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複雑系と懐疑主義

『科学と人間の不協和音』より

まだ最終的な決着がついていない問題に関して、自らは科学的であるということを盾にして、社会的な合意に異論を唱える科学者がいる。温室効果ガスが地球温暖化の元凶であるかどうか、低容量の放射線被曝が健康を害するかどうか、高圧電線下の電磁波は人体に有害かどうか、などの問題である。これらはすべて複雑系に関わる問題で、現在の科学において一〇〇%の確実さで結論を下すことができない。九〇%確かであるといっても、一〇%の不確実さが残っており、そこに焦点を当てて疑問点を提示して異論を立てるのである。かつての水俣病にもそういう論が多く出されて混乱した時期があった。

科学の重要な要件に懐疑主義がある。いくら正しそうな結論であろうとも、それが真に実証されているか、考えに盲点はないか、異なった解釈もあるのではないかと、いったんは疑ってかかる態度で、科学的思考には欠かせない要件である。しかし、懐疑主義に囚われてしまい、自分の意見の首尾一貫性を遵守しようとする余り、新たな証拠を受け入れられなくなったり、牽強付会に陥って柔軟な発想を失ったりしてしまう場合がある。最初は科学的な発想で懐疑したものが、最後にはその論に固執するのみとなって科学性とは縁がなくなるのだ。これも一種の科学性を纏った宗教と言えるのではないだろうか。

地球温暖化は温室効果ガスが原因とする論が社会の合意になっており、エコだの低酸素社会だののかけ声が喧しい(実際は、かけ声だけなのだが)。ファシズムとは言わないまでも。社会全体が同一歩調で動き出すことに対して心理的反撥を感じ、その社会的合意なるものを疑ってみるという態度は正しい。私もそれには同意する。調べてみると、温室効果ガスが地球温暖化の原因とする説は九〇%の確実度でしかない。他に真の原因があるのではないか、そもそも地球温暖化は事実なのだろうか、そう考えてみるのも科学的である。しかし、温室効果ガス悪玉論を崩そうとする大前提があるために、少しずつ科学性が希薄になっていく。例えば、いくつかのデータの過ちを見つけて地球温暖化はでっち上げだと断定したり、太陽原因説や宇宙線原因説を持ち出してきたりするのだが、データを正しくしたところで地球温暖化の傾向は変わらないし、太陽や宇宙線原因説の科学的証拠力は乏しい。それにも拘わらず、その論の方が正しいと固執して意見を変えようとしないのである。かれらが「地球温暖化説の陰謀」と呼んでいるように、もはや科学のレベルを外れて「陰謀説」まで議論するようになっている。宗教に堕しているのだ。

おそらく、一〇%の不確実度を争っても何ら有益な結論は得られないだろう。私は、このような不毛の議論はせず、別の論理を持ち込むべきではないかと考えている。それは予防原則である。地球の歴史の過去一〇〇万年において空気中のCO2の量は二八Oppm以下であった。ところが、現在はその二〇%を超す三四〇ppmとなっている。こんなに温室効果ガスが増えていること自体を重大に捉える必要がある。いつなんどきカタストロフィー(状態の大きな遷移)が起こって気候の大変動か起こるかもしれないからだ。それを避けるためには、少なくともCO2の量をこれ以上増やすような行為を慎むことである。

福島の原発事故が起こってから、放射線被曝の問題がクローズアップされている。ある放射線防護の専門家は年間に二〇ミリシーベルト(一〇〇ミリシーベルトという論者すらいる)以下なら問題はないと言い、別の専門家は年間一ミリシーベルト以下とすべきと主張する。年間一ミリシーベルトは自然放射能による平均被曝量(年間二・四ミリシーベルト)の約半分であり、人工放射能も原則的にそれ以下にするのが望ましいという考えからのものである。しかし、今回のような緊急事態においては止むを得ないし、今後長く続くとは考えられないので、線量限度は高くても構わないとするのが二〇(一〇〇)ミリシーベルト派の意見なのだ。さて、どちらを信じたらいいのだろうか。これくらいの低線量の放射線被曝の場合、すぐには健康状態に悪影響を与えないのは事実である。しかし、一〇年後、二〇年後になって遺伝子損壊の効果が現れガンを発症する可能性はある。とはいえ、それは誰にもわからない。それぞれが自分の主義と思惑に従って線量限度の値を選んでいるに過ぎないのであ

このような低線量被曝については確かな実験的証拠を出すことが困難である。ある者は、被曝量とリスクは比例関係にあり(一〇〇ミリシーペルト以上では成り立っている)、それは低線量にも適用できるとする。他方、低線量には闘値があって、それ以下では安全どころかむしろ健康に良いと主張する論者もいる。ラドン温泉やラジウム温泉を愛好する者に長寿者が多いというわけだ(それに対して、放射線の影響は人によってさまざまで、放射線に弱い人は早く亡くなるから温泉に来られないだけという反論もある)。

結局、どちらを採用すべきかわからない。ならば、やはり予防原則で、なるべく人為的な放射線を浴びないようにするのが将来の健康のための予防になると考えるべきだろう。しかし、お風呂の水を少し飲んだとか、いっさい外出を控えるというような過剰な反応は禁物である。私たちは自然放射能からの放射線を日常的に浴びているのだから、その程度は許容すべきなのだ。その目安をどこにおくかは自分で判断するしかない。専門家ごとに意見が違うのだから、誰かに頼っても仕方がないのである。自分の気に入った専門家の言うことを盲目的に信じるのはやはり宗教と同じになってしまうだろう。
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プレゼン4 歴史編

未唯へ
 
 明日は誕生日です。今日は未唯の26歳の誕生日です。ケーキは奥さんの要望で木曜日にしました。

地域で生きていく

 地域でいかに生きていくのかが、それが一番重要です。それを支援することです。システムで支援するよりも、ネットワークで支援しましょう。グローバルで作るシステムはまだまだ先です。多分、間に合わない。

データベースを分ける

 データベースと分けると言っても、それをどう使うかです。販売店でどう使うのかを考える母体が必要です。それも店舗の人と一緒に使えることです。

 それをきめ細かくするために、ネットワーク会社の営業レベルを上げていきます。それで、販売店の要望を聞くことです。自分たちで勝手に決めても、後からの要望に合わせることです。

スタバの期待を超えるサービス

 スタバで初めて、お誕生日のメッセージカードを貰いました。スタバの5人のバリスタからです。朝、スタバで馴染のバリスタに誕生日のことを言ったら、昼間にお代わりで行ったら、完全に手作りのカードとVIA3本が用意されていた。その時に、馴染のバリスタが集まってくれました。期待以上のサービスですね。

 それをパートナーに見せたら、マニュアル通りでしょ、みたいな感じであしらわれた。まあ、そんなものです。2年前の誕生日はパートナーと元町のスタバで、ザッハトルテを奢ってもらいました。スタバを最初に行ったのは、12年前の2月14日です。ロサンゼルス図書館の前のスタバです。

プレゼン4 歴史編

 4.1.1 ナチ成立の過程
  ・歴史に偶然は存在しない。ナチ成立の理由
  ・歴史教科書ではナチの強奪でなく、合意
  ・沈黙の螺旋が働いて、全てを支配された
  ・時代の影響を受けるのは個人

 4.1.2 全体主義の実態
  ・ロシアのレーニン、トロッキー、スターリン
  ・中国を守るために、毛沢東は農民を支配
  ・農村部の10億人次第で中国は分裂
  ・経済力は増したが、物語のために犠牲

 4.1.3 グローバル化
  ・日本はローカル主体。海外侵略で変化
  ・グローバル化での集中で格差は発生
  ・米・中・露のグローバル間での競合と争い
  ・アメリカ支配というグローバルの行く末

 4.1.4 テロの世界
  ・健全なローカルが出来る前に、テロが脅威に
  ・自分に向かうシハードがテロとつながった
  ・グローバルに対するローカルの反発
  ・解決策はグローバルがローカルを支援

 4.2.1 歴史を学ぶ
  ・ローカルの生活基盤を争って、国ができた
  ・社会改革を循環で位置付ける
  ・個人と社会の間にグループができ、組織化
  ・21世紀の歴史では、超国家

 4.2.2 国の多様性
  ・フィンランドは市民主体社会の一つの見本
  ・トルコは新しいカタチで世界を変えていく
  ・一週遅れのギリシャが先頭に行く可能性
  ・韓国の飛躍の原因は歪んでいる

 4.2.3 歴史の仮説
  ・ローカルとグローバルに分けて、関係
  ・ローカルの動きが変わって、歴史を予想
  ・歴史の中での偶然には揺り戻しがある
  ・歴史を研究するにはサファイアの仮説

 4.2.4 将来から見る
  ・Local meets Globalから未来予想
  ・国を超えた、地球規模の課題
  ・未来を作れる人は、組織・国を超えている
  ・歴史は国を超えていく。超国家のアンバランス

 4.3.1 歴史の中の個人
  ・日本人の国民意識は家族中心
  ・革命家は国を超え、未来に向かう
  ・歴史はグループ〈雰囲気)が作る場合
  ・考えない人にメディアの力は一方的

 4.3.2 国というまとまり
  ・本来、国家は思惑があって、創られた
  ・日本はローカル意識で作られた
  ・フィンランドなどの小国は国の維持に勇気
  ・国家の連携は強まるが、軋轢も多い

 4.3.3 グローバルの限界
  ・グローバルは相手を負かす世界
  ・LmGからGmLへ変わることで、支配から支援
  ・個人の考え方で全体を統一することは独裁
  ・ローカルの意識・発想からグローバルを変える

 4.3.4 グローバルを突破
  ・アメリカの中間層の地域への動き
  ・ローカルの典型にアラブとの関係で変節点
  ・民主主義は賞味期限切れで、新しい政治原理
  ・ローカル発想で戦争がない世界

 4.4.1 私の役割
  ・数学的に社会の構造を示し、未来を提案
  ・歴史の方向がわかるライブラリを作り上げる
  ・歴史的な背景から地域コミュニティ構築
  ・日本が世界に対して、平和の提案

 4.4.2 サファイアで解明
  ・人間が考え、行動することから、アナロジー
  ・日本人の国民性と歴史との関係
  ・電気自動車のシナリオから産業変革
  ・歴史はエネルギー争奪。新しい歴史

 4.4.3 理論で考える
  ・人が多いほど、幸せになれるシナリオ
  ・北欧は教育制度と図書館を先に作り上げ
  ・複雑なものを数学的な思考する指導者
  ・相互関係を歴史の教訓とした、新しい空間

 4.4.4 平和への道
  ・ローカルでのエゴの衝突をなくし、全体の平和
  ・ローカルで作り上げ、トータルにアピール
  ・ローカルの技術で平和的に実現
  ・エジプトで歴史は動くことの啓示

 4.5.1 クライシス
  ・依存している地域は連鎖して壊れる
  ・ローカルは自らの手段を消失
  ・ローカルはグローバルを待つしかない
  ・グローバルは元に戻そうとするが、戻らない

 4.5.2 ローカルの再生
  ・ローカルは元々、自律していた。武器を渡す。
  ・知識と意識の融合で、活性することで自律
  ・次のクライシスへ備える知恵を地域から
  ・グローバルの均等な支援からの脱却

 4.5.3 ローカルが変わる
  ・ネット、クラウド、デバイスで伝える力
  ・柔軟なつながりで意思疎通し、情報共有
  ・社会ライブラリでの知の共有
  ・地域から始まる歴史の連鎖反応

 4.5.4 歴史は変わる
  ・アラブはコラボレーションから変わる
  ・クライシスという偶然から変わる
  ・有限に対する市民意識から変わる
  ・歴史のダイナミズムで連鎖し、サファイア社会

 4.6.1 社会コミュニティ
  ・自分たちで生きていく環境を地域に作る
  ・お互いの状況を理解できる範囲に拡大
  ・コミュニティでコラボする新しい市民社会
  ・新しいコミュニティが既存システムを吸収

 4.6.2 グローバルの崩壊
  ・グローバルが支配することで、ローカルは依存
  ・ローカルを支援することで活路
  ・ローコストのためにシェアに移行する企業
  ・行動はローカルに移り、政府は事務局

 4.6.3 サファイア社会
  ・既存組織の隙間を狙ったローカルが活性化
  ・ローカルがグローバルを変質
  ・ローカルの多様性を生かすグローバル
  ・グローバルとローカルをつないで、雇用創出

 4.6.4 未来へのシナリオ
  ・国を並べて、比較すると進化のパターン
  ・ギリシャは国としての意識が弱い
  ・トルコは地中海連合の核になる
  ・フィンランドは地域活性化で国を超える

 4.7.1 Local meets Global
  ・集まり、強くなる為に国は作られた
  ・個人の思いに市民に反応して全体主義
  ・大統領と軍隊が支配する専制主義
  ・ローカルから指示された民主主義

 4.7.2 Global meets Local
  ・環境問題は有限に達した。超国家に向かうのか
  ・テロではなく、ローカル世界を守る
  ・EUはTGALでやってきた。ローカル主体の超国家
  ・企業は市場の効率化に従って、ローカルを支援

 4.7.3 新LmG
  ・グーグルはローカルを支援し、メリットを戻す
  ・観光立国にすることで、ローカルを活性化
  ・市民が主役で、組織が個人を支援
  ・地域コミュニティが先行して、地域活性化

 4.7.4 未来の社会構造
  ・ライブラリは分散し、ネットで双方向
  ・国を超え、人を超えたライブラリが未来を示す
  ・危機感を共有し、コラボして、行動
  ・政府および地方組織が事務局

 4.8.1 市民を主体
  ・市民が主役のローコスト・ローエネルギー
  ・自分で出来ることは自分でやる市民力
  ・メディアに縛られずに、学習して、発信
  ・人が多いほど、環境が良くなること

 4.8.2 社会コミュニティ
  ・孤立と孤独の連携はライブラリでの自己研鑽
  ・フェースブックのように既存の隙間に入り込む
  ・事務局をハブにして、アイデアを力に変える
  ・社会コミュニティで政治に要求

 4.8.3 企業が変質
  ・モノ作りは日本の原動力。これを進化
  ・買うことから、コミュニティで使い切る
  ・ソーシャルのコンテンツでお客様とつなぐ
  ・ローエネルギーでの市民エネルギー発揮

 4.8.4 超民主主義
  ・目的意識を持って、迅速に意思決定
  ・市民コミュニティ主体で、平和を求める
  ・アラブ社会から新しい民主主義
  ・数学モデルで歴史を変えていく
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