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「私の世界」で孤立を楽しむ

ハイアラキーの世界と配置の世界

 思惑を超えている。そういう風に見える。ハイアラキカルな人からすると、配置の考えとか位相化した社会は。

「私の世界」で孤立を楽しむ

 全部の力を出し切って、それぞれが幸せになるには、それしかない。それが「私の世界」です。その前提は孤立と孤独。

 本当に、孤立を楽しむ方法は無いのか。孤立といっても、人との接触が無いだけで、メディアとの接触はあるし、描かれるのは人間が作ったモノだけです。もっと、内面な世界は禅の世界しか無いのか。

 自分という存在を否定できない以上は、自分との対話になるしか無い。一歩譲っても、未唯との対話です。
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未唯宇宙詳細 9.5~9.8

9.5 サファイア機能

 Sa-fire

  ファシリテーション

   ①内に寄り添う
   ②持続可能性
   ③パートナー
   ④循環の始まり

  エンパワーメント

   ①危機感の体現
   ②環境問題
   ③市民の覚醒
   ④勇気づける

  インタープリテーション

   ①企画に働き掛け
   ②生活の最適化
   ③共有意識
   ④社会構造を認識

  リアライゼーション

   ①エネルギー源
   ②企業の役割
   ③全体の最適化
   ④環境社会を提言

 循環

  はじまり

   ①Local Think
   ②地域を考える
   ③状況を表現
   ④意思をまとめる

  内なる力

   ①Local Act
   ②環境意識
   ③存在をカタチに
   ④内なる合意

  全体を企画

   ①Global Think
   ②先を知る
   ③技術的な課題解決
   ④外と内をつなぐ

  外なる力

   ①Global Act
   ②目標の明確化
   ③危機意識
   ④武器を準備

 支援

  意思決定

   ①問題意識
   ②市民の分化
   ③地域に関心
   ④シナリオ

  知識と意識

   ①コミュニティ
   ②危機感を表現
   ③安全に発信
   ④行政を動かす

  地域の境界

   ①道州制の意味
   ②地域インフラ
   ③地域を越える
   ④ネットでつなぐ

  取り込み

   ①環境問題
   ②生活者
   ③地域の配置
   ④ソフト化

 勇気づける

  考える

   ①意見集約
   ②提案をカタチに
   ③環境意識を展開
   ④環境問題に向かう

  まとまる

   ①チーム設定
   ②様々な世界を融合
   ③ロジック展開
   ④多様性を生かす

  専門性

   ①異なる立場
   ②認識を先鋭化
   ③専門領域
   ④互いに使いこなす

  合意形成

   ①論理の明確化
   ②個人の意見重視
   ③分化と統合
   ④新しい民主制

9.6 サファイア革命

 配置の世界

  137億年の物語

   ①個人の存在理由
   ②破壊のあとの進化
   ③地中海は三回生成
   ④歴史という枠

  ハイアラキー

   ①所与の民主主義
   ②維新で中央集権化
   ③憲法改正で瓦解
   ④多様化とグローバル

  集中の限界

   ①農業立国
   ②依存体質
   ③国家の限界
   ④インフラ再構築

  配置に移行

   ①最終は個人=超国家
   ②サファイア循環
   ③歴史の折り返し
   ④内なる世界

 ゆっくり進む

  役割を認識

   ①全体を考える
   ②先を見る
   ③持続可能性
   ④行政を巻き込む

  覚醒

   ①内部から伝播
   ②市民の分化
   ③事務局を支援
   ④近傍系の拡大

  パートナー

   ①外部と接点
   ②皆を引き込む
   ③戒律を作成
   ④寄り添うジャンヌ

  全体を変える

   ①全体を認識
   ②環境哲学ベース
   ③教育・家庭の仕組み
   ④循環を維持

 超・資本主義

  所有は非効率

   ①市場メカニズム
   ②ハイアラキー
   ③意思の力
   ④所有の意味

  政治形態

   ①経済の持続可能性
   ②政治に不信感
   ③社会保障破綻
   ④若者・女性が生きる

  資本主義の形態

   ①資本主義の爆弾
   ②様々な資本主義
   ③資本主義の柔軟性
   ④共有による資本主義

  共同体主義

   ①配置で再構成
   ②国家の役割
   ③社会の位相化
   ④地域から分化と統合

 超・民主主義

  自由と平等

   ①自由を確保
   ②意思の力
   ③格差拡大
   ④トレードオフ

  内から覚醒

   ①内なる世界
   ②生まれてきた理由
   ③内から外に伝播
   ④革命を認識

  配置で分化

   ①さまざまな頂点
   ②市民を配置
   ③新しい平等
   ④小さな民主制

  配置で統合

   ①市民と循環で革命
   ②配置でつながる
   ③女性が主導権
   ④知識と意識が武器

9.7 サファイア構造

 LAN/WAN構造

  町つくり

   ①有効なインフラ
   ②共有意識を拡張
   ③駐車場より花壇
   ④コンパクトな町

  快適な町

   ①地域の共有化
   ②要望の明確化
   ③皆のインフラ
   ④電柱と車は地下へ

  LAN配置

   ①地域のアドレス
   ②自主構成のネット
   ③ネットで連鎖
   ④地域の完結性

  WAN接続

   ①LANをカバーリング
   ②位相で接続
   ③サファイアが基本
   ④様々な交通形態

 家族の構造

  身近なインフラ

   ①集合知
   ②行政と協働
   ③拡張性
   ④グリーン雇用

  地域再構成

   ①地域インフラ
   ②やさしい交通形態
   ③スマートな地域
   ④ネット設計

  全体とつながる

   ①自律分散型
   ②エコロジカル
   ③地域経済
   ④コミュニティ中心

  新しい循環

   ①教育・仕事・家庭
   ②生涯学習の場
   ③就職基準
   ④自律した個人

 企業の構造

  組織の分化

   ①インフラの外部化
   ②乗入制限
   ③多方面で活躍
   ④クルマの正義

  市民を支える

   ①生き抜く生活者
   ②風景を変える
   ③生活に戒律
   ④本質的な要望

  地域の要望

   ①企業から申し入れ
   ②企業にできること
   ③商店街はマルシェ
   ④分化でシェア社会

  マーケティング

   ①地域の市場に変わる
   ②教育へのインパクト
   ③企業の20%ルール
   ④変革プロセス

 教育の構造

  市民の分化

   ①存在の力で発想
   ②役に立つから役人
   ③教育インフラつくり
   ④組織論理を超える

  やれることをやる

   ①ローテクでインフラ
   ②容易な管路工事
   ③ボランティア
   ④自給自足エネルギー

  持続可能性

   ①様々な分野に展開
   ②対等につながる
   ③多面的な対応
   ④質問する

  新しい国つくり

   ①活動チーム
   ②価値観からテーマ
   ③人が生きれる
   ④幸せにする

9.8 環境社会

 社会の位相化

  地域財源

   ①デリバリー請負
   ②共同体エネルギー
   ③地域の幸せ
   ④幸福を規定

  地域で優先順位

   ①ニーズの多元化
   ②図書館の目的
   ③都市と田舎
   ④レベルで支援

  国民国家を超える

   ①消費税30%は貯金
   ②多発する移民
   ③国家のイメージ
   ④合意の民主主義

  社会保障

   ①一律保障は破綻
   ②安全と地球温暖化
   ③共有意識の税制
   ④ベーシックインカム

 業態

  寄り添う

   ①やれることはやる
   ②寄り添う仏陀
   ③多様な専門家
   ④内から世界の表現

  グリーン雇用

   ①道路行政を担当
   ②コミュニティ雇用
   ③ソーシャルインフラ
   ④中間の場を活用

  高度サービス

   ①資本からサービス
   ②サービスで生活
   ③夢のあるもの
   ④スタバの価値

  付加価値

   ①グローバル活用
   ②クラウドで格差是正
   ③利用は所有の10倍
   ④ローカル活動を保障

 シェア社会

  持続可能性

   ①地域活性から循環
   ②周縁のアイデア
   ③行政はインフラ
   ④サファイア事務局

  多方面展開

   ①分化で発信
   ②コミュニティで分化
   ③行政のコンパクト
   ④企業を囲い込む

  所有からシェア

   ①所有はムダ
   ②シェアする企業
   ③シェアハウス
   ④所有権を放棄

  支え合う

   ①国は全体効率
   ②図書館クラウド
   ③循環に差別化
   ④グーグルの価値観

 環境社会

  歴史哲学の転回

   ①自由を守る国民国家
   ②新しい歴史哲学
   ③存在の力で配置
   ④コペルニクス的転回

  知の世界

   ①シェア概念を維持
   ②持続可能な教育
   ③欲望は破壊を招く
   ④教育・家庭の変革

  生活者主体

   ①状況把握から行動
   ②消費者資本主義
   ③<使う>意識
   ④都市から拡散

  地域から組立

   ①トリレンマ
   ②コスト削減
   ③生物多様性
   ④ノマド
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OCR化した14冊

『最後の「天朝」』

 中国人民義勇軍の参戦

 早期の出兵を望んだ毛沢東

 スターリンはなぜ中国の参戦をいやがったか

 国際義勇軍結成の提案

 一進一退する毛沢東の出兵構想

 スターリンと周恩来の「不参戦」合意

 毛沢東、ついに参戦を決断

 スターリンは再度、空軍出動の約束を食言

『殺戮の宗教史』

 「世界の三大宗教」発生と拡大のプロセス

 知られていないイスラム教の根本原理

『時代区分は本当に必要か?』

 歴史・時代・教育

 年代記から歴史へ

 歴史教育の成立

 大学と歴史

『罪と罰の彼岸』

 新版(一九七七年)はしがき

 ルサンチマン

『昭和二十年』

 一昨年に戻って--ダルーのシカゴ演説

 ルーズベルトとグルー

 一月に戻って--「日本処理案」の衝撃

 東郷茂徳、あの年十一月に「乙案」に賭けた

 ソ連の準備、対日戦争

 アメリカの準備、原爆の日本投下

『成功する公共施設マネジメント』

 図書館「論争」から生まれる公共施設の目的

 「あり方」について議論を巻き起こすことの価値

 画一的な日本の図書館と社会変化に対応する米韓図書館

 武雄市図書館のイノベーション

 機能の分離と組合せ

 武雄市の「消費的サービス」と伊万里市の「価値創造支援サービス」

 価値創造には多くの時間とエネルギーが必要

 消費的サービスは、価値創造支援サービスの契機に

『微分方程式』

 あとがき

 微分方程式は賢い。

 アインシュタイン方程式はアインシュタインよりも賢い!

 シュレディンガー方程式はシュレディンガーよりも賢い!

 ディラック方程式はディラックよりも賢い!

『グローバル以後』

 暴力・分断・ニヒリズム

 広がる国家解体のプロセス

 イスラムの崩壊としてのIS

 最も先進的な国々に本物の危機がある

 産業革命よりもずっと重要な移行期

 日本の本当の問題は人口動態

 不平等を受け入れてしまう日本の文化

 指導層はテロを利用している

 愛した世界が夜の闇に沈む

 民主主義の変容と知的な危機

『欧州複合危機』

 問題としてのEU

  《解決としてのEU》から《問題としてのEU》へ

  アイデンティティと連帯

  デモクラシーと機能的統合

  自由と寛容

  国民国家の断片化/再強化--重層的政治空間のきしみ

 危機の先にあるもの

  複合危機の先になにか待ちかまえているのか。ヨーロッパや世界はどう変わるのだろうか。

  理念から組織へ

  世界・国内インフラの動揺

  先進民主国のトリレンマと政治指導者

  政治の縮減

  リベラリズムのゆくえ

『大学4年間の哲学が10時間で学べる』

 複雑系 秩序の誕生

 国民国家 国民としてのアイデンティティ形成

 自分

 哲学を理解するとは?

 いま・ここ・わたしの哲学

 ハイデガー 自分本来のあり方

 『純粋理性批判』 認識の可能性なにを知リうるか

 『実践理性批判』 なにをするべきか理性的人格

 『判断力批判』 ひとはなにを望みうるか

『ユーロから始まる世界経済の大崩壊』

 日本版への特別寄稿

  イギリスのEU離脱とヨーロッパの苦難

  最悪の負け組は欧米の労働者

  壮大な実験

  中道右派が倍賭けに出る

  中道左派が新自由主義に取り込まれる

  貿易の自由がもたらす害悪

  移民問題の核心

  高圧的なドイツヘの反感

  ヨーロッパは難民に責任がある

  イギリスのEU離脱の影響

  EUが強いる過剰な規制

  〝最善の世界〟を抜け出して

  ユーロ圏を解体する真の要因

  ヨーロッパ色を強めるべし

  新しいEUの誕生へ

 未来へ向けて

  〝欧州プロジェクト〟をこれほどまでに重視する理由はどこにあるのか?

  ユーロよ、いずこへ?

  政治と経済の相互作用

  ドイツの強硬な姿勢

  ユーロが悪化させた難民危機

  経済統合を政治統合に先行させるな

『EUは危機を超えられるか』

 難民問題に揺れるEU

  止まらないEUへの難民流入

  揺らぐシェンゲン協定

  難民配分をめぐる加盟国間の対立激化

  加盟国におけるEU懐疑派の台頭と国内政治の混乱

  EUの難民危機対策と評価

  求められる「欧州のドイツ」の下での各国の連帯

 中東危機の影--EUと中東

  変動の背景に若年失業とSNS

  米国のタガが外れた中東

  難民で中東をめぐる地政学が変化

  トルコに頼るEUのジレンマ

  EUは地中海を越えず

 EUと中国 はじめに

  EU・中国関係は、1970年代以降、段階的に発展してきた。

   EU・中国関係の創設期

   天安門事件後の関係回復

   WTO加盟から戦略的パートナーシップヘ

  今後の政策課題と欧州各国・中国間の関係変化

『誰も知らない世界のことわざ』

 ハンガリー語 彼は、めんどりがアルファベットを知っている程度にはそれを知っている。

 ラトビア語 小さなアヒルを吹き出す。

 フィンランド語 熱いおかゆのまわりを歩く。

 ヒンディー語 ジャングルの中でおどるクジャクのダンス、誰が見た?

 アイルランド語 ブタの背中にのっている。

 マルタ語 目が私について行った。

 アラビア語 ある日はハチミツ、ある日はタマネギ

 ガー語 水を持ってきてくれる人は、そのいれものをこわす人でもある。

 フィンランド語 ウサギになって旅をする。

 チベット語 青の問いに、緑の答えを与える。

 ルーマニア語 誰かを、その人のスイカからひっぱり出す。

 ウクライナ語 私の別荘は、ずっと外れにある。

 ドイツ語 あそこでクマがおどっているよ!

 デンマーク語 ペリカンを半分に吹き飛ばしている。

 ポーランド語 私のサーカスではないし、私のサルでもない。

 スワヒリ語  海の水は、ただながめるためだけのもの。
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中東危機の影--EUと中東

『EUは危機を超えられるか』より EUと中国

トルコに頼るEUのジレンマ

 米国の調査機関、ピュー・リサーチ・センターが2016年春に実施した世論調査によると、「何があなたの国にとって主要な脅威か」という問いに、ほとんどの欧州諸国では過激派「イスラム国」(IS)という答えが最も多かった。そして、海を渡る難民の来着が多いイタリア、ギリシャや、イスラム教徒の移民が歴史的に少ないポーランド、ハンガリーといった東欧の国では、難民を脅威と感じる比率が高い。

 EUは2015年9月の内相理事会で、合計16万人の難民を分担して受け入れる措置を賛成多数で決めた。しかし、ハンガリー、スロバキアなど東欧諸国は、多数のイスラム教徒を受け入れる社会的な環境が整っていないといった理由で、分担受け入れに反対した。ハンガリーが非合法の難民の流入に国境を閉ざしたのに続いて、マケドニアなどバルカン諸国も相次いで入国規制を厳格にした。その結果、財政危機の続くギリシャに、地中海を渡ってきた大量の難民が滞留する、新たなギリシャ危機が懸念されるようになった。

 このため、EUはトルコが欧州への難民流出を抑えてくれるよう、トルコの協力に頼り始めた。16年3月18日のEU・卜ルコ首脳会議で、(1)トルコからギリシャに密航した新たな難民全員と、難民認定の申請が却下された人たちをトルコに送り返す、(2)トルコに送還されるシリア難民の数に見合う形で、トルコにいるシリア難民の一部をEUが正規の手続きで受け入れる、圓15年H月の共同行動計画でEUがトルコに約束した30億ユーロの資金援助に加え、2018年末までに30億ユーロを追加拠出する--合意が成立した。

 トルコの協力を得る見返りとしてEU側は、トルコのEU加盟交渉を加速して次の段階の協議開始の準備を進めるとともに、トルコ国民がEU(シェンゲン地域)に渡航する際のビザ免除を前倒しで実施する方針を示した。

 ところが、実際にビザを免除するには、EU側が設けた基準をトルコが満たす必要がある。焦点になったのは、トルコ政府がメディア統制などの根拠としている「反テロ法」だ。EU側は同法を修正するよう求めたが、エルドアン大統領は拒否し、板挟みになった3月合意の立役者、ダウトオール首相は16年5月に辞任した。

 トルコのEU加盟交渉を加速するというEU側の約束が、EU諸国の政治に及ぼした影響も無視できない。英国では6月23日の国民投票の前に、EU離脱派が「人口約8000万人のトルコから人が押し寄せ、移民の流入が制御不能になる」「国民投票は、トルコ人が自由に英国に入るのに賛成か反対かの選択だ」と叫ぶようになった。キャメロン英首相(当時)は「トルコのEU加盟が近づいたわけではないし、英国は拒否権も持っている」と反論したが、トルコの問題は国民投票でEU離脱という結果になった要因の1つだろう。

 トルコではダウトオール首相が辞任した後、外交政策の急旋回が始まった。ダウトオール氏が掲げた近隣諸国との対立のない「ゼロプロブレム外交」が破綻し、シリアの政権との敵対関係、イスラエルやエジプトとの関係冷え込みに加えて、ロシアとも深刻な対立に陥り、「ゼロフレンド」と皮肉られる状態になったことが背景だ。エルドアン大統領はイスラエルとの関係修復に着手し、撃墜事件についてプーチン大統領に謝罪してロシアとの関係修復にも動いたが、反テロ法などをめぐるEUとの隔たりは埋まらなかった。

 トルコ外交が微妙な局面にある中で、16年7月15日にトルコ軍の一部が反乱を起こした。クーデターの企ては粗雑さが目立ち、参謀総長など軍の主流派は政権側に付いたので、反乱はおよそ半日で鎮圧された。

 トルコでは1990年代まで、軍の幹部が多数を占める国家安全保障会議が、内閣の上位にある国の最高意思決定機関だった。この政治体制をEUは、シビリアン・コントロール(文民にょる軍の統制)の欠如と批判した。このため、21世紀に入ってトルコは同会議を文民多数に変尨、EU加盟交渉と並行して同会議の権限を縮小した。さらに、2010年代になると、軍の幹部の人事権も政権側が握るようになった。

 内政への軍の影響力をほぼ排除してから、エルドアン政権は強権色を一段と強め、かつて連携していた宗教運動指導者ギュレン師との対立が表面化した。トルコ政府は2015年にギュレン師が主導する運動を「テロ組織」と規定し、反テロ法を根拠にギュレン運動への締め付けを強めていた。

 エルドアン政権は、軍の一部反乱の最中からギュレン師がクーデター計画の黒幕だと断じ、鎮圧後にすぐギュレン系人脈を一掃しようと動いた。事件後2週間で政府機関や軍、警察、検察、大学などから排除された人は6万人を超え、粛清の嵐はギュレン系以外の政権批判勢力にも広がった。市民を殺傷した反乱勢力を極刑に処すべきだという声を背景に、EU基準に合わせて2002年に廃止した死刑の復活を求める動きも起きた。

 クーデター未遂事件を非難し、選挙で選ばれた政権を支持すると強調した欧米諸国も、エルドアン政権の行きすぎに懸念を強めた。人権の尊重を求めるEU諸国は「エルドアン大統領に白紙委任状を渡したわけではない」(エロー仏外相)と批判し、ビザなし渡航の実現はさらに遠のいた。死刑復活の動きも懸念材料になった。トルコのEU加盟交渉の加速は見込みにくく、難民問題でのEU・トルコ合意の履行も宙に浮いた格好だ。トルコ政府は「EUとの関係は重要だが、それがすべてではない」と説明している。

 米国とトルコの関係も難しくなった。トルコ政府はギュレン師が住む米国に、同師の身柄の引き渡しを求めた。だが、米政府はギュレン師がクーデター事件に関与した明白な証拠が必要だとしている。クルド人勢力との連携をめぐる対立に加えて、ギュレン師の身柄の問題で新たな対立が深まると、ISとの戦いでの国際的な協力関係に暗雲が増す。`

EUは地中海を越えず

 この章の最後に、冷戦後のEU拡大の動きの中で、中東・北アフリカ諸国がどう位置づけられてきたかを振り返ってみよう。

 冷戦終結後のEUの最大の課題は東西欧州の一体化だったが、EUは一方で中東・北アフリカ諸国との協力関係も強化しようとした。1994年10月、モロッコのカサブランカで開いた経済協力会議で、当時のドロール欧州委員長は「われわれは30カ国をはるかに超える国が参加し、8億人規模の人口を擁する世界最大の経済圏の実現をめざす」と力説した。

 ドロール発言の下敷きになったのは、欧州委員会の欧州・地中海パートナーシップ構想だ。「バルセロナ・プロセス」とも呼ばれるこの構想は、当時のEUと東欧諸国、EU非加盟の地中海諸国を、1つの自由貿易圏にする構想だった。自由貿易の対象となる「地中海諸国」は、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプト、イスラエル、ョルダン、レバノン、シリア、トルコ、キプロス、マルタの12ヵ国。そのうち、国際的な制裁下にあったリビアを当面の交渉相手から外す一方、地中海に面していないョルダンを最初からパートナーに加えた。

 その背景には、93年のイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)の和解、94年のョルダンーイスラエル和平条約締結を踏まえ、中東和平を後押しする狙いもあった。ただし、EUは中東・北アフリカ諸国が将来、EUに加盟する可能性を事実上、排除した。各国が自由貿易を含むEUとの連合協定を結び、これを足がかりにして経済構造改革と投資環境の整備を進め、直接投資を誘致して国内の雇用機会を創出すれば、各国からEU諸国への移民の流出も抑制される--。これが、EU側の基本的な発想だ。

 1990年代から2000年代にかけて、東欧諸国や旧ソ連のバルト3国がEUに加盟し、ドイツに近い地域にEUの重心が移った。これに対してフランスやスペインなどが推進したのが、地中海を重視してEUの重心を南のほうに移す戦略だった。キプロス、マルタのEU加盟は、こうした政治力学に伴って実現した。

 地中海パートナーシップの延長線上で、2008年にフランスのサルコジ大統領(当時)は「地中海連合」の創設を主導した。この連合に加わった国の地図を、古代のローマ帝国と属州の地図に重ね合わせる人もいる。サルコジ大統領は当初、EU加盟の南欧諸国と地中海岸の中東・北アフリカ諸国だけによる地域協力の枠組み創設を意図したが、ドイツが他のEU諸国をオブザーバー参加にとどめることに反対したため、地中海連合の枠組みも修正された経緯があった。

 トルコは地中海連合への参加をEU加盟の代替としないという保証を求めたうえで、この枠組みに参加した。しかし、1987年に当時の欧州共同体(EC)に加盟申請したトルコのEU加盟プロセスは、ほとんど前進しなかった。%年にEU・トルコ関税同盟が成立、2005年10月にようやく加盟交渉が始まったが、EU側が設定する35の政策分野のうち、交渉開始から10年間で協議に入ったのは15分野にとどまり、共通ルール導入の協議を終えたのは「科学研究」分野だけだ。

 トルコのEU加盟交渉は、なぜ進まないのか。トルコの国土の大半は、首都アンカラも含めてアジア側にある。トルコの人口はドイツを追い抜こうとしており、キリスト教の国の集まりであるEUで最大の人口を抱える国が、イスラム教徒がほとんどのトルコになりかねない。トルコの法制は人権保護などの面で、EUの基準を満たしていない。すでにEUに加盟したギリシャ系のキプロス政府と、キプロス北部の帰属をめぐって対立関係にある……。

 こうした要因が、かねて指摘されてきたが、最大の焦点はEUに加盟した場合の、トルコからEU各国への労働力の移動だ。キャメロン前英首相は、イスラムの国だが西欧型の民主制度を導入したトルコの加盟はEUの戦略として重要とかつて語っていたのに、16年6月の英国の国民投票の前にはトルコの加盟はあり得ないと示唆するようになった。

 選挙とは無関係なEUという主体の戦略としては是としても、国民の選挙にさらされるEU諸国の政権は票が逃げるテーマであるトルコの加盟を推進しようとはしない。一方でトルコの政権もEU加盟は実現困難とわかりつつ、EU加盟という国家目標とEUからの外圧を自らに都合よく利用してきた。この虚構と実態の隔たりが、現在の難民問題への対応にも影響を及ぼしている。
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今後の政策課題と欧州各国・中国間の関係変化

『EUは危機を超えられるか』より EUと中国 ⇒ アテネの玲子さんからはギリシャを中国が支配しようとしていると聞いている。狙いはEUだということ。

現在、EU・中国間にはどのような課題・懸案があるだろうか。同時に、EU主要国と中国との個々の関係はどのような方向に展開していくだろうか。

以下、政策課題と欧州各国・中国間の関係変化という二つの観点から検討したい。

先ず、EU・中国間の貿易について、EUは中国にとって最大の貿易相手であり、中国はEUにとって米国に次ぐ第二の貿易相手国である。しかし中国と欧州を含む先進国との間では、従来から貿易面の紛争が絶えなかった。

中国が2006年に、自国が生産するレアアース、モリブデン、タングステンの3品目に高額の輸出税を課した。さらに2010年からは、輸出数量自体にも制限を加えた。これに対し、EU・日・米はWTOの協定違反であるとして、2012年、WTOに提訴した。議論を経て2014年には中国の敗訴が確定した。

さらに2012年、欧州委員会は、中国製の太陽光パネルについて、不当廉売の疑いで、アンチダンピング調査を開始した。2011年当時、中国の同製品の約8割以上を海外に輸出し、さらにこの内約7割が欧州向けだったとされる。2013年、EU委員会は、この調査に基づいて、48%という相殺関税を課すことを決定した。この一連の措置に対抗するかのように、同じ時期、中国は欧州産ワインのダンピング調査に入ることを発表したが、その1か月後にはEUとの合意が成立した。

環境問題について、EUは従来から世界の基準を先導する立場にあり、1995年の京都議定書採択に当たっても同じ先進国である日本との協力により、大きな役割を果たした。経済発展を急ぐ中国の環境政策は遅れていたが、EUは中国との間で1992年、「環境対話」を開始した。しかし2009年末、コペンハーゲンで開催された国連の気候変動枠組み条約締結国会議(COP15)において、途上国グループが先進国側が主張した規制内容に反発し、閣僚級会議をボイコットした際に、主導的役割を果たしたのが中国だった。さらに、その後、先進国グループと途上国グループとの妥協が成立した際、米国と中国が中心的役割を果たしたことも、環境問題で先導的な立場を自負するEUにとってはショックだったとされる。

最後に人権問題はEU・中国の間で、一貫した懸案となっている。既述の通り、1989年の天安門事件発生により両者の関係は一時悪化した。

その後、1995年、中国とEUは、「人権問題に関する特別対話」を高級事務レベルで交互に年2回開催することとし、そこでは、EU側の人権尊重に対する強い態度が示されてきた。

2008年の中国政府によるチベット・ラサにおける暴動鎮圧の際も、EU各国の首脳が、北京オリンピックの開会席出席をボイコットする事態に至った。しかし全体として、議論はそれほど進捗しておらず、以上のように、EU・中国間の懸案事項は貿易面を中心に多岐に亘っている。さらに貿易と人権との関係では、EUが中国との経済関係を維持するため、人権問題への言及に配慮し、「特別対話」などの枠組みで主張を継続するにとどめている、という面がうかがわれる。

以上のような経緯から、EU・中国関係がこう着状態に陥ることがある中で、欧州の主要国はより自由に、中国に対し経済外交を進めてきた。

ドイツがその代表格であり、メルケル首相の中国訪問は、2016年6月まで9回に上る。フォルクスワーゲン社・シーメンス社など、中国に深く根付いたドイツ企業も多い。メルケル首相自身がチベット問題や、最近では南シナ海における「法の支配」に言及することはあるが、経済面への影響を配慮しながらバランスを取っているようにうかがえる。産業の高度化を急ぐ中国にとっても、技術力の高いドイツ企業との関係強化にはメリットがある。

ドイツと対照的に、フランスは伝統的に人権問題へのこだわりが強く、2000年代には関係の冷却した状態が続いた次期もあった。しかし2009年に「中仏共同声明」の発表後、ドイツと同様に経済重視の関係を維持しようとしているようだ。

最後に、英国は、金融業が自国の主力産業であるため、近年、中国人民元ビジネスなどの取り込みを狙い、中国との関係強化を図ってきた。その延長線上で、2014年春、中国のAIIB計画に対し、英国は欧州で初めて、参加を表明した。米国が不参加であるにもかかわらず、英国が参加を決めたことが、その後、フランス・ドイツーイタリアなど欧州主要国が相次いでAIIBへの参加を表明したことにつながった。その後、2015年秋に、習近平が訪英した際には、当時のキャメロン首相との間で中国製の原子力発電施設を納入することで合意した。

しかし、このような英中の蜜月関係は、2016年6月の英国国民投票によるEU脱退決定以降、どのように変化するだろうか。中国からすれば、英国との関係強化は、ロンドンという金融センターを利用することだけでなく、既述のAIIB加盟時の経緯にみられるように、欧州各国との関係強化への足掛かりと捉えていた面がある。英国がEUを離脱した場合には、金融センターを含む「欧州への窓口」としての英国の利点が薄れる可能性がある。英国のEU離脱がより現実的なシナリオとなって具体化した時に、中国が英国に代え、ドイツなど大陸諸国との一層の関係強化を図るかどうかという点が注目される。
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誰も知らない世界のことわざ 

『誰も知らない世界のことわざ』より

ハンガリー語 彼は、めんどりがアルファベットを知っている程度にはそれを知っている。

 これは、ある人がその話題についてまったく知識がないということを、少しだけ控えめに言った表現です。実際には「何もわかっていないから良い情報源にはならないだろう」ということです。日本のことわざに「最高の真理を得るためにはイロハからはじめよ(=千里の道も一歩から)」というものがあります。でも、めんどりがーまあ、最高の真理の持ち主とは思えませんが一一イロハさえよくわかっていないことは明らかです。ところが、実はニワトリはとても賢く、あきれるほど好奇心の強い鳥です。彼らは飼い主の人間についてまわり、庭仕事をしたり洗濯物を干したりしているのをじっと観察しては、お目付役みたいにふるまいます。ですから、めんどりが字を読めなくてよかった。この失礼なことわざを知ったら、きっと気分を害して、くちばしをツンと高くつき出すことでしょう。

ラトビア語 小さなアヒルを吹き出す。

 もしあなたが口から小さなアヒルを吹き出していたら、あなたは「くだらないことをペラペラと話している」もしくは「嘘をついている」ということになります。ですから、ラトビアの人に「小さなアヒルを吹き出しているね」と言われたら、あなたが真実を語っていないことをわかっているよ、と言われていることになるのです。今、バルト語派の中ではラトピア語とリトアニア語だけが残っていて、ほかは消滅してしまいました。けれども、言語学者たちはバルト語派に特別の興味をもっています。それは、インド・ヨーロッパ語族の祖先で、紀元前3500年ごろに話されていた古代言語の要素が、まだ残っていると考えられているからです。

フィンランド語 熱いおかゆのまわりを歩く。

 猫が、ゆったりとおかゆのまわりを歩いています。本当は、麦とミルクの入った熱いおかゆに足をつっこんでみたくてしかたないのですが、熱すぎてできないのです。そのかわりに、猫はおかゆのまわりをゆっくりゆっくり、全然時間がすぎないなあ、と思いながら回っています。これを人間にあてはめると、「何かにとても興味をもっているか、もしくは何か言いたいことや、したいことがあるのに、実際には近づいたり言ったりしない」人を意味しています。たぶん、彼らはおじけづいていて、ちょっぴり苛立ちを感じながらも行動すべきときを待っているのです。この表現は、英語のTo beat around the bush.(やぶのまわりをたたいて獲物を狩りたてる)つまり「重要な点に切りこまず、遠回しに探る」という意味のことわざを思い起こさせます。

ヒンディー語 ジャングルの中でおどるクジャクのダンス、誰が見た?

 とても有名な、哲学の命題があります。もし森の中で木が倒れ、誰もその音を聞かなかったとしたら、木は音を立てたと言えるのでしょうか? 私たちは何世紀もの間、こんな問いかけをする哲学者たちに悩まされてきました。そして、人間が真実を見据え理解するとはどういうことかを考えさせられてきたのです。このヒンディー語の表現もほぼ同じ意味です。でも、こちらのほうが現代人にはピンとくるかもしれませんね。「目撃者がいなくても価値があると言えるの?」「おどるクジャクが評価されるためには、公衆の面前でおどらなければならないの?」と問いかけているからです。けれども、おどるクジャクはそんなことは気にしないでしょう。きっと観客なんていらないはず。ひとりでおどるだけで満足にちがいありません。

アイルランド語 ブタの背中にのっている。

 ブタの背中にのっていたらきっといい気分でしょうね。すべてが順調で、豊かに暮らしている、そんな感じです。つまり、このことわざは「幸せで、人生に成功している」という意味で使われます。アイルランドでは17世紀ごろから使われはじめたようで、英語で書かれたものは19世紀ごろから見つかっています。このことわざと英語のpiggy-back(ブタの背中=おんぶする)やhigh on the hog (ブタの背に高くのる=分を超えたぜいたくをする)との間には、あまり関係はないようです。こんなふうに、互いにはっきりした関係がないのに、ブタに関する表現がたくさんあるのは、それほどおどろくことではありません。それくらい何世紀もの間、私たちは農業をしながら、ブタと共に暮らしてきたからです。

マルタ語 目が私について行った。

 もし、あなたの目があなたについて行ったとしたら「あなたは眠ってしまった」ということです。マルタ語は、マルタ島に住む50万人ほどの人々、そしてオーストラリア、イタリア、アメリカなどに移住した数千人の人々にも話されている言語です。マルタ語の語彙の半分は、イタリア語やシチリア語などにルーツをもち、また英語も20%ほど含まれています。つまりいろいろな言語が混ざり合っているのです。眠りにつくときは、マルタ島であれ、フィンランドやトンブクトゥであれ、とにかく目を道連れにすることが大切です。もし、それができなければ、よく眠れなくてリフレッシュできないでしょう。

アラビア語 ある日はハチミツ、ある日はタマネギ

 You win some、you lose some、(勝つときもあれば、負けるときもある)ということわざを知っていますか? このことわざのアラビア語版は、ハチミツとタマネギでたとえたもの。ずっとおいしそうでしょう? でも実は、とても合理的な処世術です。あるときにはとてもうまくいき、またあるときには悪いほうへいく。おそらく幸せは、その2つの間にあるのです。つまるところ、人生は予想のつかないもの。いつも奇妙で、タイミングの悪いことの連続です。でも、同時に、人生は切ないほどに美しく、この世界はありとあらゆる方法であなたを助けてくれようとします。だから、ある日がもしタマネギのように辛い一日であったとしても、私はだいじょうぶです。

ガー語 水を持ってきてくれる人は、そのいれものをこわす人でもある。

 「ガー」は、ガーナの一部族とその言語の名前です(ガーナの政府公認言語のうちのひとつです)。ガーナにはむかしから、井戸や川まで長い距離を歩いていく習わしがあります。ですから、水を汲みに行く人こそが、水を入れる土器を最もこわしがちだということです。ここには、「助言することがないときや、手伝うつもりがないときは、何かを成し遂げようと努力して、その最中にうっかリミスをしてしまった人を批判すべきでない」という意味がこめられています。努力するのをやめて家に閉じこもっていれば、間違いやミスを減らすことはできるでしょう。でもそうしたら、思いがけないことに出会うことも楽しみも奪われてしまいますね。そう思いませんか?
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