コミュニケーション能力の高さとは、「相手の使った言葉の背景、つまり、相手の状況や、そこで持つであろう意図を想像して、相手の気持ちに寄り添えるかどうか」だと思います。
言葉には、様々な解釈の可能性があり、相手がどのような立ち位置にあるのか、何を求めているのかを考えようとすることが大切だと思います。
確かに、最近は、そこまで考えたコミュニケーションができる人にお目にかかることが少なくなったように感じます。それは、生活全般があわただしくなっていること、相手の立場に立って物事を考えなくなったこと、言葉に対する感覚が雑になってきたこと、実際の人間関係や実体験という経験値が低くなったこと、などが原因のように私は思います。
例えば、「確認をする」といったときに、上司なりしかるべき人に確認するのはもちろんのこと、待たせている人間の心理状態や時間の過ごし方などについても配慮し、適切な情報を伝えることが大切です。他にも、情報を伝えたり、協力を得ることが必要な人たちがいるかもしれません。そのすべてを瞬時に判断して、聞くこと、話すこと、書くこと、読むことを適切に実行できるかどうかが大切です。
そして、そこには他人に対する心構えや、自分自身への甘さに立ち向かう姿勢も大切です。他人に対する心構えとは、例えば「区別なく敬意を払うこと」であり、自分自身への甘さとは、例えば「ちょっとぐらいいいか」と思うような心持のことです。
伝える側にも、自分の意図を明確に伝える力が必要になります。相手がわかっていないことを読み取る力、勘違いしそうなところを予測し、先回りして言う力も大切です。「相手の理解力が低い」と常に相手に責任があるように思う人も多いのですが、「自分の伝え方の行き届かなさ」を反省する力も必要です。私も行き届かない一人です。
相手の状況をよく把握し、そうした状況が、その人の心理に何を引き起こすのかを予測できるようにならなければ、良きコミュニケーションができている状態とは言い難いのだろうと思います。