D3 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

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何かの拍子にしゃがんだ時に、僕の頭のてっぺんを見た母親が、少し薄くなったのではないかと言った。
実は鏡に向かっていても、時折頭の上の方の地肌が見えたような気がして、ドキッとすることがある。
よく見ると、薄くなっているわけではないのだが、髪が少し細く弱々しくなっているようだ。
もともと髪の毛が多くて、うっそうと生えている方だったので、よけいにそう感じるのだ。

人から言われて、よけい鏡の前で頭を気にするようになった。
年齢も50歳に近くなり、同窓生には頭の薄い者が出てきている。
同年代の人には、老眼の人もかなり多い。
実は時計のベルトを交換するにも手元が見えなくて、頭から提げるルーペを買ってみたのだが、かえって使いにくくて外してしまった。
プラモデル作りなども、とてもやる気にならないのは、老眼で見えなくなったことが大きい。

床屋さんで、いつものチーフに頭を刈ってもらっている時、思い切って尋ねてみた。
もしかしたら薄くなっているのに、言うに言えなくて困っているのではないかと思ったのだ。
それに床屋なら専門家であるし、プロ用のいい養毛剤があるのではないかと考えてのことだ。

しかしチーフは、驚いたような顔をし、もう一度僕の髪を見直してから、そんなことは全然ないです、と断言した。
「少なくとも私が担当するようになってから、まったく変わっていませんよ」
チーフは鏡を持ってきて、僕の頭の上にかざして、つむじの辺りを見せてくれ、ほらね、と言った。

少しほっとはしたが、髪の毛が細くなってきたのは事実だと思う。
毎日会っているとわからないものだが、ほんの5年も前の家族の写真を見ると、けっこう変化しているのに驚かされることがある。
僕の場合は、実年齢よりかなり若く見えるようなのだが、そういう細部での年齢は隠せない。
父親も髪の毛の中が薄くなっていたので、僕もそうなる可能性は高いが、出来ればかっこよく薄くなってほしいものだ。
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