転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



某掲示板で紹介されていたので、読んでみたらウケたウケた。
はるな檸檬『ZUCCA×ZUCA(講談社MORNING)

宝塚に熱中しファンライフの何たるかを知っている人なら、
ここに取り上げられていることの多くは身に覚えがある筈だ。

第33場 不動産、アパートではないが観劇のためのホテル探しが毎回コレだった。
値段以外の縛りは「日比谷の東宝に一本で行けるか」、ただこれだけ
(西の宝塚大劇場のほうは最初からホテルが限られるから問題ない)。
有楽町か日比谷、銀座、悪くしても東銀座(←歌舞伎座にも行くから・爆)。
舞台そのものを見るばかりでなく、贔屓の生徒さんの楽屋入りと楽屋出にも
行かなくてはならないので、行き帰りに便利な立地のホテルでないと困るのだ。
部屋の綺麗さや設備の内容、レストランの善し悪しなど些細な問題だ。
あとは部屋で自由にビデオが観られると、ポイントが更に高かったものだ。

第28場 面接、私も昔、仕事で某放送コンクールの審査員をしたとき、
エントリーしてきた高校生の中に、そりゃ宝塚の芸名ちゃうんか、
と思える名前があって悶絶したものだった。
悶絶の理由を同僚の誰にも言えないし、ましてや本人には訊けないし。

第21場 全国ツアー、めちゃめちゃわかる(爆)。
独身時代の私は、こういうことのために仕事をしていたようなものだった。
旅行の趣味は元来全然なかったのに、旅公演を観るためだけに各地へ行った。
地域の美味しいものも名所も何も知りゃしない。行ったのは劇場ばかり。
初めての場所へ、地図を頼りに電車を乗り継いで行き、宿を取って泊まる、
ということに慣れたのは、ひとえに宝塚(とその他)関連の「道楽」の御陰だった。
私はこの活動を通して、知らない土地へ行っても、顔見知りの人間が居なくても、
目的のためなら大抵のことが、ひとりで解決できる人間になった(爆)。

第11場 用事、これは本当に身につまされる。
贔屓の生徒さんがいるときは、彼女の出ている公演期間はこちらも超多忙だ。
舞台は観られる限り何度でも通い、遅い日はショーだけでも観るようにし、
それができない日でも、「入り」と「出」には行けるように、
こちらの仕事の内容や時間を調節する必要があった。
初日や千秋楽などの大事な日(笑)は、特に早くからスタンバったものだ。
また、長い公演期間中には、えてして様々なことが起こる。
贔屓が風邪ひいたり怪我したり、場合によっては代役騒動になったり。
その都度、ファンは安穏としてなどいられない。現地に駆けつけなくては!
断っておくが、どれほど贔屓にしていても、こちとらは生徒さんの身内じゃないし、
多くの場合、顔見知りでさえないのだ。
「忙しいのよ、今、公演中だから」
は、ファン同志なら問題なく通じる説明だが、一般人には絶対に理解できない。
もしも言おうものなら、
オマエが出演するわけでもないのに、何が「公演中」だ?
と呆れられるのが関の山だ。

第10場 夏のイベント、これまた一般の人には意味不明なものが
宝塚ファンには非常に価値がある。
男装して目の上を青くしているお姉ちゃんたちが好きだ、
というところまではわかって貰えても、
なんでそんなおじーさんの作品まで必死で聴きに行かねばならないのか、
普通の生活をしている人たちには理解できまい。
どの生徒さんがどの時期の何に出演して、その役名がどうで主題歌が何で、
だから、この人が今の時期にこれを歌うのが、思いがけない豪華さなのだ、
等々と把握している者同士でないと、こういうものの価値はわかり合えない。

第8場 お誘い、宝塚ファンの大事な心得のひとつに、
『見られる舞台はすべて観る』というのがある。
声がかかったら、贔屓組でなくともとりあえず『行く』と返答する。
行けるかどうかなど考える必要はない。都合をつけるのは、それからだ。
どの公演でどんな出会いが(←舞台上の生徒さんとの)あるかわからないし、
更に、往々にして「あのとき、あの舞台を観ておいて良かった!」
としみじみと思い知る瞬間が、数年あとにきっと訪れる。請け合ってもよい。

第2場 カレンダー ①、これも本当に大切なことだ。
各組の公演お稽古が始まる日を「集合日」というのだが、
退団予定者があるときは大抵、その日に発表される。
ファンクラブに入っていれば、前日や当日朝に会員向けには、
「卒業させて頂くことになりました」等の封書が郵送されて来るが、
そういうツテがないときは、劇団発表、または仲間からの速報、がすべてだ。
気に入った生徒さんすべてのファンクラブに入ることなど、普通できないだろう。
「集合日」は仕事をしていても朝から落ち着かない(笑)。
携帯というツールができてから、私は仕事中も携帯は机の上に出しておいていたものだ。
○○ちゃん退団!の知らせが仲間から来ると、仕事部屋から走り出て、建物の外で、
「どうする!もう今度の○○の公演が最後だよ!お稽古待ち、とりあえず、この土曜日!」
みたいな打ち合わせをしたものだった。


それにしても、なんだか、とても懐かしい気がしてしまった。
今、私はそこまで必死の思いで熱中する贔屓の生徒さんが居ないので、
もはやこういう生活も、しなくなって久しい。
宝塚歌劇は見方もわかっているし楽しいので、今でも機会があれば観るが、
以前のように、「各公演一度は観る」という熱意はなくなった。
これは私が宝塚ファンとして終わったということなのか、
それとも、ファンとしての「モラトリアム」の時期に入っているだけなのか。
前者であることを祈りたい。家族のために(爆)。

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