みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

わたしは身代金を見出した

2021年12月03日 | ヨブ記

ヨブ記 33章14―33節

 コロナ変異株の拡大が社会の新たな脅威へとなっています。そのような中、日本への航空機の新規予約停止要請が政府から出され、批判や懸念を受けて数日で撤回したと報じられました。海外在住者の中には「自分の国なのに帰りにくくなる」とため息交じりで言う人も…。確かに「帰って来るな」というメッセージのようで、寂しさをおぼえました。

 エリフはこれまでのヨブの独白を耳を澄ませて聴いていました。23節の「仲介者」の存在は、ヨブが苦難の中で見いだした希望でした。エリフはヨブのことばを受け止め、それを整理してもう一度ヨブに投げ返しています。それが24節の「身代金」ということば、そして28節の「贖い出してくださった」ということばです。

 仲介者がヨブの誠実、潔白を証明したとしても身代金が必要だとエリフが言っていることに目が留まります。誠実なヨブを神はあわれんでくださるというのです。ここにヨブが聞くべき大切なメッセージが込められていると思うのです。ヨブは自分が神の前に誠実であるということを強く神に訴え続けていくことによって、気づかないうちに自分を神と同じところに置こうとするという高ぶりを持つようになっていたのです。

 人は神とは同じところに立つことはできない、神の前に立つことが許されるとしたらその人の義によるのではない、仲介者が必要であり、仲介者が支払う身代金がなければならない、そうして初めて人は神の前に出ることができる、しかも、神のあわれみゆえに…と、エリフは言っています。

 このエリフのことばに、イエス・キリストの姿が見えてきます。ヨブが待ち望んでいたのは、このお方でした。


2011-2024 © Hiroshi Yabuki