昨夏のガザ空爆に際し、イスラエル軍が国連施設を含めた無差別攻撃を指令していたことが、「沈黙を破る」(イスラエル元将校、兵士たちによる組織)の告発によって明らかになった。国連の調査とも合致する内容で、パレスチナは国際刑事裁判所に提訴する方向だ。
空爆に抗議する集会やデモに参加し、点と点が繋がっていることを実感した。日本の安倍、イスラエルのネタニヤフ両首相の緊密な関係もあり、集団的自衛権、辺野古移設に反対する日本のリベラル、ラディカルはパレスチナに思いを馳せた。世界共時性の座標軸を見据え、共通の敵の存在を認識したのだ。
英国総選挙の結果が出た。スコットランド国民党(SNP)が労働党の票を奪い、保守党勝利をもたらしたとの分析もある。反安倍に与する側なら、リベラルなSNPに強い共感を覚えるはずで、スコットランドと沖縄を同じ地平で捉える識者も多い。英国と日本もまた、点と点は繋がっている。ちなみに、英国緑の党は115万票を獲得したが1議席にとどまった。
宮崎駿氏が「辺野古基金」共同代表に就任した。宮崎氏といえば、福島の子供たちのための保養施設「球美の里」(広河隆一理事長)のロゴマークをエザインしている。築地本願寺で来月開催される広河氏の講演会には足を運ぶ予定だ。
WOWOWで再放送された2本のドキュメンタリーを紹介する。「失われた琉球の魂を求めて~復帰40年・甦る紅型~」(12年制作)と「愚安亭遊佐~ひとり芝居を生きる」(14年制作)だ。充実した作品に彩りを添えているのが、貫地谷しほりと壇蜜の柔らかいナレーションである。
まずは前者から。紅型(びんがた)とは500年にわたって継承されてきた沖縄の染物だが、オリジナルは戦前に姿を消し、工法の伝承も途絶えた。紅型を作り続けた城間家16代目の栄市さんは、現代的なセンスを加味した伝統の復興を目指している。
沖縄の苦難の歴史が背景になっている。明治政府はアイヌと琉球を、文化とともに弾圧した。紅型も同様で、沖縄戦で工房も焼失する。オリジナルに触れたいと願う栄市さんに、吉報が舞い込んでくる。琉球文化に敬意を抱いたドイツは130年前、多岐にわたる物品を購入した。スタッフはリストに含まれた紅型を、ベルリンの博物館で発見する。
更に、大量の紅型が松坂屋の倉庫に眠っていることが判明する。復帰40年を記念して里帰りした紅型を目の当たりにした栄市さんは、<間の取り方>に感銘を覚えた。沖縄の花鳥風月、美しい自然、とりわけ海を取り込んだ紅型について、栄市さんは「紅型とは沖縄の人の分身。沖縄の人が沖縄の感性を持ち続け、紅型を作り続けることで、それを取り戻すことができる」と語っていた。
愚安亭遊佐の存在を、このドキュメンタリーで知った。愚安亭遊佐は青森県むつ市の漁師の家庭に育ち、上京後は演劇に没頭する。作品の原風景は下北半島の海だ。母(1979年没)の人生をなぞったひとり芝居「人生一発勝負」が転機になり、父の言葉を通して故郷の歴史を綴る「百年語り」など、漁師の不屈の魂を描いた作品が多い。
番組では新作「鬼よ」の公演に向けて稽古する愚安亭遊佐を追う。主人公は原子力船むつの寄港先になった関根浜で抗議活動を続けた兄幸四郎さんで、作品に鎮魂の思いが込められている。<国対漁師>の構図はやがて漁師同士の対立にすり替えられ、情に篤い兄は次第に孤立していった。兄の通夜が営まれたのは東日本大震災の当日で、愚安亭遊佐は「兄の死と津波は、どことなく因縁めいて見えた」と語っている。
愚安亭遊佐は家族や故郷の思いをベースに芝居を作っている。だからこそ、メッセージは空疎ではなく血肉化され、見る者にリアルに伝わっていく。舞台に立つうち、愚安亭遊佐の心に「人生の連れ人たちが浮かび上がってくる」という。愚安亭遊佐はイタコの役割をも担い、死者と生者の魂を邂逅させているのだ。
「鬼よ」の中の「あの海が埋め立てられていく姿は、おまえたち(国家権力)の暴力が起こしたことじゃないか」という印象的な台詞は、そのまま3・11後に汚染水を流出させた福島原発、そして辺野古移設の工事がピンポイントで連なっていく。
二つの作品は、自然への憧憬を軸に、信念と情熱が世界を結ぶ過程を描いていた。10年後、愚安亭遊佐と同じ年になった俺は、どんな風に生きているのだろう。信念と情熱を欠片ほどでも身に着けていたいのだが……。
空爆に抗議する集会やデモに参加し、点と点が繋がっていることを実感した。日本の安倍、イスラエルのネタニヤフ両首相の緊密な関係もあり、集団的自衛権、辺野古移設に反対する日本のリベラル、ラディカルはパレスチナに思いを馳せた。世界共時性の座標軸を見据え、共通の敵の存在を認識したのだ。
英国総選挙の結果が出た。スコットランド国民党(SNP)が労働党の票を奪い、保守党勝利をもたらしたとの分析もある。反安倍に与する側なら、リベラルなSNPに強い共感を覚えるはずで、スコットランドと沖縄を同じ地平で捉える識者も多い。英国と日本もまた、点と点は繋がっている。ちなみに、英国緑の党は115万票を獲得したが1議席にとどまった。
宮崎駿氏が「辺野古基金」共同代表に就任した。宮崎氏といえば、福島の子供たちのための保養施設「球美の里」(広河隆一理事長)のロゴマークをエザインしている。築地本願寺で来月開催される広河氏の講演会には足を運ぶ予定だ。
WOWOWで再放送された2本のドキュメンタリーを紹介する。「失われた琉球の魂を求めて~復帰40年・甦る紅型~」(12年制作)と「愚安亭遊佐~ひとり芝居を生きる」(14年制作)だ。充実した作品に彩りを添えているのが、貫地谷しほりと壇蜜の柔らかいナレーションである。
まずは前者から。紅型(びんがた)とは500年にわたって継承されてきた沖縄の染物だが、オリジナルは戦前に姿を消し、工法の伝承も途絶えた。紅型を作り続けた城間家16代目の栄市さんは、現代的なセンスを加味した伝統の復興を目指している。
沖縄の苦難の歴史が背景になっている。明治政府はアイヌと琉球を、文化とともに弾圧した。紅型も同様で、沖縄戦で工房も焼失する。オリジナルに触れたいと願う栄市さんに、吉報が舞い込んでくる。琉球文化に敬意を抱いたドイツは130年前、多岐にわたる物品を購入した。スタッフはリストに含まれた紅型を、ベルリンの博物館で発見する。
更に、大量の紅型が松坂屋の倉庫に眠っていることが判明する。復帰40年を記念して里帰りした紅型を目の当たりにした栄市さんは、<間の取り方>に感銘を覚えた。沖縄の花鳥風月、美しい自然、とりわけ海を取り込んだ紅型について、栄市さんは「紅型とは沖縄の人の分身。沖縄の人が沖縄の感性を持ち続け、紅型を作り続けることで、それを取り戻すことができる」と語っていた。
愚安亭遊佐の存在を、このドキュメンタリーで知った。愚安亭遊佐は青森県むつ市の漁師の家庭に育ち、上京後は演劇に没頭する。作品の原風景は下北半島の海だ。母(1979年没)の人生をなぞったひとり芝居「人生一発勝負」が転機になり、父の言葉を通して故郷の歴史を綴る「百年語り」など、漁師の不屈の魂を描いた作品が多い。
番組では新作「鬼よ」の公演に向けて稽古する愚安亭遊佐を追う。主人公は原子力船むつの寄港先になった関根浜で抗議活動を続けた兄幸四郎さんで、作品に鎮魂の思いが込められている。<国対漁師>の構図はやがて漁師同士の対立にすり替えられ、情に篤い兄は次第に孤立していった。兄の通夜が営まれたのは東日本大震災の当日で、愚安亭遊佐は「兄の死と津波は、どことなく因縁めいて見えた」と語っている。
愚安亭遊佐は家族や故郷の思いをベースに芝居を作っている。だからこそ、メッセージは空疎ではなく血肉化され、見る者にリアルに伝わっていく。舞台に立つうち、愚安亭遊佐の心に「人生の連れ人たちが浮かび上がってくる」という。愚安亭遊佐はイタコの役割をも担い、死者と生者の魂を邂逅させているのだ。
「鬼よ」の中の「あの海が埋め立てられていく姿は、おまえたち(国家権力)の暴力が起こしたことじゃないか」という印象的な台詞は、そのまま3・11後に汚染水を流出させた福島原発、そして辺野古移設の工事がピンポイントで連なっていく。
二つの作品は、自然への憧憬を軸に、信念と情熱が世界を結ぶ過程を描いていた。10年後、愚安亭遊佐と同じ年になった俺は、どんな風に生きているのだろう。信念と情熱を欠片ほどでも身に着けていたいのだが……。