南シナ海問題
平和解決へ議長声明
ASEAN首脳会議が採択
【ハノイ=面川誠】ハノイで開かれている第17回東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議は28日夜、南シナ海問題の平和的解決に向けて「南シナ海行動規範」の早期締結を呼び掛ける議長声明を採択しました。
ASEAN外交関係者によると、28日夜の首脳非公式夕食会では南シナ海問題が協議の中心となりました。中国とASEAN加盟国の一部が互いに領 有権を主張する南沙・西沙諸島をめぐる対立に関して、「すべての首脳が南シナ海での平和と安定が欠かせないという点で一致した」と述べました。
議長声明は、2002年に中国とASEANが結んだ「南シナ海行動宣言」の重要性を確認。「行動宣言の効果的な履行と行動規範の早期締結」の必要性を強調し、行動宣言履行のための中国とASEANの高官協議を早期に開催するよう呼び掛けました。
東アジアの平和と安定に向けては、ASEANの中心性を確保しながら地域協力のさまざまな枠組みを発展させることを改めて確認。東アジア首脳会議 に米ロが参加することは「地域的な枠組みの自然な発展」につながるとするとともに、「東アジア共同体という長期的な目標に向かう上では、ASEANプラス 3(日中韓)が主要な手段」だと強調しました。
核兵器廃絶については、5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議の結果を歓迎。核兵器のない朝鮮半島を支持するとして、6カ国協議の早期再開を訴えました。
11月7日に総選挙が予定されるミャンマーには、ASEANや国連と協力しながら「自由、公正、包括的な参加」による選挙実施を求めました。
南シナ海問題 南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島と西沙(同パラセル)諸島の帰属をめぐる東南アジア諸国連合 (ASEAN)加盟国の一部と中国、台湾との間の紛争のこと。1988年には、中国とベトナムの間で武力衝突が発生。90年代にも、フィリピンが領有権を 主張する島に、中国が一方的に建造物を構築したことで軍事的緊張が高まりました。中国とASEANは02年、問題の平和的解決をめざす「南シナ海行動宣 言」に調印しました。