階段


D810 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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駅の階段を、すごい勢いで下りていく人がいる。
ホームに停まっている電車に、何とか飛び乗ろうとしているのだ。
僕のすぐ横をすり抜けて行った。

トントントンと同じ間隔で、何段か飛ばしながら下りていく。
半分空中を飛んでいるようにも見える。
一瞬失敗して踏み外したら、下まで転げ落ちて、大怪我をするだろう。

僕にはあの真似はどうしても出来ない。
上りならまだしも、下りをあの速度で下りるのはとても無理だ。
落ちた時の事を想像しただけで、脳が危険と判断して、直ちに止めるよう命令を発するだろう。

若い頃から苦手だった。
脚をあの速度で動かすことが出来なかった。
だから階段では決して無理をしないようにしている。
意外に女性でも、かなりのスピードで下りて行く人がいるから、あれはきっと生まれながらの才能なのだろう。



オールデン/Jクルーのプレーントゥ。
アッパーはナチュラルのクロムエクセル。
ウォーターロック・ソール
バリーラスト。
サイズは7H-D。

探していたオールデンのナチュラルのクロムエクセルのプレーントゥである。
昨日紹介したMOTOに続いて入手した。
海外のオークションで案外安く手に入った。

Jクルーがオールデンに製造依頼した靴であるが、現在そのブランドで販売するのはまずいのか、インソールに印字されたJクルーのロゴの上からマジックで横棒が引いてある。
オールデンのロゴはそのままである。
安く輸入している僕のオールデンは、マジックで消されたJクルーのものがけっこう多い(笑)

ラストはいつものバリー。
サイズもいつもの7H-Dを入手した。
しかしこの靴との出会いで、7Hが僕にベストではないことが明確になった。

クロムエクセルが、半ば神格化されているほどファンの多い皮革であることはご存知の通り。
しなやかにフィットする傑出した特性の素材だが、一方で少々伸びやすいという欠点も持っている。
まあ、それゆえにあの独特の感触が得られるのであろうが・・・
原皮のクロムエクセルは、世界中で大量の需要があるためか、最近は質が落ちているという噂も聞く。

このオールデンのプレーントゥも、驚くほど履きやすく快適な靴である。
使い始めたその日から、みるみる足の形に合わせて靴が変化していく。
おろした日の夕刻には、もう何年も履いた靴のように、足にしっとりとフィットしていた。

バリーラストのワイズDは、本来僕の足には幅が狭い。
幅で合わせると、その分全長が大きくなり、捨て寸がかなり出てしまう。
カーフなどの素材の場合は、それでもまあ気にせず履いていた。
履いていて不快なわけではないのだ。

ところがクロムエクセルの場合は、足の形に合わせて革が吸い付くように変形するので、外から見ても足のアウトラインが何となくわかる。
その結果、足の先端部分の位置もわかり、捨て寸が相当あることが、見た目でわかってしまうのだ。
今回ナチュラルのクロムエクセルを試したら、濃い色よりそれが明確に出た。
本当なら7H-Dより、7-Eや6.5-EEあたりがベターなのだと思うが、そのサイズが用意されているバリーラストのモデルはごく限られてしまう。



それにしても履きやすい靴である。
ソールはウォーターロックという油分の多いオイルレザーであるが、いつかラバー系に交換して、より実用性を高めようと思っていた。
ところがこのソールとクロムエクセルのアッパーの相性が抜群で、しなやかに曲がり、この靴の絶妙の履き心地に大きく貢献していることに気付いた。
硬くなるであろうラバーには交換せず、ソールはこのままで行くべきと判断した。

僕はクロムエクセルのバリーラストの靴が大好きである。
最初に個人輸入したバーガンディのオールデンもそれであったが、現在でももっともストレスなく履ける靴のひとつであり、出来ればあと何足か欲しいとさえ思っている。
今回のオールデンも、その仲間に入るに違いないと予想していたが、実際素晴らしい履き心地であった。
濃い色と比べると、傷つけないよう気を遣ってしまうのが、欠点といえば欠点か・・・

同じナチュラルのクロムエクセルのプレーントゥであるMOTOの#2111と比べると(下の写真)、形は対照的と言っていいほど違う。
並べてみて、思わず笑ってしまった(笑)

ゴロリとしたMOTOに対して、バリーラストのオールデンは意外にスマートでノーブルな印象を受ける。
履き心地も正反対で、硬くてガッチリとしたMOTOに対し、オールデンはしなやかでよく曲がる。
ナチュラルのクロムエクセルのプレーントゥが一気に2足になったが、ここまで性格が違い、しかもどちらも魅力的となると、これは双方を使い分けていくしかなさそうだ。

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