酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

独自性と普遍性~緑の党が目指すものは

2018-02-12 18:49:05 | 社会、政治
 石牟礼道子さんが亡くなった。享年90、詩人としても文学史にその名を刻んだ作家の冥福を祈りたい。「苦海浄土 わが水俣病」(1969年)は政官財に破壊され尽くされた人間と自然を捉えた傑作だ。石牟礼さんが提示した課題は、3・11を経た今、重要性をさらに増している。

 4年前に入会した緑の党グリーンズジャパンも、石牟礼さんの遺志を継承している。〝世の中は悪い方向に進んでいる。老い先短い今、悔いを残して死にたくはないから何とかしよう〟と決意したのは2012年の秋だったが、具体的な方法が見つからなかった。

 視界に突然入ってきたのが緑の党だった。「反貧困ネットワーク」のシンポジウムで、壇上に並んだ著名議員たちを軽くいなす高坂勝さん(緑の党共同代表=当時)に瞠目させられた。高坂さんがその後、メディアに頻繁に露出するようになったのは当然といえるだろう。

 都議選補選で杉原浩司さん(現武器輸出反対ネットワーク代表)、参院選比例区で三宅洋平氏と、ともに緑の党公認候補に一票を投じる。都知事選で正しい選択(細川元首相ではなく宇都宮健児氏を支持)したこともあって入会を決意したなんて書くと、真面目に聞こえるが、理由はもう一つあった。

 ブログで記してきたように、俺は「現在が日本文学の黄金期」と考えている。とりわけ社会と歴史を冷徹に見据え、アイデンティティーの浸潤と多様性の重視をテーマに据える池澤夏樹と星野智幸に共感を覚えている。彼らが追求する世界観に共通していたから、緑の党を選んだ。

 緑の党には、オルタナプロジェクト代表として音楽や映画イベントを企画している大場亮さん、「獄友」(3月公開)など多くのドキュメンタリーをプロデュースしてきた陣内直行さん、元ライブハウス経営者の市議など、文化活動に関わってきた会員も多い。でも、この4年間の感想をいえば、〝カルチャーが足らない〟。

 先週末、緑の党総会に参加した。会員の関心の一つは、来年の統一地方選→参院選に向けた他の野党との関係である。オーストリアの大統領は元代表、アイスランドの首相は現党首、ドイツでは自治体首長を輩出するなど、欧州では緑の党は広く浸透している。緩衝材、接着材として長年機能してきたことが大きい。

 結党5年強のグリーンズジャパン最大の〝成功体験〟は、新潟で野党協力の軸になり、参院選と知事選を勝利に導いたことだ。総会では新潟の成果を踏まえ、立憲民主党とのスタンスで議論百出となる。いかに独自性を保ちつつ、普遍性を獲得するか、会員は思い悩んでいるのだ。

 一言居士ゆえ俺も発言する。<脱成長と反グローバリズム>、<格差と貧困の是正>、<供託金違憲訴訟>が緑の党の重要な課題だが、立憲民主党はこの3点をどう考えているのか問うべき、共闘はそこをクリアしてから始まるというのが俺の主張だった。

 <ローカルから希望をつくる 緑の自治体議員の役割と存在意義>と題されたパネルディスカッションが開催された。会員、サポーターの自治体議員6人が壇上に顔を揃えたが、インパクトを覚えたのは、森友問題追及の先鋒になった豊中市議の木村真氏だ。一躍時の人になったが、「自分は常に石を投げ続けてきた。森友はたまたま」と謙遜気味に話していた。

 左翼を自任し、マルクスを引用して議会で質問する木村氏の<僕が緑に期待するのは脱成長=反資本主義。(格差と貧困が拡大した今)リベラルなんてなんぼのもの>という言葉に俺は納得した。今回は木村氏だったが、総会に参加するたび強烈な個性を発見する。〝梁山泊〟っぽい緑の党だが、いずれケミストリーが生じ、ブレークする時が来ると信じている。
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