酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

今年の映画ベストテン&有馬記念

2012-12-21 13:34:16 | 戯れ言
 朴槿恵韓国新大統領は、安倍晋三新首相と系譜が重なっている。父の朴正煕元大統領は親日派で知られていたし、安倍氏は親韓派の清和会嫡流で、祖父の岸信介氏、父の晋太郎氏は韓国政財界に人脈を築いた。両者は年齢も近く、子供の頃から面識があっても不思議はない。

 仕事先の夕刊紙で興味深い記事を見つけた。春名幹男早大客員教授の連載である。春名氏は共同通信記者時代、シーファー駐日米大使公邸に招かれた。安倍前政権がスタートした時期である。大使は昼食会の席で、小泉前首相が元慰安婦に寄せた「お詫びと反省」を読み上げる。この〝事件〟は効果てきめんで、安倍首相は渡米した際、従来の発言を撤回し、小泉氏と同様の見解をブッシュ大統領に伝えたという。

 財界と創価学会のパイプを用い、前政権時に生じた日中の亀裂を修繕したのは安倍氏だった。中韓への対応は保守派の目に裏切りと映ったようだが、今回もオバマ大統領の意向に従い、柔軟に対応する可能性が高い。公明党との連立キープをその布石とみる識者もいる。

 今年もあと10日となった。この時期のお約束といえば<一年を振り返る>で、今回は映画館に足を運んだ作品からベストテンを選んでみた。

①「預言者」(ジャック・オーディアール)
②「さあ帰ろう、ペダルをこいで」(ステファン・コマンダレフ)
③「ル・アーヴルの靴みがき」(アキ・カウリスマキ)
④「ニッポンの嘘~報道写真家 福島菊次郎90歳」(長谷川三郎)
⑤「ヒミズ」(園子温)
⑥「希望の国」(園子温)
⑦「高地戦」(チャン・フン)
⑧「最強のふたり」(エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ)
⑨「永遠の僕たち」(ガス・ヴァン・サント)
⑩「サニー 永遠の仲間たち」(カン・ヒュンチュル)

 番外編は順不同に以下の5作だ。
「コッホ先生と僕らの革命」(セバスチャン・グロブラー)
「ミッション・インポッシブル」(ブラッド・バード)
「セブン・デイズ・イン・ハバナ」(ベニチオ・デル・トロほか)
「ミッドナイト・イン・パリ」(ウディ・アレン)
「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」(テイト・テイラー)

 素直に選んだつもりだったが、知らず知らずのうちにバイアスが掛かっていたようだ。上位3作と「最強のふたり」は、切り口は異なるものの、いずれも<移民>をモチーフに描いた作品である。異質な存在と向き合い、偏見を克服して新たなコミュニティーを目指すというヨーロッパの理想が、各作品から窺える。

 1位の「預言者」は、人間の本質を抉る目、実験性、転調によるラストのカタルシスが印象的で、フレンチノワール色の濃いエンターテインメントだった。良質な作品なのに客席はガラガラという点で共通していたのは「さあ帰ろう、ペダルをこいで」である。第2のキーワードは、①③⑧と「ミッドナイト――」の舞台だった<フランス>で、第3は当たり外れはあるものの、⑦と⑩に感銘を覚えた<韓国映画>だ。

 第4のキーワードは、4~6位の邦画3作に色濃く反映している<3・11>だ。福島菊次郎の不屈の精神、園子温の志の高さには敬意を表するしかない。園は独特の方法論を維持しつつ、震災と原発事故を正面から見据えている。復活を願っているのは是枝裕和だ。シャープな映像感覚と骨太の作家性を併せ持っているのに、園に引き離された感がある。テレビドラマ「ゴーイングマイホーム」の視聴率は悲惨だったようだが、力を注ぐ場所を間違えているのでは……。

 邦画では役所広司、阿部寛、堺雅人、井浦新の4人がフル稼働していた。それぞれの主演作「キツツキと雨」、「テルマエ・ロマエ」、「鍵泥棒のメソッド」、「かぞくのくに」はいずれも秀作で、日本映画の底上げを感じた。最も記憶に残った男優を挙げるなら、「臨場劇場版」の柄本佑だ。父は柄本明、妻は安藤サクラ、義父は奥田瑛二……。濃い一族に団欒はあるのだろうか。

 最後に、有馬記念の予想を。◎⑬ゴールドシップ、○⑯ルルーシュ、▲⑨ルーラーシップ、注③スカイディグニティ。3連単は⑬1頭軸マルチで、<⑬⑯⑨><⑬⑯⑨③><⑬⑯⑨③>の14点。この週末、俺にとって最も重要なレースは有馬記念ではなく、POG指名馬ノーブルコロネットが参戦する月曜阪神の万両賞だ。ハイレベルの一戦だが、ここを勝ち抜けたら一気にオークス候補に浮上するだろう。

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