酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

21世紀型管理社会の恐怖~空騒ぎの陰で起きていること

2011-06-03 02:31:01 | 社会、政治
 「凄いことが起きたね」と整理記者Yさん(演劇ジャーナリスト)が、超常現象を報じる毎日新聞のHPを教えてくれた。立川市で同時に現れた日暈と環水平アークのことである。日暈は白虹とも呼ばれ、大乱の凶兆とされてきた。

 1919年の白虹事件は、自然現象によるものではない。大正デモクラシーを支持し、反政府の論陣を張っていた大阪朝日新聞が、記事中の「白虹日を貫けり」を咎められる。<白虹=凶器、日=始皇帝>(「史記」)を日本に置き換えれば天皇暗殺になると、寺内内閣と気脈を通じた右翼が弾圧の先陣を切った。

 くしくも4年後、摂政宮(後の昭和天皇)が襲撃される虎ノ門事件が起きた。警護責任者として懲戒処分を受けたのは、関東大震災時、朝鮮人虐殺のきっかけをつくった〝原子力の父〟正力松太郎(当時警察官僚トップ)である。

 大乱のきっかけになる可能性もあった菅内閣不信任案は、空騒ぎに終わった。2年9カ月前の喧騒はどこへやら、俺が政権交代に期待した格差是正、閉塞感打破、情報公開、アメリカからの自立は一つとして達成の見込みがない。投票所でしか〝革命〟を起こさないツケを、日本人は払っているというべきか。〝本籍ワシントン〟の前原元民主党代表、嘘を垂れ流した枝野官房長官が次期首相候補という現実に、暗澹たる気分になる。

 麻生政権でさえ躊躇したコンピューター監視法が衆院で可決された。ネット時代の治安維持法(1925年)というべき悪法は、前倒しで形になっていた。<被災地で窃盗が横行している>という記述など計7件が、警察庁の要求によって削除されているからだ。

 監視システム<万里の長城>の責任者、方浜興氏(北京郵電大学長)に卵と靴を投げつけた学生が現地でヒーローになっているが、中国ではネット検閲体制が確立している。<グーグルVS中国当局>は表向き善と悪の戦いだが、実態は巨悪同士の潰し合いだ。グーグルがペンタゴンと組んでネット監視に取り組んでいることは、小泉政権を支えた岸博幸氏(現慶応大大学院教授)が指摘している通りである。

 政府や保安院が伝える情報=真実、それ以外=風評……。菅政権の企図はネットによって倒立させられたが、コンピューター監視法が正常に機能したら、真実は黒く塗り潰される。冒頭のYさんは反原発イベントの企画に加わるなど、ラディカルな姿勢を貫いている。「そのうちブログが“Not found“になるかもしれませんね」と言うと、Yさんは苦笑していた。

 その点、弱小ブロガーたる俺はお目こぼし確実なので、最近の思いつきを記したい。関東以北は6月と思えない低温が続いている。カール・セーガン(宇宙物理学者)が提唱した<核の冬>現象ではなかろうか……。7月になれば妄想だったことがはっきりするが、日本は国土が狭い分、放射能の被害がより深刻になるのは言うまでもない。

 ネット徘徊中、<孫正義叩き>という集合体モンスターに遭遇する。ウィキペディアの記述も酷いもので、脱原発へのシフトチェンジや被災地への高額義援金も、<在日>であることの〝罪〟を償うに至らないと言いたげだ。広島と長崎の被爆者には強制連行された朝鮮人が数多く含まれる。福島原発事故による被曝も、いずれアジア各国で報告されるだろう。モンスターにはまず、この事実を踏まえてほしい。

 白虹、大震災、差別意識、言論弾圧……。日本の近現代史を俯瞰で眺めると、薄らと光る謎めいた欠片が数珠になって浮かんでくる。90年前と現在は重なる部分も大きいが、決定的な違いは民衆の活力だ。<淫売と失業とストライキより記事が無い>と争議が頻発する当時の世情を詠んだ鶴彬については、近いうちに記すことにする。

コメント (2)
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