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エネルギーシステムにおける技術革新の可能性

『プラチナ構想ハンドブック』より

エネルギーシステムとは一般に「エネルギー資源の採掘から、輸送、変換、最終利用(われわれが需要端においてエネルギーを利用することを指す。たとえば、乗用車用の燃料としてガソリンを利用する場合や、家庭の厨房でガスを利用する場合が最終利用である。)に至るまでの複雑なネットワークシステム」と定義される。しかし、ここでは話をわかりやすくするため、非常に単純なエネルギーシステムを考えてみよう。いま、一次エネルギー(地殻から採掘され、加工されていないエネルギーを指す)として、一種類の化石燃料(たとえば天然ガス)が利用されていたとして、天然ガスが最終的に利用されるまでの流れが図1のような1本の鎖のように表されているものとしよう。これを鎖型エネルギーシステムとよぶ。鎖型エネルギーシステムは、最も単純化されたエネルギーシステムの一類型とみることができる。

図1のようなエネルギーシステムにおいて、エネルギーの採掘から利用に至るまでの一連のプロセス構成(採掘、輸送、変換、最終利用)を、エネルギー資源の「ライフサイクル」と呼ぶ。これは、エネルギー資源が地球から採取され(生まれ)、多様なプロセスを経た後、最終利用に供され利用不可能な熱となって地球に放出される(死ぬ)までを人間の「ライフサイクル」になぞらえたものである。いま、最終需要端のエネルギー需要から、エネルギー資源の必要量を算定するには、各プロセスのエネルギー効率を掛け算することによるライフサイクルエネルギー効率を求める必要がある。

たとえば天然ガス採掘の際には、日本に輸送するため液化する必要があるが、その液化のエネルギー効率を向上させるとか、輸送タンカーの航行効率を向上させるということでも良い。あるいはエネルギー変換プロセスとしての発電効率を向上させることでも良い。または、家庭において電気を消費する家電製品の効率を上げることでも良い。一例として、皆さんはエアコンのカタログを詳しくご覧になったことがあるだろうか。エアコンの性能を表す指標の1つとしてCOP (Coefficient of Performance : 成績係数)と呼ばれるものがある。 COPとはエアコンのエネルギー効率を測る単位であり、1kWhの電力で5kWhの熱を部屋の内から外へかき出せるときにCOPは5であるという。したがってCOPの高いエアコンほど、同じ部屋の冷房をする場合でも消費電力が少なくて済むのである。同じような観点からテレビの消費電力を比較してみても良い。テレビはブラウン管のサイズによっても消費電力が異なるが、最近では、プラズマテレビや液晶テレビなどブラウン管を用いない新しいテレビが登場するようになった。液晶テレビの消費電力は、一般にブラウン管テレビより小さいため、ブラウン管によるテレビから液晶テレビに買い換えるといったことでもエネルギー効率の向上になる。

それでは、今度はやや性質の異なる技術革新を考えてみよう。いま、天然ガスを燃料とする火力発電にかわって太陽光発電を用いた場合を考えてみよう。太陽光発電は、原理的には太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであるから、直接化石燃料を利用するわけではない。したがって、化石燃料を起源とする上記の鎖型エネルギーシステムの中には当てはまらないように思える。

しかし、もう少し考えてみよう。太陽光発電システムの構築は、シリコンウエハの製造、製造されたシリコンウエハのセル化、セル化された太陽電池のモジュール化、周辺装置(いわゆるBOS)の付加の四段階に分けられ、各段階において様々な原材料が投入される。

そして、このような材料を製造するにはエネルギー資源が必要である。たとえば、太陽光発電システムのアルミニウム枠やガラス、鉄の架台を製造する際には化石燃料が投入されている。したがって、天然ガスの発電所のように直接化石燃料を利用しているわけではないが、間接的にはやはり化石燃料を利用しているのである。いま、われわれが考慮したいのは、無限にふりそそぐ太陽光のエネルギーを計測することではなく、限りある資源である化石燃料などの再生不能エネルギーをどの程度消費したか、そして気候変動を引き起こす温室効果ガスであるC02をどの程度発生するかである。したがって、ここでは太陽光発電が直接利用する太陽光エネルギーの計測をわれわれの頭からはずし、間接的に原料製造に消費される再生不能エネルギーの方を評価に含めることを考える。そのために、直接燃料として消費したエネルギーだけを考慮する狭い意昧での効率の概念から、間接的に消費されたエネルギーをも統合する広い意昧での「効率」の概念に拡張する。以後、この「効率」の指標を、狭い意昧での効率に「」をつけて「効率」とよぶことにする。つまり、「効率」の分子には、火力発電なり太陽光発電の出力である電気エネルギーを取り、分母には、燃料として投入された再生不能エネルギーと設備製造のために間接的に投入された再生不能エネルギーの和を取るのである。たとえば、火力発電において、投入された燃料のエネルギーが100で発電された電気のエネルギーが40である場合、通常の発電効率は40%である。ここで、発電所の製造などに投入された間接的なエネルギーを分母に加えたのが「効率」である。ただし、火力発電においては、燃料として投入されているエネルギーは発電所の製造のために投入されているエネルギーよりはるかに大きいため、「効率」は、先に述べた40%とほとんど変わらない。通常の効率と「効率」が大きく変わるのは、太陽光発電や風力発電のような場合である。この場合、燃料として投入される化石エネルギーはない。太陽光発電の「効率」は、降り注ぐ太陽エネルギーを電気のエネルギーに変換する発電効率ではなく、分母に太陽光発電の製造に投入された再生不能エネルギーをおき、分子に発電された電気のエネルギーをおく。

このように定義すると、太陽光発電システムのように直接燃料を消費しないものも、天然ガスの発電所とおなじように評価することが可能となる。また、同様に化石燃料の消費量を求めることで、太陽光発電システムと火力発電システムの直接・間接のCO2排出量を比較することもできる。このようにして比較した結果を図2に示す。

この図から、次のようなことが読み取れる。まず太陽光発電システムのCO2排出量は、石炭、石油、天然ガスなどの火力発電よりもはるかに小さい。次に、太陽光発電システムのCO2排出は設備の製造に起因しているのに対して、火力発電の場合は、ほとんどが経常運転すなわち燃料の燃焼によって生じている。さらに、この棒グラフの高さから太陽光発電は、化石燃料を利用しない(CO2を発生しない)発電技術という訳ではなく、化石燃料を「効率」良く利用してCO2の発生を少なくする技術である。すなわち、自然エネルギー利用技術も、上述したエアコンやテレビと同様に、「効率」向上の技術の一種であるといえる。る。さらに、その原材料を同じ手続きで原料費と粗付加価値に分解する。こうした作業を次々に繰り返していくとどうなるのであろうか。結局、乗用車一台の値段は、乗用車を構成する直接・間接の原材料製造工程の粗付加価値の総和に還元されるのである。つまり、物を作る上で、本源的な投入は付加価値部分のみであることになる。これをいうなれば、付加価値価値説とでもいえるのが、産業連関分析の考え方である。

さてそれでは、物の値段を決める直接間接の粗付加価値とは何であろうか。それは先に述べたように、労働者の賃金、資本設備費、営業余剰、間接税などであり、特に大きいのは賃金と資本設備費である。結局、ある物の値段はそこに投入された直接・間接の労働や資本の投入量が大きいほど高くなることになる。

そこで、これまで述べてきた革新的なエネルギー技術を眺めてみよう。太陽光発電システムやその応用版である宇宙発電衛星システムは、多様な原材料と資本設備の投入の賜物である。また、上述したバイオマスエネルギーは、植物起源のエネルギーであり、その種撒き、育苗、植樹、下草刈り、間伐、伐採など多くの労働力の賜物である。翻って化石燃料の採掘プロセスを考えてみよう。これも探査から採掘まで多くの技術の集積であるものの、いったん巨大な資源を発見し、採掘が開始されると、枯渇に近づくまでは自噴してくる油井やガス田も多い。勿論、海底油田など採掘や精製に大きな資本設備を必要とする場合もあるが、こうした例外を除いた一般論として比較するならば、資本投入の塊のような宇宙発電衛星や労働投入の非常に大きいバイオマスエネルギー技術より、資本や労働の投入量は小さいといえる。すなわち、革新的エネルギー技術は、在来型の化石燃料をベースとしたエネルギーよりどうしても高くならざるを得ないのである。こうした条件を覆すために、多くの研究者が日夜努力しており、このこと自体はすばらしいことである。しかし、化石燃料が本当に枯渇に近づき、海底油田や非在来型石油資源など余程採掘条件の悪いところからしか化石燃料が得られないという事態に至らない限りは、革新的エネルギー技術が相対的に高くつくという事実は変わらない可能性が高い。

したがって、革新的エネルギー技術の研究開発だけをおこない、その導入については市場に任せるという戦略では、ライフサイクル効率ないしライフサイクルC02の改善は進まないであろう。
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裏ロジック 本・図書館編

6.1 多読の世界
 本を借りる
  本は図書館から借りるもの。そうしないと多読できない。多読しないと武器にならない。多くの人と会話するためです。
 本をためていく
  多読することにより、速読できるようになります。自分の中に本が溜まってくると、その先を読むかどうかが分かります
 社会を見る
  コンビニ研究で習得した、品揃え、スタッフ、市民の三つの観点で観察してきた。図書館から社会を見ていく。
 図書館から見る
  観察を内側から行うために、返本ボランティアの5年間は役立った。協議会は単なる顔つなぎです。もっと機能的にしないと。

6.2 図書館を使う
 新刊書を読む
  新刊書が図書館の命。シェアの先駆けです。借りていくだけの人が多すぎる。図書館を守るという意識が必要です。
 読む環境を広げて
  本を読むためには環境が必要です。借りて読む為に、環境が必要になる。私はシステム的なアプローチを行って来ました。
 ブランドという考え
  11年間で1.3万冊以上、新刊書を借りて読んできた。おかげで、図書館そのものを自分のブランドにすることができた。
 皆に考えてほしい
  図書館は守ると同時に、変えていかないといけない。そのために、さまざまな図書館を見て、考えて、展開を図っていく。

6.3 本から広がる
 本で変わるもの
  私を変えた本は多くはないが、考え方をガラッと変えた本とか、言葉を与えてくれたり、生き方を示してくれた本はある。
 再生するものが要る
  本は自分の中で発見したものをつなげて、再生して、新しいものとして、社会に戻って行く。社会への提案につながります。
 要点を出す
  本はデジタルライブラリとして、保有することで、ポイントアウトして、未唯空間の7つの項目と関係づける。
 ライブラリから変わる
  図書館は社会にとっても、歴史にとってもライブラリが「知の入口」です。ここを拠点に地域は活性化していきます。

6.4 コミュニティ
 個人を強くする
  個人が強くならないと市民社会の活性化はできない。読書で多様な人と出会い、考えることです。自分で選べる世界です。
 皆のためにできること
  生涯学習は資格を得るためにやるような雰囲気が強いが、必要なのは、皆のために、何ができるかを考えられることです。
 市民活動事務局
  図書館を中核にして、市民活動を行う時に、人的な面、運用面、ライブラリの展開を行う事務局が必要になる
 進化させる
  友の会は図書館だけを対象にするとか、図書館に従属するものではなく、社会的な存在です。サファイア事務局に進化します。

6.5 ライブラリの役割
 自己組織化
  未唯空間を作りあげたように、膨大な情報から、必要な情報をまとめ、個人レベルで発信することが次につながる時代です。
 市民の活性化
  市民の活性化のためには、個人の能力アップと同時に、インタープリターとしてのグループが必要です。学習は必須です。
 力を得る
  市民の力を集め、行政へインタープリターする役割を図書館が持つ。本を預かって、貸し出している意識から脱却していく。
 訴えたいこと
  図書館に対して、固定した概念を図書館関係者は持っている。つながるためには、その概念を打破することです。

6.6 情報センター
 読書環境を保証
  読書環境を保証するには、お金がかかるし、読んだ成果も目に見えない。公共図書館は本だけでなく、読書環境をシェアする。
 図書館と市民
  図書館は市民の意識でカタチが決まる。市民の意識は読書環境で変わる。その二つの関係を循環させることが重要です。
 力を得る
  市民の力を集め、行政へインタープリターの役割を図書館が持つ。本を預かって、貸し出している意識から脱却していく。
 訴えたいこと
  図書館に対して、固定した概念を図書館関係者は持っている。つながるためには、その概念を打破することです。

6.7 変革のライブラリ
 仕事を変えるライブラリ
  お客様を把握でき、メーカーからの支持を与えれる。過去からの伝達です。ノウハウを進化させることで社会に適応できる。
 社会を変えるライブラリ
  NPOでの活動は、殆どが事例です。枝廣さんもゴアも同様です。それらの情報を皆に見えるカタチで伝えわれば、武器になる。
 歴史を変えるライブラリ
  歴史は過去の人が、次はうまくやるように、思いを集めたものです。本が武器になれば、警鐘を鳴らし、皆に提案していく。
 ライブラリという空間
  ライブラリという空間は、コラボレーションという近傍系により、グループが設定されている、それで世界を覆っていく。

6.8 意識と知識
 支援する意味
  ローカルが主体的に動くことに対して、グローバルが支援する。それを具体的に支援するのが事務局です。
 個人状況の把握
  ライブラリはストックする機能、フローしている情報とのリンク、拡大する機能、そして、個人を把握できるようにする。
 個々の活動対応
  事務局の主機能は個人およびグループの活動を注視して、それなりの答を導き、事例として、横に展開していく。
 ローカルから力を得る
  ライブラリとコラボレーションのやり取りから、図書館のスパイラルを見ている。必要な機能を提案していく。
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裏ロジック 仕事編

5.1 皆の夢をかなえる
 自分の思いを皆の思いに
  皆の思いを自分の思いに、自分の思いを皆の思いに、思いをカタチに、カタチに思いをにまとめた。4つのフレーズで循環する。
 皆の思いを自分の思いに
  自分の思いを再確認して、再度、皆の思いにした後に、システムを考える。使うことをメインにして、必要なものは作る。
 思いをカタチに
  システムを作ることは一部です。それが使えるようにするには様々な工夫と仕掛けとユーザーの参加が必要になります。
 カタチに思いを
  販売店システムはさまざまな販売店に展開しないといけない。そのためには、ファシリテーションの機能が必要になる。

5.2 サファイア循環
 エンパワーメント
  エンパワメントする。ローカルで考えたことは、自ら実現しないといけない。それにより、多様な現場で、発想が生きてくる。
 インタープリターション
  ローカルであるテーマを議論して、自分たちの要望をまとめる。それを適切なカタチでグローバルに伝えて、動いてもらう。
 リアライゼーション
  作ることが変わってきている。マスに対して、同じものが適用しない。マーケティングに影響する企画の重要性が増している。
 ファシリテーション
  ローカルを勇気づけるためのノウハウをローカルが分かるカタチで残すことがグローバルの役割です。

5.3 販売店システム
 勇気づけ
  本社でのライブラリは、店舗でのお客様対応などを支援するためのモノです。フローからストックへの進化させます。
 提案まできていない
  ローカルでのサファイア循環が規定されます。コラボレーション、吸い上げのデジタル化まで、販売店は達していない。
 サファイアネット
  販売店システムの店舗活性化のためには次期ネットでインターネット技術を販売店主体で使える環境を提供します。
 ネットのオープン化
  次期ネットおよび基幹系・情報系のシンプル化を行い、販売店システム全体をインターネットの世界との親和性を拡大させる。

5.4 販売店の範囲
 メーカーループ
  40年掛けて、「売る」ために作り上げてきた。本部とメーカーでループを作っている。販売店ループと論理的に接続させる。
 要望の吸い上げ
  お客様の要望はお客様ループでスタッフ・店舗が吸い上げ、販売店ループで本部が吸い上げる。そして、メーカーループに渡る。
 カタチづくり
  従来の三次元構造を重層化したイメージを持つ。メーカーループ、販売店ループ、お客様ループの縦の関係です。
 枠から脱する
  販売店は売るという役割で存在してきた。Thinkするのはメーカーであり、商品次第の世界で生きてきた。枠から脱する。

5.5 サファイア機能
 活動実態の把握
  販売店の活用として、お客様へのアピール、お客様の状況把握、お客様からの要望の吸い上げなどの活動を把握する。
 未唯空間との関係
  仕事単独で考えるのではなく、社会のコラボレーションの変化、メーカーの役割の変化、数学思考、歴史認識を含めて考える。
 お客様からの発信
  オープンなネットワークで、インターネット技術を採用することで、コスト削減を図り、販売店での個別活用を支援する。
 販売店の意識
  ライブラリ展開を見ていると、販売店は体質を変える気がない。変わらない販売店は自分で考えてほしい。

5.6 販売店の要望
 販売店の危機感
  クルマを取り巻く環境は変わってきている。販売店の「売る」ことではなく、お客様とつながることを行っていく。
 言葉にできない
  販売店要望は販売店システムにおけるインタープリテーションの可能性を信じて行った。なかなか言葉にはならない。
 提案すること
  確認結果をガイドにまとめた。かなり、根源的なものになった。何かを作ればいいものではなくので、提案することにして。
 説明すること
  ガイドを説明するのに、相手側に合わせたが、何分にもベースがない。インタープリターを探して、ゆっくり行う。

5.7 社会に参画
 会社の方向
  クライシスとミッションから、対応策を考えました。いい町・いい社会にするために、会社として何をするかを明確にする。
 発信を促す
  販売店要望を超えて、社会要望を見ても、個々の発信をベースです。コラボレーションが社会全体で大きな役割を果たす。
 シェア社会ガイド
  社会はシェアする要素が増してくる。販売店の仕組みを変えていくシナリオを示す。次期ネットもつながるネットにする。
 ネットワークは変わる
  ネットワークは多様で、広域です。ネットワークはライブラリとつながり、コラボレーションで人とつながります。

5.8 社会変化を促す
 システム対応
  システムを作ることから使うへシフトして時に、システムの機能には偏在が起こる。事務局機能で調整を図る。
 メーカーの力
  市民の状況が分からないと、スマートグリッドは動かない。サーバーとかデータエントリーなどはメーカーの得意分野です。
 ソーシャルネット主導
  市民とコミュニティ間のやり取りはSNSで行う。企業も行政もNPO主体のSNSに参画して、コンテンツを提供する。
 潤滑としての事務局
  事務局は、異なるループの間の循環を保証します。循環のために、方向を示し、状況を見える化して、即時判断を可能にする。
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