つきみそう

平成元年に出版した処女歌集の名

縄文時代のこと

2022-08-12 | Weblog

伊勢雅臣氏のメルマガより

1.日本列島から出土した世界最古の土器の一つ


2018年、東京・上野の国立博物館での縄文展を見た。

大変な人気であった。

特に中国やメソポタミアなどの
土器との比較もできるようになっていて、
縄文時代の火炎土器は年代もはるかに古いのに、
立体的な造形美は比較にならないほど美しかった。

また、細かい縄紋、すなわち縄目の模様の
精巧さにも驚かされた。

現在、世界最古と考えられている土器の一つが、
青森県大平山元(おおだいらやまもと)遺跡から
出土したもので約1万6500年前。

これは模様のない無文土器だが、
約1万4500年前ごろには、
粘土ひもをはりつけた「隆線文土器」が生まれ、
全国に広がっている。

世界の他の地域では、
南アジア、西アジア、アフリカでの最古は約9千年前、
ヨーロッパが約8500年前で、
これらに比べると、飛び抜けて古い。

岡村道雄・元文化庁主任文化財調査官は、
日本列島の土器は「質量ともに世界の他の時代や
地域のものとくらべても際立っている」
と述べている。[1, p53]

従来の歴史では、メソポタミア、エジプト、
インダス、中国が世界の「4大文明」であり、
日本は文明を中国から教わった
後進地域だった、と教わった。

近年の考古学はその歴史観を覆しつつある。

しかし、なぜユーラシア大陸の東端にある日本列島で、
世界最古の土器が出てくるのだろうか?

■2.縄文人たちの「持続可能な開発」

従来の文明観では、石器時代の人類は
狩猟・採集による移動生活を送っていたが、
約1万2千年前くらいから、
世界の各地で農耕と牧畜を始めて
ようやく定住生活ができるようになり、
そこから文明が始まったというものだった。

この文明観から完全にはみ出しているのが、
1万5千年前くらいから始まった日本の縄文時代だった。

そこで我々の先人たちは狩猟や採集のまま
定住生活を始めたのである。

日本列島を巡る海では寒流と暖流が
ぶつかり合って世界有数の漁場をなし、
豊かな森林からは木の実やキノコなどがとれた。

さらにイノシシやシカ、ウサギなどの動物も豊富だった。

こうした自然の恵みで、縄文人は
農耕や牧畜をしなくとも、
四季折々の豊かな食物に恵まれていたのである。

一般に、農耕・牧畜は狩猟・採集よりは
進んだ文明段階であると考えられているが、
メソポタミア、エジプト、インダス、中国の黄河流域が
みな砂漠化している事を考えれば、
農耕・牧畜が自然破壊を伴っていることがよく分かる。

森を切り開いて畑にすれば、樹木がなくなって
やがて表面の土壌が失われてしまう(水田は別だが)。

牧畜でも家畜が草の芽まで食べてしまうので、
植生が失われ、土壌が劣化する。

それに比べれば、縄文人たちは
1万年以上もこの日本列島で暮らし、
しかも豊かな自然を残してくれたのである。

近年、国連が「持続可能な開発」
(Sustainable Development) という概念を打ち出したが、
縄文人たちの生活はまさにそのお手本なのである。

コメント
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