転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



広島に昔からある音楽事務所グリーン・コンサートのサイトを見ていたら、
この秋、ラン・ランが広島に来る予定であるらしいことが、わかった。

10/15(土) 開演時間未定
クリストフ・エッシェンバッハ指揮 ランラン(ピアノ)
ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
(広島市文化交流会館/旧広島厚生年金会館)

エッシェンバッハは、今や完全に指揮者だと認識されているが、
私は未だに、ピアニスト時代の彼のことが忘れられない。
小さい頃、私はこの人のレコードを何枚も持っていて、
特に、モーツァルトのソナタが好きだった。
エッシェンバッハと、前に書いたヴァーシャーリ、フランス・クリダ、サンソン・フランソワ、
あるいはギーゼキング、といった面々が、私の幼い日の神様だった。

そうした中で、特にエッシェンバッハがほかの人たちと違っていたのは、
ツェルニー30番・40番など各種教則本の模範演奏を録音してくれていたことだった。
私が、ああいう練習曲系を積極的に弾きたがる変な(笑)子供になったのは
ひとつには、エッシェンバッハが見事な演奏を聴かせてくれたからだと思う。
ツェルニーの曲集は、子供のための執拗な「指の練習曲」ではなくて、
見事な弾き手に当たれば、小さなベートーヴェンに匹敵する音楽がそこに生まれる、
ということを、エッシェンバッハは私に最初に教えてくれた人だった
(当時はそのような語彙も理屈もなく、ただ「いいなあ」と思っていただけだったが)。

エッシェンバッハはピアニストとしての全盛時代から指揮を手がけていて、
私の記憶が正しければ70年代にはもう振っていたはずだ。
フー・ツォンは、『もっと早く指揮という方法を獲得していたら、
自分の表現できる音楽の世界が更に広がっていたであろうに』、
という意味のことを以前言っていたけれど、エッシェンバッハも、もしかしたら、
自分のピアノひとつでは表現しきれないものを求めてやむことがなく、
早くから、指揮を志すようになったのだろうか。

さて、更に嬉しいことに、そのエッシェンバッハと組んで今度広島にやって来るのが、
なんとあのラン・ランだ。
彼は広島に来るのは初めてだろうか?
当日の曲目がまだ発表になっていないから、何を弾くのかわからないが、
エッシェンバッハと組むのだし、もしかしてベートーヴェンをやってくれる?
と私は大いに期待している。
しかしラン・ランだと、聴き手としては彼の顔の見える席がいいかどうか、一考を要する。
ベトベンの4番あたりを、百面相演じつつ・鼻歌さえ歌いつつ弾かれたら、
まずその光景に耐えるのが大変で、音楽が吹っ飛んでしまいそうだから(笑)。

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