの・・このハンバーガーのセット・・セットって何が付くんですか?」
聞いてから、難し過ぎることを聞いてしまったかと後悔した。
「セットハ、サイドトドリンクヲエランデクダサーイ」
またも流暢とは言えない日本語で返されたが、はい分かりましたと答えるしかなかった。

ふと隣のカウンターを見ると、眉の濃いプエルトリコ系の男性が立っている。
別の白人の女性店員がテイクアウトの袋を渡すと
「ドーモアリガトー」
とにこやかな顔で言って、袋を持って出て行った。

強烈な違和感・・・
なぜ無理に日本語で、それも発音のおかしい日本語で話すのだ。
全員外国人なのに。
いや、それでいいのか、ここは日本なのだから。
ん・・? やっぱりおかしい?

ハンバーガーを持って席に着くと、隣は白人の中年の女性ふたりであった。
何やら笑いながら楽しそうに話している。
反対側の隣は眼鏡をかけた白人の男性で、こちらは無言でハンバーガーをかじっている。
ここは日本・・だよなぁ・・・
不安になって辺りを見回すと、日本人は僕ともうひとりいるだけだった。

夜のマックの何となくベタベタした店内で、ひとりハンバーガーを食べた。
出来立てなので、思っていたほど不味くはなかった。
しかしその少々デリカシーに欠ける味に、余計に外国にいるような気分にさせられた。
お腹が空きすぎて幻覚を見ているのだろうか・・・
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