大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2017年02月15日 | 植物

<1874> 余聞・余話 「葉について(4)」 ( 勉強ノートより )

    生きるとは果して哀楽喜怒のうちこの身周囲に関はりながら

 (3) 葉のつき方

 葉は茎や枝木につき、種によって一定の配列様式にともなってつく。これはどういう因果によってそうなっているのか、遺伝子上の違いであろうが、植物の大昔からの因果(経験)によるものと思われる。これは花にも言えることであるが、植物の葉を見ていると、そのつき方には一定の様式をもってあることがわかる。ここでは、その葉のつき方の様式の違いについて見てみたいと思う。(図参照)

                

 互生葉序――――――――---茎の一節に1個の葉がつく様式を互生葉序といい、略して互生という。多くの場合、葉の茎に対する着点が茎の周りに螺旋状に配列するので、これについては螺生という。種によって螺生の現れ方はさまざまで、密なものとそうでないものが見られる。言わば、互生葉序は茎に対して角度を変えて互い違いにつくものであるが、ウワバミソウのように茎に対し、90度と270度の2列に並列してつく2列互生のものやコクサギのように角度が180度、90度、180度、270度が順に現われる4列互生に配列されるものが希に見られる。

 対生葉序――――――――---茎の節に2個の葉がつく様式を対生葉序といい、略して対生という。中でも葉の茎に対する着点の直列線が等間隔に4本に及ぶものを十字対生という。対生葉序のほとんど全ては十字対生で、双子葉植物の特徴となっている。ツルアリドウシの場合は茎が地を這うので、葉は平面上に並ぶが着点の直列線は4本であるから十字対生である。直列線が2本の場合は希に見られ、これは2列対生といい、ヒノキバヤドリギに見られる。また、直列線の4本が等間隔でないものも見られ、この場合は複2列対生といい、コニシキソウに見られる。直列線が6本以上に及ぶものは複系2列対生といい、カヤなどに見られる。

 輪生葉序――――――――---茎の1節に複数の葉がつくつき方を輪生葉序といい、略して輪生という。言わば、2個つく場合も輪生であるが、この場合は対生というのが普通である。3個の場合は3輪生、4個の場合は4輪生、5個の場合は5輪生といった具合になり、不定数の場合は単に輪生という。輪生にもエンレイソウ(3輪生)やツクバネソウ(4輪生)のように一定しているものもあれば、ツリガネニンジン(3~5輪生)やヨツバヒヨドリ(3~4輪生)のように一定しないものもある。また、クルマユリのように1つの茎に輪生と互生の葉が見られるものもある。

 以上は茎に対する葉のつく位置関係によるものであるが、葉が茎につく姿の特殊性によって見る場合がある。ほとんどの葉は無柄、有柄の違いはあっても茎に普通につくが、植物によっては特殊なつき方を見せる。例えば、ヤマトキソウのように茎に流れてつく葉、ノゲシのように茎を抱いてつく葉、ツキヌキニンドウのように茎が葉の中央を突き抜ける形につく葉、ツユクサのように葉の基部が筒になって茎に合着し鞘状になる葉などが見られる。(図参照)

           

(4) 特殊な葉

 根生葉とロゼット葉―――――-根生葉は根出葉とも呼ばれ、あたかも地中の根から生じているような葉をいう。正確には地上茎の基部の節につく葉である。シダ植物と草本植物の被子植物に広く見られる。スミレのように根生葉だけの植物もあるが、キセルアザミのように根生葉と地上茎の上の方につく葉がともに見られるものがあり、この場合、茎につく葉は茎生葉、略して茎葉という。根生葉の中で、冬にも枯死することなく、放射状に重なり合ってつき、地表に密着して越冬する葉をロゼット葉という。タンポポがよい例で、概ね、ロゼットは夏以降に展開した葉によってつくられ、それらの葉群の下に春から夏にかけて生じ、枯れかかった古い葉が見られる(図参照)。

 低出葉と高出葉と前出葉―――植物本体の下部につくられる普通葉以外の葉を低出葉という。低出葉には芽鱗、托葉だけの葉、鞘葉鱗片葉などがある。一方、高出葉は植物本体の上部につくられる花葉以外の特殊な葉をいう。高出葉の代表的な例は、総苞片,小苞で、普通葉と異なる。また、前出葉は植物本体の第一、第二の節につくられる葉で、側芽に最初につくられる葉である。ユズの棘は前出葉の好例である。

 鱗片葉―――――――――――光合成を行なわず、普通葉より著しく小さくなった葉を鱗片葉という。ただし、鱗片葉が芽を被う場合は芽鱗、花芽を腋に持つ場合は苞(苞葉)、花を構成する場合は花葉、裸子植物の雌の球花や球果をつくる場合は果鱗という。

(5) 束生と叢生

 植物本体の先端にあって、極めて節間の短縮した複数の節に葉が互いに近接して束になってつく場合を束生という。束生する葉の全体は葉束と呼ぶ。単子葉植物に見られる根生葉は普通束生である。このような状況が花茎や根茎に見られる場合にも束生という言い方をする。これに対し、地上茎の下部あるいは地下茎の側芽から新しい茎を生じ、互いに接し、株立ちになる場合を叢生という。ススキが好例。 写真は上段左から互生葉のヤマグワ、4列互生葉のコクサギ、対生葉のサワオトギリ、輪生葉のクルマバソウ。下段は単子葉植物で、葉が鞘状になるススキの群生風景とロゼット葉のショウジョウバカマ。 

 


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