日朝協会「京都府連合会」です。韓国・朝鮮との友好を進める、日本人の団体です。1カ月¥500 841-4316福谷気付

 世界の出来事から日本・韓国・朝鮮の未来を見る。
 皆さんの声を生かして活動を進めます。

初級部生たちの朝大見学に同行した。取材日となった7月6日の訪問校は、東京第2、第6、第9初級の5年生児童22人。

2017-08-07 | 朝鮮新報より転載

ワクワク、ドキドキ朝大見学/都内の朝鮮初級部生たち

歴史、自然、体験など盛りだくさん

クロツラヘラサギの幼鳥に餌を与える(左が鄭鐘烈室長)

朝鮮学校初級部5年の「国語」の教科書には、「朝鮮大学校」という題目の教材がある。紀行文形式で書かれたこの教材には、西武線「鷹の台」駅から朝大へ向かう道のりから、緑に包まれた自然豊かな朝大の魅力がふんだんに盛り込まれている。関東圏を中心に、毎年この授業の一貫として取り入れられている、初級部生たちの朝大見学に同行した。取材日となった7月6日の訪問校は、東京第2、第6、第9初級の5年生児童22人。

教科書で見た朝鮮大学校

朝大に到着した子どもたちを出迎えたのは、教務部副部長の姜承福さんだ。

「みなさん、朝鮮大学校について学んできましたか?」と声をかけると、子どもたちは声をそろえて「はい!」と答えた。

「それでは、いくつか質問してみます。うまく答えられない場合、それは誰の責任でしょう?」

こう姜さんが尋ねると、数人の子どもたちが「先生の責任~!」と声を上げて、ゲラゲラと笑い声を立てた。

朝大の創立は1956年4月10日。それより10年ほど前に、子どもたちが現在通っている都内の朝鮮初級学校が創立された。解放直後の同胞生活と朝大創立、校舎移転に伴う経緯について姜さんが説明すると、子どもたちは真面目な表情で耳を傾けていた。

研究棟の前からスタートした一行は、まず庭園へと向かった。芝生の中央にはオオヤマレンゲ(朝鮮の国花)とツツジが植えられ、校内の至るところにたくさんのモクレンの樹が植えられている。

朝大の庭園にはたくさんの樹木が植えられている

庭園の先にある講堂は、朝大生自身の手で作られたものとして知られている。「教科書で習った内容だ!」と、子どもたちは右端と左端で高さの違う階段を自分の手のひらで測りながら上り下りしていた。

本物の「朝鮮」に触れる

図書館に続き、創立25周年記念館に向かった。一行を出迎えたのは、鎧を着けた馬にまたがる高句麗の武士。吸い寄せられるように近づいていく子どもたちに、姜さんは、これは広開土王時代のものだと説明した。

記念館に併設された朝鮮自然博物館で子どもたちは、虫眼鏡を使って大きな朝鮮地図の中から祖父母や曾祖父母の故郷の地名を探したり、朝鮮の魚や昆虫、5千年の歴史を誇るマンモスの化石などを食い入るように見つめていた。また、朝鮮歴史博物館では高句麗壁画や亀甲船、測雨期、日時計、青磁、白磁などを興味深そうにながめていた。

高句麗壁画の緻密さに驚く児童がたくさんいた

記念館の見学を終えた金脩亜さん(東京第2初級)は「自然博物館で見た木の切り株の標本が、何層にも年輪が刻まれていて興味深かった。歴史博物館では、高句麗壁画の一つひとつがよく描かれていてすごいなぁ~と思った」と感想を話した。

一方、権星伍さん(東京第2初級)は、初めに訪れた庭園が印象深かったという。「イナゴを捕まえたから。博物館では歴史を知れたし、動物をたくさん見られた。鷲が格好良かった」と語った。

五感を使って

一行は続いて、鳥小屋に向かい、30年にわたって渡り鳥の研究に励んできた朝大自然科学研究所野生生物研究室室長の鄭鐘烈さんの解説を聞き、養蜂場で「ミスター・ミツバチ」こと尹博正・施設管理部長の説明を受けた。

朝大の鳥小屋には、一時「絶滅危惧種」に指定されていたクロツラヘラサギが飼育されている。子どもたちは、朝大で人工孵化に成功した、クロツラヘラサギの幼鳥に餌付けをし、鳥小屋に「同居」するフラミンゴとのふれあいを楽しんだ。また、養蜂場では、直接、蜜蝋に触ったり、朝大産のハチミツの試食をしたりと目、耳、鼻、肌、舌でも朝大の魅力を味わっていた。

昼食は、食堂で辛めのカレーを食べた。午後には軽音楽部のミニコンサートを鑑賞し、教育学部の学生たちが企画した理科実験で、バブロケットや空気砲などを体験した。

李蒔温さん(東京第2初級)は「朝大のお兄さん、お姉さんたちが、僕たちのためだけにコンサートをしてくれたのが嬉しかった。声が素敵で、ギターを引く姿が格好良かった。知ってる歌もいくつかあった」と嬉しそうに話した。

郭来未さん(東京第9初級)は「今日は1日、いろんなことができて楽しかった。一番面白かったのは理科の実験。バブロケットがいつ飛ぶのかドキドキした」と言った。

また、李潤伊さん(東京第9初級)は「楽しいこともたくさんあったけど、朝大に込められた歴史を改めて振り返り感動した。昔の朝大生たちがみんなで力を合わせて講堂の階段を作ったり、勉強してウリハッキョの先生になったりと、全部が感動した」と笑顔で話した。(金潤順)

 

 

 


7月29、30日にかけて京都府長岡京記念文化会館(京都府長岡京市)で開かれ、述べ700人の観客が足を運んだ。

2017-08-06 | 朝鮮新報より転載

〈文芸同朝鮮舞踊コンクール〉総勢211人の舞踊手たちが参加

代を継ぎ、各地に民族芸術開花

文芸同大阪・群舞「일편단심 붉은 마음 간직합니다」

異国の地で世代を越え、発展を遂げてきた在日同胞舞踊の歴史。その中心には先代たちの意思を継ぎ先頭にたってバトンをつなぐ文芸同舞踊部員たちがいた。

今年第10回を迎えた在日本朝鮮文学芸術家同盟朝鮮舞踊コンクールが、7月29、30日にかけて京都府長岡京記念文化会館(京都府長岡京市)で開かれ、北海道から福岡まで10ヵ所の文芸同支部、各地舞踊研究所から総勢211人の舞踊手たちが参加。初開催となった京都会場には2日間で述べ700人の観客が足を運んだ。

 

2002年、文芸同同盟員たちの舞踊技術の向上のため初めて開催された同コンクールは、09年(第6回)に、舞踊研究所の初・中・高級部学生たちを対象に研究生独舞部門を増設。13年(第8回)から15年(第9回)にかけて、各地朝鮮舞踊研究所や地域サークルを参加対象にするなど年々幅広い参加層を募り、2年に一度、全国の舞踊愛好家たちが集う一大イベントとなっている。

文芸同兵庫・群舞「陽山道」

今回からは、カ組(30歳以下)、ナ組(30歳以上)に加え、40歳以上の部門となるタ組を新たに設け、20代から70代までの舞踊手たちが、日頃の練習の成果を余すことなく発揮した。

しなかやかな手の動きにスピーディーな足踏み、色とりどりの衣装をまといプッやチャンゴなどの楽器を鳴らしながら舞台で輝く舞踊手たち。年を重ねても輝きを増す場、快感や感動がおしよせる場、女性たちのエネルギーが溢れんばかりに集結する場がまさに、朝鮮舞踊コンクールの現場だ。

コンクール初日、朝9時から会場は、衣装のアイロンがけや、化粧をする参加者と椅子で足場がないほど。それに加え、出演時間直前まで練習を重ねる人たちの熱気で館内は沸点寸前に。忙しく会場を行き来する審査委員やスタッフ、参加者たちをよそに、家族に連れられやってきた子どもたちは忙しなく走り回り、夜9時に審査が終わる頃にはぐっすりと眠りに落ちる光景が至るところでひろがった。12時間に及ぶ審査中、舞台にあがったバラエティに富む101作品に、京都同胞をはじめ観客たちは惜しみない拍手と声援を送った。

文芸同東京・群舞「白頭山に行こう」

2日間のコンクールを終え、閉会式の場で挨拶をした文芸同中央の金正守委員長は、「人の心を動かすうえで、政治が成せない役割を文学芸術が成している」としながら、「在日同胞社会を代を継ぎ発展させるということは、民族性を繋いでいくということ。民族性は、民族文化をもって身につけることができるもので、まさに朝鮮舞踊には、ウリ文学、音楽、衣装、動作、小道具など民族を感じることのできるすべてがつまっている。舞踊を通して民族性を守り同胞たちに力を与える、そんな誇らしい活動をしているというプライドを持って引き続きがんばってほしい」と語った。

群舞「일편단심 붉은 마음 간직합니다(一片丹心、心を捧げます)」が金賞を受賞した文芸同大阪で、成人クラス責任者を務める鄭千香さん(45)は、「メンバーも年々増え、今では55歳の先輩たちも含めた大家族になった」としながら「練習期間、週3回の練習を重ねるなかで、舞踊を愛する気持ちと情熱、時間、労力すべてを注いで創りあげた。異国の地でも祖国を思う一心で、力強く生きていくという舞踊部員たちの決意が、成果に繋がったと思う」と嬉しそうに語った。

コンクールに参加するため北海道からやってきた洪成華さん(22)は、現在北海道初中高で初級部教員を務める。文芸同組織が結成して間もない文芸同北海道支部では、「次世代へ伝統を引き継いでいくこと」にコンクール参加の目的を置いたという。

「まだまだメンバーは少なく、そのほとんどが教員という現状。現在北海道朝高でも、舞踊部に所属する学生は1人しかいない。そんなかで文芸同の活動が、いま学ぶ学生たちにも影響を与えられるよう今後も練習に励みたい」

「メンバーの大半が10年以上文芸同活動をしてきたベテラン」と話すのは、文芸同東京の李玉敏さん(47)。李さんは「現在参加しているメンバーたちは、学校のオモニ会や地域の女性同盟活動にも積極的に参加している活発なオモニたち。メンバー皆が共有している思いは、『心をひきつけるような朝鮮舞踊の素晴らしさを継承したい』ということ」だと語る。またこの日は、28日に大阪無償化裁判の勝利判決が出た次の日ということもあり、李さん含め、文芸同東京のオモニたちの話題は、9月に行われる次の東京での裁判判決についてだった。

李さんは「昨日も裁判勝利の知らせを聞いて、次の東京でも必ず勝利を勝ち取るという勇気をもらった」としながら、「朝鮮舞踊を通して追求するものは、無償化裁判闘争と決して異なるものではく、在日朝鮮人運動すべてに連動していると思う。今後も、文芸同の活動を通じて同胞たちの力になれるよう励んでいきたい」と決意をあらわにした。

(文・韓賢珠、写真・文光善文芸同中央写真部長)

 

 

キャンドル市民革命は、朴槿恵が執拗に追求した北南対決政策を拒否した。当面の急務は最悪の状態に陥っている北南関係を改善することである。

2017-07-22 | 朝鮮新報より転載

〈朝米対決を総決算すべき時(上)〉「第2の6.15時代」の実現へ

急務は南北関係の改善

朝鮮は大陸間弾道ロケット(ICBM)「火星14」型の試射に成功した。米本土を射程内に収める北の画期的な抑止力強化は、朝米対決を総決算すべき時機の到来を予告し、南の高揚したキャンドル市民革命とともに今後、朝鮮半島における情勢の帰趨を決定する要因となろう。

1700万人が決起したキャンドル市民革命は、徹底した親米、親日保守の朴槿恵政権を惨めな破局に追いこみ政権交代を実現させた。

キャンドル市民革命は、朴槿恵が執拗に追求した北南対決政策を拒否した。

大きな情勢変化のなかで、当面の急務は最悪の状態に陥っている北南関係を改善することである。しかし、この問題は南の政権が変わったからといってひとりでに改善されるものではない。それは誰が政権を握るかにあるのではなく、民族共同の統一綱領である「6.15共同宣言」と「10.4宣言」を尊重し、誠実に履行する意思があるか否かにかかわるからである。

根本的変革を求める民心

1700万の民衆による革命は積弊の根本的な清算を要求したのであって、一時的な解決や中途半端な妥協を選んだのではない。南の民衆は主権者として変革を求め、対立ではなく北南の同じ民族が平和に生きる「第2の6.15時代」を望んでいるのだ。

文在寅大統領はかねて米国に対し「ノー」といえる態度をとると主張した。南の民心は米国の顔色を伺うことなく毅然として言うべきことを言う主体的姿勢を期待した。しかし北にたいする更なる制裁強化に同調し、THAAD配置でも前言を翻して全て米国の指示をあおぐ態度に終始したトランプとの首脳会談はけっして民心の期待に沿ったものではない。

現在、南朝鮮当局は北南関係の改善より「韓米同盟の強化」を優先させ、緊張激化の最大原因である米韓合同軍事演習を容認する態度をとっている。破綻した開城工業地区事業などを修復することにたいしても立場が曖昧である。

南朝鮮当局が朴槿恵政権と何ら変わらぬ路線をこのまま続けるのであれば、市民革命の民心はこれを許さないだろう。南朝鮮当局が真に「6.15共同宣言」の理念を継承し、市民革命の民心を代弁する政権であるならば、なによりも北南関係改善にたいする意思を明確に示し、米国の顔色を見るのでなく主体性を堅持し勇断を持って事にあたるべきである。

中見出し‐「6.15」に基づく対話を

李明博は「5.24措置」によって北南交流を全面的に遮断し、朴槿恵は北南協力事業の最後の拠点であった開城工業地区の灯を消した。

本来、開城工業地区事業と金剛山観光事業は北南の和解と共栄のシンボルであった。開城は38度線に接する前線地域で最重要な軍事的要衝である。にもかかわらず1000万坪の広大な土地を提供したことは北が民族の和解と共栄をどんなに切実に望んでいるかを行動で示したのであった。

開城工業地区の第1段階事業は実績をあげていた。そのまま第3段階まで発展すれば2000余の南の企業も参加し、北南協力で年間500億ドルの国際競争力のある製品を生産できた。朝鮮の豊富な地下資源と北南の高い技術、労働力を結合すれば、これは十分可能なことである。朴槿恵はこのような民族和解と共栄の道を断ったのである。

市民革命は朴槿恵を追放したことで終わらない。最悪の状態にある北南関係を解決しないかぎり南の民衆が真に望む変革、新しい生活、新しい社会、新しい制度を実現することはできない。南朝鮮当局は市民革命で示された民衆の強大な力に依拠し、確信をもって「6.15共同宣言」にもとづく対話を進めてこそ北南関係は解決に向かい、民族和解の道は開かれよう。

(白宗元・東京在住)


– 朝鮮が弾道ロケット試射を続ける目的は?  みなさんは、どう思われますか? 

2017-07-13 | 朝鮮新報より転載

〈そこが知りたいQ&A〉朝鮮のICBM試射成功、今後の情勢は?

米国の政策転換が焦眉の課題に

米国の独立記念日に合わせて「火星14」型の試射が行われた。(労働新聞)

米国の独立記念日である7月4日に合わせ、朝鮮は大陸間弾道ロケット(ICBM)「火星14」型を試射し、成功させた。その政治的、軍事的な意味をQ&Aでまとめた。

 

「米の心臓部攻撃できる」

– 「北朝鮮がICBMを完成させるのにあと数年かかる」といわれてきた。

米国とその追随勢力は「北の核・ミサイル脅威」を騒ぎ立てる一方で、朝鮮の技術力(ミサイルの飛距離、核弾頭の小型化および大気圏再突入技術など)を過小評価し、自らが直面する危機への対応を先送りするという矛盾した態度をとってきた。

金正恩委員長のリーダーシップによって経済建設と核武力建設の並新路線が採択(13年3月)され、朝鮮の核・ミサイル開発に拍車がかかった。それは他の核保有国における前例を覆す猛烈なスピードで進んだ。

今年の新年の辞で「ICBM試射の準備が最終段階にある」と表明したのは、米国に対する最後通牒であると同時に国内の国防科学者たちへの至上命令だったのだろう。既成概念では開発に最低7~8年かかるといわれた新型の大出力エンジンンを数カ月で完成させ、3月に地上噴出実験を実施、5月にはそのエンジンを搭載した中長距離弾道ロケット「火星12」型の試射を成功させた。そしてそれから2ヵ月も経たない時点でICBM「火星14」型の試射が決行された。金正恩委員長がこのすべての過程を直接指導し、科学者たちはリーダーの構想を実現するために核戦争抑止力の完成に心血を注いだ。

朝鮮では高度の科学技術力以外に、一心団結のパワーが核・ミサイル開発の原動力になっている。他のICBM保有国(米国、ロシア、中国、インド、イスラエル)にはない目標達成の秘訣だ。

– 今回、米国政府も「火星14」型をICBMとして認めた。米メディアはアラスカに到達する能力があると伝えている。

過小評価の悪習は相変わらずだ。1段式ロケットの「火星12」型は通常より高い角度で打ち上げる「ロフテッド軌道」に沿って2115.5km上昇し、787km飛行した。朝鮮は「火星12」型が「ハワイとアラスカを射程内に収める」と明らかにした。2段式ロケットの「火星14」型は最高高度2802km、飛距離933kmで射程はさらに伸びた。試射成功を確認した金正恩委員長は「米国の心臓部を攻撃できる」と述べている。

「正しい選択」するまで

– 米国や日本は、今回も「国連安保理決議違反」だと騒いでいる。

どの国も弾道ミサイルを試射できるが、朝鮮だけは許されないという安保理決議に国際法上の根拠はない。米国が国際社会に強制した不当な二重基準の矛盾は、トランプ政権発足後に一層あからさまに表れている。米国はICBM「ミニットマン3」の試射を繰り返し、「北のICBM攻撃」を想定した迎撃ミサイルの発射実験も行っている。「火星14」型試射の翌日には南と合同で「北指導部への精密攻撃」を想定した弾道ミサイル発射訓練を実施した。停戦体制下で、朝米はいまだ交戦関係にある。米国が「ミサイルにはミサイルで対応する」というのなら、当然、朝鮮も同じように対処する。

– 朝鮮が弾道ロケット試射を続ける目的は?

「火星12」型試射が行われた際、金正恩委員長は「米国とその追随勢力が正しい選択をするまで高度に精密化、多種化された核兵器と核ミサイルを製造し、必要な実験・試射の準備を進める」ことを命令した。米国が朝鮮を敵視し、核戦争威嚇を続けるという「間違った選択」に固執するなら、核実験や弾道ロケット試射は止まらないということだ。

過去には、ジュネーブ合意(94年)のように「核開発プログラムの凍結」対「軽水炉の提供」という取引が成立したが、現在は、朝米双方が核保有国として対峙している。何かの見返りについて議論する段階は過ぎた。核戦争回避のためには、朝米の敵対関係それ自体を解消しなければならない。

並進路線にもとづく核武装は戦争のためではない。朝鮮は、第二次大戦後、朝鮮半島を分断し、戦争を始めたトルーマン政権からトランプ政権に至るまで綿々と引き継がれてきた「間違った選択」を改めさせようとしている。長年の敵対国に対する要求は簡潔明瞭だ。米国は、朝鮮敵視政策をやめて、朝米の戦争状態に幕を引くことだけをすればいい。トランプ政権は「核放棄すれば、体制転覆をねらわない」などと懐柔策を示しているが、口先だけの「体制保障」など、朝鮮は求めていない。

パワーバランスの変化

– 米国にとって朝鮮が超えてはならない「レッドライン」は「ICBMの完成」との見方があった。

メディア報道が煽った側面がある。「レッドライン」という用語は、軍事力行使を前提にしなければ使えない。 ところが、米国の先制攻撃は、不可避的に朝鮮の報復攻撃を招き、すべての参戦国に甚大な被害をもたらす。軍事力行使を決断できない米政府としては「レッドライン」を明確に定義できない。実際、「火星14」型が試射された後も、トランプ大統領は「レッドラインは引かない」と述べている。

米本土に対する朝鮮の報復攻撃能力が証明されたことで、米国内でも、軍事手段によらない問題解決を求める世論がさらに広がると予想される。米政府としても「火星14」型をICBMだと公式認定した以上、国家安全保障の見地から何らかの対応を求められるようになるだろう。

– 今のところ米国は制裁をさらに強化するとしている。

トランプ政権発足後、核空母打撃群を動員した軍事威嚇や中国を通じた制裁強化策がとられたが、朝鮮の弾道ロケット試射は止まらなかった。今後、米国が「正しい選択」をせずに、制裁を強めれば、朝鮮が最高指導者の命令に従って3段式弾道ロケットの試射や核実験を行う可能性もある。

しかし、朝鮮の核武装が完成段階に入ったことで、国際政治の潮目は変わりつつある。「火星14」型試射と同じ日に中ロ首脳が合意した共同声明は、朝鮮側が抱く安全保障上の「正当な懸念」は尊重されるべきだと表明、米国と南の合同軍事演習を凍結することで対話の環境を整えることを提案した。国際社会で独断専行を続ける米国を中ロが「朝鮮カード」を使ってけん制する構図だ。一方、北南関係改善を外交主導権確保の前提と位置付ける文在寅政権は、「火星14」型試射後も、北と対話する意向を示し、北南首脳会談についても言及している。

朝鮮の戦略的地位の変化が地域のパワーバランスに影響を与え、情勢の流動化を引き起こしている。各国は「北の核保有は認めない」との建前は残しつつ、「米国に対して核戦争抑止力を確立した朝鮮」という強力なプレーヤーを念頭に置いた外交構想を練り始めている。

– 朝鮮国内の反響は?

「火星14」型試射の翌日、労働新聞は朝鮮が「不正義の暴政を終わらせる偉大な力を持った」と強調した。朝鮮人民が幾多の犠牲を顧みず、自国の核・ミサイル開発を支持するのは、その先に積年の願いの実現を見ているからだ。分断の元凶であり、平和の破壊者である米国の不当な介入や干渉を排除できれば、朝鮮の経済復興も、祖国の統一も自力で成し遂げることができる。

「火星14」型を開発した国防科学院の院長も平壌市慶祝大会に出席し、朝鮮の民心を代弁した。彼は、社会主義の勝利と祖国統一の歴史的偉業を達成するという金正恩委員長の戦略的構想を「より強力で発展した先端兵器の開発によって忠実に支える」と演説し、群衆の熱烈な喝采を浴びた。

(金志永)

 

 

 

米国が、国連メンバーの主権国家である朝鮮を核とミサイルで威嚇、挑発していることこそが、朝鮮半島情勢を緊張させているのだ。

2017-05-14 | 朝鮮新報より転載

対朝鮮侵略を煽る安倍政権御用記者の犯罪/浅野健一

「隣国の不幸を願い、楽しむような言動」

トランプ米大統領が4月7日、シリアの空軍基地をミサイル攻撃し、13日にはアフガニスタンでイスラム国(IS)地下施設の破壊を目的として大規模爆風爆弾「モアブ」を初めて使用して以降、日本の企業メディアは1カ月にわたって、米軍の次の標的は朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)だとして、侵略戦争を煽る「Xデー」騒ぎを繰り広げた。韓国の保守系紙・朝鮮日報が4月18日の社説で、「日本の一部メディアは、まるで韓半島ですぐに何かが起こるかのように軽はずみな振る舞いをしている」「(日本の)公職者たちはまるで隣国の不幸を願い、楽しむような言動」をしていると非難するほどの異常さだった。

軍事的選択肢を容認する安倍首相

トランプ大統領が何をするか分からないという怖さがあったのは事実だ。ロシアと共に大量の実戦用の核兵器を保有する米国が、国連メンバーの主権国家である朝鮮を核とミサイルで威嚇、挑発していることこそが、朝鮮半島情勢を緊張させているのだ。

米原子力空母カール・ビンソンが朝鮮半島近くに配備され、原子力潜水艦ミシガンが韓国釜山港に入港。在韓米軍は4月26日韓国に、最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を強行搬入し5月2日稼働させた。

4月末には、海自のイージス艦と護衛艦が東シナ海でカール・ビンソンと共同訓練を行った。5月1日から2日間、海自の護衛艦「いずも」が米海軍の補給艦を護衛した。憲法違反の戦争法に基づく初めての「武器等防護」命令だった。

元A級戦犯被疑者の岸信介氏を敬愛する安倍晋三首相は、国際法違反のシリアへの侵略行為に対し、「米国の決意を支持する」と表明し、朝鮮に対する武力攻撃を含む「すべての選択肢がテーブルの上にある」との大統領発言を支持し、軍事的選択肢を容認した。

国有地を8億円値引きして安倍記念小学校用地として提供したアッキード事件で苦境にあった安倍官邸は、米国の戦争挑発を歓迎して、朝鮮を「敵国」として危機意識を煽った。

安倍首相は4月13日の参院外交防衛委員会で、「北朝鮮が(化学兵器の)サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と指摘した。また、菅義偉官房長官は同日の会見で、「北朝鮮は化学兵器を生産できる複数の施設を維持し、すでに相当量の化学兵器を保有していると見られる」と述べた。

菅官房長官は21日、「ミサイル落下時の対応策」を発表。政府は同日、都道府県の危機管理担当者を集め、「北朝鮮のミサイルに備えた住民の避難訓練」を呼び掛け、秋田県では既に実施された。内閣官房のHPの「国民保護ポータルサイト」には「ミサイル落下時の行動について」と題したマニュアルが掲載された。政府が全国瞬時警報システム(Jアラート)でミサイル落下の恐れを緊急発信した場合にどのような行動をとればいいかが書かれている。

まず、〈弾道ミサイルは、発射からわずか10分もしないうちに到達する可能性もあります〉と指摘。〈武力攻撃やテロなどから身を守るために事前に確認すること〉として、次のように記されている。

〈物陰に身を隠すか、 地面に伏せて頭部を守る。窓から離れるか、 窓のない部屋に移動する〉〈屋外にいる場合:口と鼻をハンカチで覆い、現場から 直ちに離れ、密閉性の高い屋内または風上へ避難する〉〈屋内にいる場合:換気扇を止め、窓を閉め、目張りをして室内を密閉する〉

自民党の茂木敏充政調会長は4月23日のNHK日曜討論で「新たな段階の脅威で、米大統領の断固たる姿勢を評価する」と述べ、ミサイルが発射されたら「ただちに発信する」と発言した。

安倍首相は5月2日付の夕刊フジに載った「独占インタビュー」で、「トランプ氏の北朝鮮への覚悟は本物か」との質問に対して、「間違いない」と断言。「今までとは違う強いレベルの圧力をかけなければならない」と言明した。「軍事的対応もテーブルの上にあるのか」との問いに、「まさに、すべての選択肢がテーブルの上にある」「高度な警戒・監視体制を維持する」と述べ、米国の軍事行動に期待する発言までしたのである。

朝鮮が4月29日早朝に行った弾道ミサイル発射実験では、日本では東京メトロが約10分、運転を見合わせた。北陸新幹線も約10分間、一部区間で安全確認のためストップする過剰反応を示した。菅官房長官が2回も記者会見して、政府の危機対応をアピールした。

メディアの体制翼賛体制

安倍官邸の過剰反応を批判すべき報道機関は、真正面からの批判を避けている。戦争法、共謀罪では政権に批判的なメディアも、朝鮮情勢については、体制翼賛体制だ。

日本のテレビに元自衛隊トップが評論家としてこれほど登場したのも前例がない。元自衛艦隊司令官(海自海将)の香田洋二氏と伊藤俊幸・金沢工業大学虎ノ門大学院教授が朝米戦争勃発でこうなるなどと解説した。香田氏は「週刊文春」5月18日号の〈元海自司令官らが断言 米朝もし戦わば「1時間で平壌制圧」〉と題した記事で言いたい放題だ。

2001年からのアフガン・イラク戦争で、米テレビに元軍幹部たちが解説者を務めていた光景を思い出した。

軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏は「北朝鮮の兵力を徹底分析!」などのタイトルで解説。TBSテレビで、「みなさん誤解しているのだが、(朝鮮は)ミサイルを発射しているのではなく、先端に爆弾は搭載していない実験だ。ただ、誤って日本本土に落下する危険性はある」などと迷走コメントした。ロケット発射で飛翔体が落下する場合、燃え尽きるので本土に「落下」することはない。黒井氏は、日本や韓国のロケット発射の際にも「本土への落下」を云々するのだろうか。

テレビやネットでの御用文化人の戦争待望コメントは日本の文化水準の低さを表している。辛坊治郎氏は4月15日の読売テレビの「ウェークアップ!ぷらす」で、「北のミサイルが怖くて、大阪では地下街を歩く人が増えている」と述べ、田崎史郎・時事通信特別解説委員は「今、安倍政権で良かったと思っているんです。他の政権だと心配ごとが多かったんじゃないかと…」とコメントした。安倍政治だから危ないのだ。

官邸広報官とも言うべき山口敬之氏(元TBS記者)は「今は森友問題にかまけている場合じゃない」「VXガス搭載のミサイルが日本列島に撃ち込まれる」「(朝鮮情勢を)騒ぎすぎという奴は全員北朝鮮で毒饅頭を食らっている」などの妄言を連発。山口氏は日ロ首脳会談の際は、「北朝鮮問題で対立するトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の双方と親しい安倍首相が、両国の橋渡し役になれる」と発言した。

元韓国大使の武藤正敏氏、元外務省北米課長の岡本行夫氏、元防衛相の小野寺五典・中谷巌両氏ら首相に近い人物たちがテレビに出た。

歴史に無知なテレビ局は「朝鮮戦争勃発か」「第二次朝鮮戦争の危機」などと煽ってきた。朝鮮戦争は1953年に停戦になっており、終わっていない。「第二次」ではなく、朝鮮戦争の再開だ。朝鮮が求めているのは朝鮮戦争の終結と朝米平和条約の締結であり、朝鮮半島の非核化であることを報道しない。

朝鮮の場合だけ、ミサイル発射と表現し、「ミサイル実験」とは言わない。リベラルな記者でさえ、米軍のシリア攻撃について、「国際法違反の疑いすらある」という控えめな表現を使っていた。なぜ、米国がアラブで主権国家にミサイル攻撃をする権利があるのか。国連決議もない武力攻撃は国際法違反の侵略行為だ。

米国の大学のジャーナリズム論の教科書に最初に書いてあるのは、双方の言い分を聞くことと、できるだけ多様な事実、意見を提供することだが、日本の朝鮮報道は100対ゼロだ。朝鮮の主張に耳を傾ける姿勢がない。

日本政府とキシャクラブメディアは15年前から、それまで朝鮮の呼称を「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」(新聞)、「北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国」としていたが、正式国名を省き、「北朝鮮」とか「北」と呼ぶようになった。

朝鮮が米韓の軍事的圧力に対し防衛力を整備することに対しては「挑発」とか「瀬戸際外交」と呼ぶ。米韓の軍事演習は「圧力」と表現する。

米空軍が4月26日、ICBM(大陸間弾道ミサイル)ミニットマンIIIを数千キロ離れた南太平洋に着弾させる発射試験を実施した。日本のメディアは、「核抑止力のテスト」と報じた。朝鮮のミサイル実験を非難しながら、米国の試射は国防のためだと正当化するのは明らかなダブルスタンダード(二重基準)だ。

日本の報道機関の報道に接するのは日本国籍者だけでなく、在日朝鮮人、外国人もいるという視点が全くない。日本の報道機関の悪いところが全部出ているのが朝鮮に関する報道である。

安倍官邸とメディアが朝鮮有事を煽っていた5月1日、トランプ大統領は米通信社のインタビューで「これはニュースになるだろうね」と強調したうえで、「環境が適切なら金正恩委員長と会ってもいい」と発言。また、3日にはティラーソン国務長官が講演で、「(米国)北緯38度線の北側に入る理由を探しているわけではない」と侵攻の意図がないことを明言し、米政権が対話路線を取った。5月9日から2日間、オスロで朝米非公式協議が行われた。戦争を煽ってきた日本メディアは戸惑いを隠さない。

日本政府と政権党とキシャクラブメディアに洗脳された国民のほとんどは、日本が40年間にわたって朝鮮を侵略・強制占領した過去の人倫に反する罪を謝罪し、過去清算をしていないことを忘却している。国交正常化を目指すと公約した日朝首脳による2002年の平壌宣言のことも無視している。小泉元首相が平壌宣言に署名した時、小泉氏のすぐ隣にいたのが安倍氏(官房副長官)である。

過去の侵略の加害者側が、被害者側の朝鮮が日本を攻撃してくると騒ぎ立ているのである。

日本は、2000万人以上のアジア太平洋地域の無辜の市民を死に至らしめた過去の歴史を反省し、70年前に施行した日本国憲法前文で、〈政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意〉〈平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意〉したはずだ。

この非戦・平和主義を日本国憲法の前文と第九条で誓約した日本の首相が、米大統領との電話会談で、米国に先制攻撃をやめるよう要請せず、対朝鮮攻撃を煽る発言を繰り返してきたのは異常な事態だ。

朝鮮を嫌悪する日本の報道界は、民衆メディア、野党、市民運動が腐敗政権を打倒し、韓国大統領に選出された文在寅氏を新大統領に選んだ韓国に対し、素直に評価しない。新大統領は最初の会見で、「条件が整えば平壌にも行く」と表明し、南北融和路線を示した。開城工業団地、金剛山観光の再開も始まる。日本の政府与党、反動文化人は新大統領にも因縁をつけている。日本軍「慰安婦」問題での日韓合意の見直しが気に入らないのだ。

韓国の大学講師をしている元ゼミ生は「韓国ではいつもと変わらない。どうして日本ではそんなに騒ぐのか分からない。韓国では新大統領が これから南北の緊張も緩和していくと思う」と話している。

共同通信によると、マニラで4月29日開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、フィリピンのドゥテルテ大統領(議長)は「米国は朝鮮半島から手を引くべきだ」「核戦争に勝者はいない。(派遣された)米国の軍艦は恐怖を呼んでいるだけだ」などとも述べた。日本の記者たちは、こういう視点ぐらいは持つべきだろう。

(同志社大学大学院メディア学専攻教授=大阪高裁で地位係争中、元共同通信記者)


文候補は洪候補を557万951票差で引き離し、歴代最多票差での当選となった。

2017-05-10 | 朝鮮新報より転載

「共に民主党」文在寅候補が当選/第19代南朝鮮大統領選挙

9日に行われた第19代南朝鮮大統領選挙で、革新系最大野党「共に民主党」の文在寅候補が1342万3800票で全体の41.08%を得票し当選した。今回の選挙には3280万7908人が投票、18代大統領選挙(2012年)より1.4%高い77.2%の投票率を記録した。

続いて「自由韓国党」の洪準杓候補が785万2849票(24.03%)、「国民の党」の安哲秀候補が699万8342票(21.41%)、「正しい政党」の劉承旼候補が220万8771票(6.76%)、「正義党」の沈相奵候補が201万7458票(6.17%)と集計された。

文候補は洪候補を557万951票差で引き離し、歴代最多票差での当選となった。

 

文新大統領 軍統帥権者としてまず前線の態勢を確認

2017/05/10 08:52 

【ソウル聯合ニュース】韓国の中央選挙管理委員会が10日、第19代大統領選の結果を議決し、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏の5年の大統領任期が始まった。

合同参謀本部議長と話す文新大統領(青瓦台提供)=(聯合ニュース)
合同参謀本部議長と話す文新大統領(青瓦台提供)=(聯合ニュース)

 文大統領はまずソウル市内の自宅から韓国軍制服組トップの李淳鎮(イ・スンジン)合同参謀本部議長と電話で話し、前線の警戒態勢を確認した。朝鮮半島を巡る安保の危機感が高まる中、軍統帥権者として安保問題から取り組む姿勢を示すことで国民の不安を払拭(ふっしょく)する意図とみられる。

 文大統領は午前10時に国立ソウル顕忠院(国立墓地)を訪問する予定だ。戦死者をしのび、新大統領就任への覚悟を新たにする。

 続いて国会に移動し、丁世均(チョン・セギュン)国会議長と会った後、国会本会議場前の中央ホールで就任宣誓を行う予定だ。

 文大統領が午後、野党の本部を訪れ国政運営への協力を求めるかも関心を集める。選挙期間中の演説では「当選すれば当日に野党本部を訪ねる。今後の韓国のために共に力を合わせようと手を差し出す」と述べていた。

mgk1202@yna.co.kr


まるで「飛んで火に入る夏の虫」だ。日本の新たな対米従属外交の始まりを告げている。

2017-02-13 | 朝鮮新報より転載

「破格の待遇」

各国首脳に先立って就任前の大統領に会うために米国を訪問するという異例の行動に出た安倍首相は、初の首脳会談でもトランプ大統領との親密さをアピールした。米国第一主義の提唱者も、自分に媚びへつらう日本の首相を異例の厚遇で持てなした春夏秋冬

▼これまでのトランプ発言を考えれば、日本にとって胸をなで下ろす会談になったのかもしれない。例えば、日米安保体制は米国だけが義務を負い不公平だと主張していた大統領が、会見で「米軍を受け入れてくれていることに感謝している」と述べた。共同声明には「北朝鮮の核・ミサイルに対処するための日米韓同盟の強化」が盛り込まれた

▼しかし世界の人々には、外国首脳の中で日本の首相がいの一番にトランプの手中に落ちたと映る。ビジネスマン出身の大統領は、常軌を逸した過激な言動を意図的に繰り返し、自分の要求や条件を呑ませる手法を使っている。「あの大統領ならやりかねない」とおじけづいた相手が譲歩するように追い込んでいく

▼今回の会談で通商問題や為替政策での対日批判は表面化しなかったが、米国第一主義に日本が貢献すべきという大統領の考えが変わったわけではないだろう。それなのに日本の首相は、大統領の別荘に滞在し、ゴルフまでした。「破格の待遇」を喜ぶ首相の姿は、まるで「飛んで火に入る夏の虫」だ。日本の新たな対米従属外交の始まりを告げている。(永)


女性解放・自由という人間の理想を実現しようとした二人の姿勢に、今こそ学ぶ時だろう。

2017-01-31 | 朝鮮新報より転載

〈本の紹介〉

飾らず、偽らず、欺かず―菅野須賀子と伊藤野枝/田中伸尚著

国家的虐殺の痕跡克明に

女性の解放と自由を求めペンをとり、声をあげた二人の女性が、時の国家権力によって虐殺された。本書は、大逆事件で刑死した管野須賀子と、関東大震災後の混乱の中で憲兵隊によって虐殺された伊藤野枝の壮絶な半生を丹念に追いまとめた一冊。

本体2,100円+税。0352104000。岩波書店。

本体2100円+税。03-5210-4000。岩波書店。

須賀子の女性ジャーナリストとしての自立と、男尊女卑を批判し自由を求めた野枝の「新しい女」としての出発に言及した第一章「自由を求めて」、帝国主義国家が求める女性像、「国民」像とは正反対のベクトルを持っていた須賀子が社会主義へと目覚める過程、エマ•ゴールドマンとの出会いから女性の解放に気づきはじめる野枝の姿が映し出された第二章「ひたぶる生の中で」。その後の第三章「貧困からの飛翔」では、貧困と家族の不幸が続く須賀子の幼少期と、不条理な結婚をはね除け表現者へと飛翔する野枝の姿、また第4章「転機」では、赤旗事件での須賀子の逮捕と、離婚から再婚、その後行き着く谷中村で「自由」を見出す野枝を描き、最終章の第5章「記憶へ」では、須賀子と幸徳秋水との出会いと絞首刑までの過程、野枝の大杉栄との出会いと虐殺までの過程に言及する。

一人は29歳、もう一人は28歳とそれぞれ短い生涯を閉じた二人、生前は交わることのなかった二人の人生を、まるで時空をこえ行き来するように論述したところに本書の魅力がある。

またその論述こそが、綿密な資料探索と関係者や遺族の証言によって当時の状況を浮き彫りにし、継続してみるべき女性解放への流れを示している。

女性を縛る社会道徳や政治権力と対決し、自由を求めて疾走した須賀子と野枝。公権力の暴力によって無残にも尽き果てたその生は、「冬の時代」が再び始まるいま、私たちに何を語りかけているのか。

二人が1世紀前に抱いた慣習や女性差別への違和感はいまだ横たわったまま。彼女たちの言説が現代に照らし合わせても、古びていないことが皮肉にもそれを物語っている。

生い立ちこそ異なるが、死を覚悟し、女性解放・自由という人間の理想を実現しようとした二人の姿勢に、今こそ学ぶ時だろう。

(韓賢珠)


慶尚南道・南海に生まれた。16歳のころ、海岸で貝採りをしていた時に日本軍に連れて行かれた。

2016-12-15 | 朝鮮新報より転載

性奴隷制被害者パク・スギさんが死去/生存者39人に

日本軍性奴隷制被害者であるパク・スギさんが6日夜、死去した。享年94歳。韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)は翌7日、「パクさんは昨年から体調が悪化し、最近も肺炎を患って入院していた」と伝えた。

パクさんは1923年、南朝鮮南部の慶尚南道・南海に生まれた。16歳のころ、海岸で貝採りをしていた時に日本軍に連れて行かれた。名古屋経由で中国・旧満州に移され、6年間にわたり「慰安婦」としての生活を強いられた。

日本による植民地支配からの解放後もすぐに帰ることができず、さらに7年間旧満州にとどまった後、釜山を経由して故郷に戻った。

これで南朝鮮当局に登録されている性奴隷制被害者238人中、生存者は39人に減った。

一方、南海郡は昨年8月15日の解放70年に合わせ、郡内で性奴隷制被害者を象徴する「平和の少女像」の除幕式を行った。パクさんを見舞った郡守(郡の首長)が少女像の設置を推進した。

パクさんの告別式は8日、南海郡の少女像前で行われた。

(朝鮮新報)

 


朝鮮の女性たちの大衆的政治組織である女性同盟は、1945年11月、北朝鮮民主女性同盟として創設。

2016-12-14 | 朝鮮新報より転載

女性同盟の役割を強調/第6回大会開催、33年ぶりに

11月17、18の両日、平壌で開催された朝鮮民主女性同盟(女性同盟)第6回大会。大会では、組織の名称を朝鮮社会主義女性同盟に改称。前回大会以降に収めた成果と経験を総括し、朝鮮労働党第7回大会の決定遂行において女性組織としての任務を果たしていくための課題と方途を討議した。

朝鮮の女性たちの大衆的政治組織である女性同盟は、1945年11月、北朝鮮民主女性同盟として創設。1951年、北南朝鮮の女性同盟を統合し、朝鮮民主女性同盟に改称された。大会が開かれるのは1983年6月以来、33年ぶり。

今大会では、金正恩委員長が女性同盟第6回大会の参加者に送った書簡「全社会の金日成・金正日主義化の旗印に従って女性同盟の活動をさらに強化しよう」が伝達された。

金正恩委員長は書簡で、党第7回大会で示された国家経済発展5カ年戦略遂行の突破口を開くための200日キャンペーンにおける女性同盟の功績について言及し、祖国と人民に対する献身的な服務精神、道義心を備えた女性革命家の大部隊を持っていることは、「党と人民の大きな誇り」と高く評価。「社会主義強国の建設に積極的に貢献しなければならない」として女性同盟の役割を強調した。

(淑)


分断体制を悪用し同族を食い物にする裏で、日米南の三角軍事同盟強化が進む。

2016-11-28 | 朝鮮新報より転載

「売国協定」

存亡の危機に立つ朴槿恵政権が窮地に乗じて日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結を強行した(11月23日)。

協定をめぐる交渉は2012年に署名直前で、南政府が国内世論の反発を受け合意を留保した経緯がある。

10月下旬の交渉再開宣言からわずか27日後の「密室署名」。拙速すぎる締結の背景に疑念が深まる。

春夏秋冬

▼解放71年目、かつての支配国の朝鮮半島への軍事的影響力拡大を招く、「売国協定」。日本軍性奴隷制問題をめぐる「12・28合意」、THAAD配備決定。民族の尊厳をどこまで踏みにじれば気がすむのか

▼分断体制を悪用し同族を食い物にする裏で、日米南の三角軍事同盟強化が進む。これまで米国を介して行われてきた日・南の軍事協力が協定締結によって直接的に結ばれたことで、米軍主導の下3カ国のより緊密な情報共有が可能となり、米国ゴリ押しでミサイル防衛(MD)システムに南朝鮮が編入される憂慮がいっそう高まった

▼朴政権が協定締結を急いだ背景には米国の圧力がある。それは米政府高官らが日・南の軍事協力強化の必要性について相次いで発言していたことからも明らかだ。日・南は、協定は北の「脅威」に対応するものとしているが、米国にとってはオバマ政権が掲げてきたアジア重視のリバランス(再均衡)政策の足がかりに過ぎない。米国がアジアにおける影響力を維持し、中国を牽制するためには、日米南の軍事一体化が必須だからだ。(覚)

 

 動き出した戦争法は、日本国内だけではない。アメリカ主導で韓国の動きははげしい。韓国では大統領退陣と軍国主義化反対、THAAD配備やめろが、一緒に戦われている。・・・管理者

 


森川さんは90年代、2年余りの期間をかけて文玉珠さんから話を聞き、ビルマで長期に調査も行ってきた。

2016-11-22 | 朝鮮新報より転載

ビルマ慰安所の過酷な実態に焦点/wamで特別展

文玉珠さんの足跡と共に

東京・新宿区のアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)では現在、「地獄の戦場・ビルマの日本軍慰安所~文玉珠さんの足跡をたどって~」と題した特別展が7月から行われている。朝鮮半島から連行され、ビルマ(現ミャンマー)の戦場を生き延びた文玉珠さんの足跡からは、「慰安婦」女性たちが強いられた過酷な実態が浮かび上がってくる。

慰安所管理人の日記など展示

1942年1月にビルマを侵略した日本軍は瞬く間に全土を掌握するが、連合軍の反撃にあって大敗、敗退を続ける。多くの兵士が飢餓と傷病に苦しんで命を落とし、ビルマ戦線は「地獄の戦場」と呼ばれた。

一方で日本軍はわずか3年半の占領期間に、60以上の地域に慰安所を設置した。朝鮮、中国、台湾、日本、ビルマの女性たちが「慰安婦」にされ、凄まじい性暴力を加えられた。そればかりか空襲にも遭い、部隊とともに逃げまどい、戦闘に巻き込まれた。

文玉珠さん(1924年4月23日-1996年10月26日)はこのような「地獄の戦場」を部隊と共に移動し、奇跡的に生き延びた朝鮮人「慰安婦」の一人だった。特別展には、文さんの証言や足跡とともに、日本軍のビルマ侵略の実態、現地の慰安所マップ、被害証言、元兵士の手記、公文書などが展示されている。

現在wamで開催されている特別展の一部

現在wamで開催されている特別展の一部

「…15歳頃に奉公していた家の女主人から『日本で金を稼げるところがある』と騙され、42年に汽車で釜山へ、船で台湾、シンガポールを経てラングーンに連れて行かれた」

「チョゴリから簡単服に着替えさせられ、朝鮮語は禁じられ、部屋には『絹枝』という名札がかけられた。到着した日、連隊長の副官がやってきて、有無をいわさず服を剥ぎ取り、強かんされた」

朝鮮女性たちの被害証言の数々は、「慰安婦」制度の実態を物語っている。

文さんは大邱の貧しい家庭に生まれ、16歳の秋、日本人と朝鮮人の憲兵と、朝鮮人の刑事に呼び止められ旧満州・東安省に連れて行かれ、「慰安婦」にさせられた。大邱に一度戻った後、18歳の時に「日本軍の食堂に働きに行こう、金儲けができるよ」と友だちに誘われ、ビルマ・マンダレーに行き、だまされて再び「慰安婦」にさせられた。

第1次安倍内閣は2007年3月、「政府が発見した資料には、軍や官憲による(慰安婦の)強制連行を直接示す記述はない」と閣議決定しているが、文さんの体験からは、強制連行とだましの手口を使って女性を「慰安婦」にしていた実態がはっきりと浮かび上がってくる。

特別展には、ビルマやシンガポールで慰安所の帳場係として働いていた朝鮮人・朴さんの日記(複製)も展示されている。22年から57年までの36年にわたって書かれた日記のうち、南朝鮮・京畿道にある私立博物館が28年分を古本屋から入手して保管していたものだ。2012年にこの資料の所在が明らかになって研究が始まった。日記には、慰安所の詳細が書かれているほか、文さんの証言を裏付ける記述も見つかっている。

軍属扱い、軍事郵便貯金も

歌が上手だった文さんは、将校たちの宴会に呼ばれ、少しずつもらったチップを野戦郵便局に貯金していたことも証言している。

これについて日本の右派勢力は、文さんの貯金額が「陸軍大将の年俸6,600円より高級」であると主張し、「性奴隷とは思えない」などと攻撃しているが、これは当時の現状を無視した言いがかりに過ぎない。

日本政府は占領地の現地通貨と円を、1:1の固定為替相場(ビルマなら1ルピーが1円)とし、軍が印刷する軍票や、1942年に設立した南方開発金庫の南発券を現地通貨として発行した。現地調達を原則として日本軍が物資を買いあさったため、占領地はすぐさま深刻なインフレに見舞われた。さらに日本の敗退が続くと軍票の価値はどんどん下がり、45年3月のマンダレー陥落後はほとんど無価値になっていた。文さんの貯金額が大幅に増えたのものその頃からで、これは宴会の席で将校からほぼ無価値になった軍票をチップとして渡され、それを貯金していたためだ。文さんは2万6千145円の預け入れをしているが、東京の物価指数に換算すると、敗戦時には20円程度の価値しかなかった。

文さんが使っていたのは軍人・軍属しか使えないはずの軍事郵便貯金で、原簿も見つかっている。文さんの貯金原簿預払調書には野戦郵便局を表す記号が記されているが、当時、民間人は野戦郵便局を使えないことになっていた。文さんは「私たちはビルマ楯八四○○部隊所属の軍属で、慰安所は軍人軍属以外は立入り禁止だった」と証言しているが、文さんが軍事郵便貯金を利用していたことからも、「慰安婦」が軍属扱いをされていたことがわかる。

文さんは92年、日本の郵政省に対して貯金の払い戻しを求めたが、「65年の日韓協定により、個人の財産権は消滅している」として拒否された。

記憶の証明「他の被害者をも語ること」

今月10日には、特別展と関連したセミナー「ビルマに連れて行かれた文玉珠さんの足跡~日本軍占領期のビルマと日本軍慰安所~」がwamと同じフロアーにあるアバコ・チャペルで行われた。「文玉珠 ビルマ戦線 楯師団の『慰安婦』だった私」(梨の木舎)の著者である森川万智子さんと、上智大学教授の根本敬さんが講演を行った。

森川さんは90年代、2年余りの期間をかけて文玉珠さんから話を聞き、ビルマでの長期にわたる調査も行ってきた。

森川さんはビルマでの調査や、新たに見つかった慰安所管理人の日記などを通じて、文さんの足跡がさらに裏づけられたと強調した。

そのうえで、「文さんの記憶を証明することは、記憶を全くなくしてしまった元『慰安婦』の女性たち、あるいは語ることなく過ごして隠れていらっしゃる女性たち、あるいはそのまま亡くなってしまわれた女性たちをも語ることにつながると思う」と言葉に力を込めた。

Wamの特別展は、来年6月25日まで開催されている。水~日曜日、午後1~6時。休館日は月、火、祝日、年末年始。

(金里映)


関東大震災70周年から県民会議が中心となり挙行されてきた慰霊祭は、今年で23年目を迎えた。

2016-09-06 | 朝鮮新報より転載

〈関東大震災93周年〉デマが人を突き動かす、真実見つめる努力を/群馬・成道寺

関東大震災朝鮮人犠牲者93周年慰霊祭が3日、群馬県藤岡市の成道寺で行われた(主催=日朝友好連帯群馬県民会議)。慰霊祭には、総聯群馬県本部の李和雨副委員長、日朝友好連帯群馬県民会議の角田義一代表をはじめとする同胞と民団同胞、日本市民ら約50人が参加した。

群馬県藤岡市の成道寺で行われた慰霊祭

群馬県藤岡市の成道寺で行われた慰霊祭

 

大震災直後、各地では朝鮮人に対する流言が広まり、日本人によって多くの朝鮮人が命を奪われた。藤岡市でも同様に、9月5、6日にかけて、藤岡警察 署に保護されていた朝鮮人17人が虐殺された。当時藤岡市での「流言飛語」の状況について先代住職が書いた過去帳には、自警団たちによって暴行され、保護 されたはずの警察によって無残にも皆殺しにされた光景が生々しく描かれている。

開会の挨拶をする県民会議の宮川邦雄事務局長

開会の挨拶をする県民会議の宮川邦雄事務局長

現在群馬県で犠牲となった同胞は、日本市民によって20年ほど前に判明した高崎市倉賀町の九品寺に埋葬されている1人を含め全18人。関東大震災70周年から県民会議が中心となり挙行されてきた慰霊祭は、今年で23年目を迎えた。

慰霊祭では、県民会議の宮川邦雄事務局長が開会の挨拶をしたあと、同寺院住職の読経が行われ、各代表による追悼の言葉が述べられた。

県民会議の角田代表は、追悼の辞で、「現在では考えられないような信じがたい事件が、大震災で起きたが、真相究明のための努力は民衆側からはあって も国としては調査さえまともに行われていない現状がある。このけじめのなさが、今日の日朝、日韓関係がうまくいっていない根底にある。過去の歴史に向き合 うことが、犠牲者たちへの本当の意味での供養となる」と述べた。

参加者たちは犠牲者たちを偲び焼香した

参加者たちは犠牲者たちを偲び焼香した

李副委員長は、「朝鮮人であること、ただひとつを口実として、93年前は虐殺事件が発生し、今日に至っては、ヘイトスピーチが起きている。また対朝 鮮制裁の名のもとに祖国往来の自由や民族教育への圧力など基本的人権の侵害が今もなお続いてる。虐殺事件の全容解明と朝・日友好親善にまい進することを同 胞の御霊に決意したい」と述べた。参加者たちは藤岡の地で亡くなった犠牲者たちを偲び焼香したあと、閉会後、寺院横に位置する朝鮮人犠牲者慰霊碑を参り手 を合わせた。

初めて慰霊祭に参加したという金田一雄さん(61)は、「この場にきて改めてデマが人を突き動かし、最悪の結果を招いたことを実感して、恐ろしく なった。日本は軍事化へと進み私たちを取り巻く環境は日増しに悪化しているが、本当のことを見つめる努力をしていきたい」と話した。

またこの日、慰霊祭では、藤岡市民たちが地域の歴史を語り継いでいこうと「藤岡事件を語り継ぐ市民の会(仮)」の立ち上げについて説明があった。発 起人の一人である藤岡市在住の秋山博さんは、「藤岡事件について日本人がどれくらい知っているのか。後世まで語り継ぐことが、東アジアの平和の一助になる と思う。来年の94周年慰霊祭では、県民会議とともに市民たちが中心となって共催しよう」と参加者たちに協力を呼びかけた。

(韓賢珠)

 


同分会顧問から子育てに励む保護者、子どもまでの幅広い世代の同胞ら計30人が参加した。

2016-09-01 | 朝鮮新報より転載

「大家族」の温かさ伝え/女性同盟京都南支部・東和分会「こどもミニまつり」

女性同盟京都・南支部の東和分会が主催した「こどもミニまつり」の参加者たち

女性同盟京都・南支部の東和分会が主催した「こどもミニまつり」の参加者たち

女性同盟京都・南支部の東和分会が主催する「こどもミニまつり」が8月28日、夏休み最後の日曜日に合わせて東和分会事務所で行われた。

ここに、同分会顧問から子育てに励む保護者、子どもまでの幅広い世代の同胞ら計30人が参加した。

行事では、かき氷作り、じゃんけん大会、クイズ大会、ビンゴゲーム、宝探し、スイカ割りが行われ、大いに盛り上がった。

この行事は昨年から行われており、昨年は分会管下の子どもや子育て世代の同胞たちが参加したが、今年は分会顧問世代の同胞たちへの参加も積極的に呼びかけた。

そうした背景には、顧問世代の同胞にも行事を一緒に楽しんでもらうと同時に、幅広い世代の同胞が参加することで、子どもたちに分会という「大家族」の温かさを感じてほしいという、分会役員の思いがあったからだ。

月一回の分会委員会で、行事の内容と分担を決め、「5戸担当制」に沿って、動員と参加確認を行い、当日は、会場の掃除や片付けなどを分会長や30、40代の若手分会委員が中心となって取り仕切った。

「前日から楽しみでワクワクしていた。宝探しが面白かった」などと感想を述べた子どもたちの笑顔に、参加者みんなの心もお腹も満たされた。

顧問世代、中年層、子育て世代が1つになり、同胞社会の未来である子どもたちに、夏休み最後の楽しいひと時をプレゼントできたことに、分会役員一同は喜びを感じていた。

そして、11月6日の「総聯分会代表者大会2016」に向けて、いっそう女性同盟分会運動を力強く推し進めていくことを誓った。

【女性同盟南支部】


記事をそのまま掲載:北朝鮮は、以下のように考えている。皆さんはどう思う?

2016-08-29 | 朝鮮新報より転載

〈そこが知りたいQ&A〉朝鮮がSLBMを開発する目的は

核戦争抑止の最終手段確保

朝鮮は戦略潜水艦弾道弾(SLBM)の実戦配備に向けた試験発射を続けている。SLBM開発の目的と現在の進展状況をQ&Aで整理した。

8月24日に行われた戦略潜水艦弾道弾(SLBM)の水中試験発射(朝鮮中央通信)

8月24日に行われた戦略潜水艦弾道弾(SLBM)の水中試験発射(朝鮮中央通信)

—朝鮮のSLBM開発はいつから行われているのか。

開発着手の時点は定かでないが、朝鮮の国営メディアは金正恩委員長が自ら発起し、直接指導を行っていると伝えている。

朝鮮中央通信が金正恩委員長の指導の下で行われたSLBM試験発射を伝えたのは3回。15年の5月、16年の4月と8月だ。その内容を見ると開発は 国際社会の予想を覆すスピードで進んでいる。昨年5月に弾道弾の水中発射に成功して一年も経たずに飛行試験段階に突入、今回の試験発射では「段階熱分離と 操縦・誘導システムの信頼性、再突入弾頭部の命中度など弾道弾の核心技術」が目標値に達したという。SLBMは∇地上発射 ∇水上発射 ∇飛行試験、それに続いて∇潜水艦から誘導システムを載せた弾&道弾を発射し、目標に正確に着弾させる試験を経て実戦配備される。朝鮮のSLBM 開発は、その最終段階にあるといえる。

—金正日時代から大陸間弾道弾(ICBM)の開発は続けられてきた。既存の弾道弾とSLBMの違いは。

大雑把に言えば「ICBM+潜水艦=SLBM」となる。弾道ロケットの技術自体は同じだが、強いて言うなら、ICBMの使用は先制攻撃を想定し、 SLBMは報復用だ。海の中の潜水艦を完璧に探知するのは不可能だ。そこから発射される弾道弾を迎撃する技術は確立されていない。SLBMが最強の兵器、 最善の核戦争抑止力といわれる所以だ。核の先制攻撃によって相手国の核ミサイル基地をすべて破壊した後、第2派の攻撃を繰り出すという戦争計画は、 SLBMという最終兵器によって封じ込められる。海から核による報復攻撃を受けるかもしれないという恐怖が先制攻撃の抑止となる。

現在も米国は、朝鮮の核施設への先制攻撃を想定し、実動訓練を繰り返しているが、朝鮮のSLBMが実戦配備されれば、核武力を動員する米国の侵略戦争シナリオは根底から崩れる。

-朝鮮のSLBMが太平洋の向こうの米国に対する戦争抑止力であるならば、それ相応の射程距離を実現しなければならないはずだが。

朝鮮のSLBMが米国の軍事攻撃を未然に防ぐようにするためには、「射程距離」と「潜水艦のサイズ」という二つの技術的問題をクリアしなければなら ない。今回のSLBM発射は、6月の中長距離弾道ロケット「火星10」の時と同じく、飛行距離を意図的に短縮する「高角発射」で行われた。90度に近い角 度で打ち上げられ、1,413.6kmの高度に達し、400km前方に着弾した「火星10」の実際の射程距離は、米国の太平洋上の軍事拠点であるグアム島 を越えているはずだ。今回発射されたSLBMは500km飛行したというが、最大射程距離はそれより長いと考えられる。朝鮮のSLBMには「火星10」と 同じく固定燃料を使用する新型の大出力ロケットエンジンが搭載されているという指摘がある。

—「潜水艦のサイズ」に関する技術的問題はどうか。

朝鮮が発表したSLBM試験発射の公開映像を見る限り、発射管を1基だけ備えた中型の潜水艦が使われている。実戦を想定すれば、発射管を複数基を備 えた大型の潜水艦が必要になってくる。また、米本土と海外の米軍基地に照準を合わせ、海中で長期間に渡り作戦を遂行するには、ディーゼルエンジンではな く、原子炉を動力としなければならない。他国でも、核搭載可能なSLBMは原子力潜水艦で運営されている。

朝鮮でもSLBMの実戦配備を想定した新型潜水艦の建造が進められている。これもまた、金正恩委員長の発案によるものだ。朝鮮中央通信は、SLBM 試験発射成功に関する報道の中で、金正恩委員長が「強大な威力を持つウリ式戦略潜水艦の建造」を直接指揮していると伝えた。ここでいう「ウリ式」が何を意 味するのか、国内外の注目が集まっている。

—米国や日本はSLBM試験発射が国際社会に「脅威」を与える「挑発行為」で、「国連安保理決議違反」だと非難している。

国防力強化は、主権国家の正当な権利だ。米国の核威嚇が続く限り、核兵器の運搬手段となる弾道ロケットの開発を続けるという朝鮮の立場は変わらない。

朝鮮が実戦配備を目指すSLBMの名称は「北極星(북극성)」。英語で表記すれば「Polaris(ポラリス)」だが、これは米国で初めて開発され たSLBM(最初の発射実験は1960年)の名称だ。朝鮮は、米国が配備した核戦争装備に対する対抗手段としてSLBMの開発を進めていることを明確にし ている。

朝鮮は「火星10」や「北極星1」を「高角発射」することで、飛行距離を調整し、他国の領空、領海を侵入することなく、地域の安全を担保しながら、 弾道弾の性能をテストしている。これに対して「脅威」「挑発」のレッテルを張るのは、朝鮮への軍事侵攻をねらい、朝鮮の国防力強化にブレーキをかけるよう とする米国の論理だ。米国の「核の傘」の下にいる日本もこれに追随している。

朝鮮に対してのみ「弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射も禁ずる」とした国連安保理の「決議」は、核ミサイルに関する米国の不当な二重基準を模倣したものだ。国際法上の根拠はなく、国連憲章の精神にも反している。

国連安保理の常任理事国(中・ロ・米・英・仏)はSLBM保有国だ。これまで実験を繰り返し、「核クラブ(nuclear club)」を形成した 国々が、同じプロセスを踏む国に身勝手なルールを適用し、一方的に責め立てるのは「大国の傲慢」以外のなにものでもない。朝鮮は、米国との戦争状態にピリ オドを打つ平和協定締結を目標に掲げつつ、核抑止力強化を「国際法で保障された自衛権の行使」として主張し、実行していくだろう。

(金志永)