谷川俊太郎さんが亡くなりました。私たちもいつの日にか、この世に、そして共に生きてきた皆さんに、「さようなら」を告げる日が来ます。現代の社会においては、私たちの生活から死の匂いが遠ざかってしまい、死を色濃く感じる機会が失われたように思います。しかし、死は万人に平等に訪れるものです。だから、できる限り死を身近に感じていなければならないと思います。命を大切にする心、二度と無い生を大切にする心というものも、そこから生まれてきているように感じます。死に対する感性を失わないために、そして、生に対する感性を失わないために、谷川俊太郎さんの「さようなら」を読み返してみたいと思います。
さようなら 谷川俊太郎
「ぼくもういかなきゃなんない
すぐいかなきゃなんない
どこへいくのかわからないけど
さくらなみきのしたをとおって
おおどおりをしんごうでわたって
いつもながめてるやまをめじるしに
ひとりでいかなきゃなんない
どうしてなのかしらないけど
おかあさんごめんなさい
おとうさんにやさしくしてあげて
ぼくすききらいいわずになんでもたべる
ほんもいまよりたくさんよむとおもう
よるになったらほしをみる
ひるはいろんなひととはなしをする
そしてきっといちばんすきなものをみつける
みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる
だからとおくにいてもさびしくないよ
ぼくもういかなきゃなんない」
合掌