奈良の同胞、日本人士らが祝福/運営再開後、初卒園式
卒業生の誇りもって初級部へ
奈良朝鮮幼稚班の卒園式および修了式が20日、奈良朝鮮学園の講堂で行われた。
同幼稚班は、2008年に奈良初中が休校した後、2014年4月から運営を再開。今回の卒園式は、運営再開後、初で最後に行われた2005年3月以来となった。
卒業した李炯宙さん(右から2番目)と家族(写真提供=奈良朝鮮幼稚班)
この日卒業する李炯宙さん(6)を祝うために、式には総聯奈良県本部の邵哲珍委員長と奈良朝鮮幼稚班教育会の李成圭会長、奈良ハッキョの林秀蘭校 長、同幼稚班の園児、保護者、教員、関係者をはじめとする同胞、「ハッキョ支援ネットワーク・なら」の淺川肇代表をはじめとするメンバーら77人が参加し た。
卒園式では李炯宙さんを含む在園生ら4人が歌を披露したのに続き、総聯本部の邵哲珍委員長があいさつした。
委員長は李炯宙さんに「運営再開後初の卒業生としてこれからもたくさん学んでほしい」と語りかけ、保護者へ謝意を示した。また「幼稚班は私たちの未来であり、民族を受け継ぐ生命線だ。奈良幼稚班支援活動に、より多くの同胞たちが取り組んでいこう」と呼びかけた。
その後、祝電の紹介があり、2年間担任した朴錦蓮主任が学事報告を行った。
卒業した李炯宙さん(左から3番目)と、朴錦蓮主任、在園生たち(写真提供=奈良朝鮮幼稚班)
主任は、幼稚班での日常生活や、遠足などの課外活動、昨年9月に入園した友達との出会いを通じて園児たちがたくさん成長したことについて振り返りな がら、李炯宙さんに「1年間、年長クラスとして年下の園児たちの模範となり、驚くほどに成長しましたよ」「1年生になっても幼稚班のときのように明るく、 友達と仲良く過ごしてください」と優しく語りかけた。
そして、李炯宙さんに卒園証書と賞状を手渡した。
李炯宙さんは「(東大阪初級の)1年生になっても一生懸命勉強します」と決意を語った。
その後、李成圭会長が李炯宙さんにプレゼントを手渡し、お祝いの言葉を送った。
年下の園児たちも「李炯宙ヌナが大好き」「奈良幼稚班を忘れないでね」などと言葉を送り、歌をプレゼントした。
式では李炯宙さんの保護者に花束が贈られ、在園生らに努力賞の商品が手渡された。
式の終了後、幼稚班の1年を振り返る映像が上映され、李炯宙さんによる植樹、謝恩会、保護者による食事会が行われた。
保護者である秦英淑さん(41)は、「奈良にとどまらず、各地の人たちの注目と愛情をしっかり感じ、炯宙にとって人生の重要な1ページになったと思 う」と振り返った。これからも幼稚班のために精一杯協力したいという秦さんは「青商会や子育てサークル『コグマ会』の活動を通じて、一人でも多くの子ど も、保護者たちに幼稚班を見てもらいたい。子どもを送りたいけど送れない保護者がいたら、その事情や悩みを少しでも解決できる道を一緒に考えていきたい」 と話した。
土曜児童教室修了式
朝鮮語と英語を使って会話や歌などを披露した土曜児童教室の子どもたち
卒園式の前日には、奈良朝鮮学園が運営する土曜児童教室「나(な)~らのハッキョ」3クール目(1~3月)の修了式が行われ、約60人が参加した。
土曜児童教室は、学校再建を見据え、2012年8月から回数を増やすなどして運営体系が改編された。
修了式では、子どもたちが土曜児童教室で学んだ朝鮮語と英語を使って会話や歌などを披露。発表後には修了証が子どもたちに手渡された。
修了式後に行われた謝恩会では保護者などが発言。李明淑さん(37、神奈川朝高卒業)は「親戚が他地方の土曜児童教室に子どもを送っていたこともあ り、私も3カ月前から子どもを送っている。子どもが『オンマ』と呼んでくれたときが一番うれしかった。子どもものびのび過ごしているので送ってよかった」 と話した。
土曜児童教室には現在、東大阪初級の児童、奈良幼稚班の園児を含む31人の子どもたちが学んでおり、着実に人数が増えている。
「朝鮮人を認識する時間」/講師と受講生が初対面
インターネットウリマル教室「ナルゲ」の受講生と講師たちの授業のようす
土曜児童教室の修了式が行われた同日、奈良幼稚班でインターネットウリマル教室「ナルゲ(날개)」の受講生と講師が初対面し、交流を深めた。
準教育網の一つである「ナルゲ」は、総聯の方針に沿って2008年に朝大生たちによって始まった。インターネットを通じて、朝鮮学校に通っていない子どもたちに朝鮮民族の言葉や歴史などを教えている。対象は小学生だが、希望があれば中学生まで学ぶことができる。
この日教室には、2012年12月から週に一回、約1時間受講している奈良市内に住む朱袈那さん(10)、悠那さん(6)姉妹の姿があった。また、朝鮮大学校を3月に卒業した李純瑛さん(22)と文学歴史学部の卞仁淑さん(20)が講師を務めた。
姉と一緒に参加している朱悠那さんは小学校に入学する4月から正式な受講生になる。
授業では、「チョゴリ」をテーマに朝鮮語の読みや単語の勉強などを行った。
授業後、朱袈那さんは「もっと勉強したい」、悠那さんは「ヌナたちは本当に優しい」と話した。
この日、母親である朱祥延さん(40、奈良初中、大阪朝高卒業)も初めて講師たちと会った。仕事が忙しく、朝鮮学校まで遠い地域に住んでいることな ど難しい状況だが、「朝鮮語を教えたいとはずっと思っていた」という朱さんは、親戚からの紹介で「ナルゲ」を子どもに勧めたという。「無料なうえに、パソ コン一つでどこでも授業を受けられる」「先生たちは実の姉みたいに親身に誠心誠意で指導してくれている」と笑顔を見せた。
「『ナルゲ』は朝鮮人ということを認識させてくれる時間だ」という李純瑛さんは4月から母校の静岡初中で教鞭をとる。「子どもたちの一つ一つの成長 がやりがいと力をくれた」とし、「教えている過程で自然にわいてきた子どもたちを心から愛する気持ちをもって、子どもたちのために努力を惜しまない教員に なりたい」と抱負を述べた。
現在、講師は朝大の文学歴史学部語文学科と教育学部4年制教育学科、理工学部の学生たちが務めている。これまでに岩手、秋田、山形、石川、奈良、鳥 取、長崎、大分、鹿児島から約30人の受講生がでており、朝鮮学校に編入している受講生もいる。 講師責任者の卞仁淑さんは、「質の高い授業がでるよう、 朝大生活をしっかり過ごして実力を伸ばしたい」と力強く語った。
(高英俊)
卒園式(写真提供=奈良朝鮮幼稚班)
- 卒業した李炯宙さん(左から3番目)と、朴錦蓮主任、在園生たち(写真提供=奈良朝鮮幼稚班)
- 卒業した李炯宙さん(右から2番目)と家族(写真提供=奈良朝鮮幼稚班)
土曜児童教室修了式
- 朝鮮語と英語を使って会話や歌などを披露した土曜児童教室の子どもたち
インターネットウリマル教室「ナルゲ」の受講生と講師たちの授業
- インターネットウリマル教室「ナルゲ」の受講生と講師たちの授業のようす