韓中日首脳会談:韓国、「米国の立場を代弁する安倍」を警戒
3年半ぶりに実現した韓中日3カ国の首脳会談が11月1日に開かれるのを前に、最近アジア太平洋地域の安全保障問題として浮上した南 シナ海問題が不確定要素となっている。専門家は「日本が南シナ海問題で中国と対立している米国の立場を代弁し、中国と対立した場合、ようやく3カ国による 『友好の場』をお膳立てした韓国は苦しい立場となる」と話した。一部からは「南シナ海の波風が3000キロ離れたソウルを襲うかもしれない」との言葉も聞 かれる。
中日の衝突が確実な南シナ海問題が二国間または3カ国首脳会談の公式議題として取り上げられる可能性はほとんどな い。しかし、公式議題ではなくても、日本の安倍晋三首相が3カ国首脳会談または同時開催される中日首脳会談などでこの問題を取り上げる可能性に専門家は注 目している。
国策シンクタンク関係者は28日、「東シナ海で尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権をめぐり中国と対立してきた日本にとって南シナ海問題は切迫した問題だ。安倍首相は中国の李克強首相の前で南シナ海問題に言及するのではないか」と語った。
峨山政策研究院のポン・ヨンシク上級研究委員は「中国が先に取り上げ、日本が反応することも考えられる」と指摘した。外交関係者は、3カ国首脳会談で中日が南シナ海問題で対立した場合に生じる状況を懸念している。韓国外交部(省に相当)の元職員は「3カ国協力の未来を話し合うために集まった首脳が対立する状況となれば、議長国の韓国としては最悪のシナリオだ」と話した。
南シナ海問題が韓日首脳会談で取り上げられるのではないかとの見方もある。世宗大の保坂祐二教授は「安倍首相は以前から韓国に対し中国問題を取り上げたがっていた。北東アジアの周辺情勢を説明する過程で北朝鮮問題とともに南シナ海問題に言及する可能性がある」と予想。ポン研究委員も「安倍首相が韓国の懸念する集団的自衛権を弁護する過程で南シナ海問題に言及するのではないか」と指摘した。集団的自衛権が米国のリバランシング政策と一致しており、韓米日3カ国の協調という意味合いで韓国も米日と歩調を合わせるべ きだという趣旨で取り上げられる可能性だ。
実際に南シナ海での緊張は米国のリバランシング政策と安倍首相に対抗する中国の「接近阻止・領域拒否 (A2AD)戦略」がぶつかってことで生じたという分析が聞かれる。すなわち、安倍首相はリバランシング政策に積極的に賛同する日本と米中の間であいまいな立場を取ってきた韓国の状況を対比し、韓国を苦しい立場に追い込む可能性があるということだ。
一方で、むしろ韓国が南シナ海問題を進んで取り上げるべきだとの意見もある。韓国外交部の北東アジア局長を歴任した東西大の趙世暎(チョ・セヨン)特任教授は「慰安婦問題もそうだが、今回の会談ではこれといった成果が期待できない。むしろ非公開を前提として韓日首脳が南シナ海問題のような地域情勢を突っ込んで話し合う方が生産的だ」と主張した。
韓日関係で最大の懸案である日本軍の従軍慰安婦問題は、今回の会談でも解決策を見いだすのは困難とみられる。韓国大統領府(青瓦台)幹部は「慰安婦問題は一時合意直前まで行ったが、日本が土壇場で立場を変えた。(会談結果は)韓国が期待する水準にはるかに満たないものになるはずだ」と話した。
韓日両国は今年前半、▲日本の首相による謝罪書簡作成▲元慰安婦の女性に日本の駐韓大使から手紙を送る▲日本政府の予算で被害者補償を行う――などの点を柱とするいわゆる「佐々江案」を参考にして、妥協点を探っていたとされる。
しかし、日本政府が今年7月に突然強硬な態度に転じた。同幹部は「7月に(朝鮮人強制徴用の歴史がある)日本の近代産業施設の世界遺産登録過程で日本の外務省が韓国外交部との交渉を誤ったと批判されたことが決定的だった」と分析した。
共同通信によると、安倍首相は28日夜、日本メディアに対し、「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と慰安婦問題を含め、率直に意見交換したい」と述べた。安倍首相は「(朴大統領と)未来に向かってどんな関係を構築するかについても率直に話し合いたい」とした。また、韓中日3カ国首脳会談については、「経済、文化、安全保障、環境、人的交流などさまざまな分野で胸襟(きょうきん)を開き、率直に意見を交換したい」と語った。