6者協議再開へ予備会合案
議長国・中国が関係国に示唆
2010年2月28日3時1分 朝日
【ソウル=牧野愛博】
北朝鮮の核問題を巡る6者協議の議長国・中国が、協議の再開に向けた「予備会合」を関係国に示唆していることがわかった。協議筋が 27日、明らかにした。昨年末に続く米朝協議や国連制裁の解除を求める北朝鮮と、6者協議への復帰が先決とする米国を北京に誘い込み、妥協点を見いだして 6者協議の再開に結びつける狙いがあるとみられる。
北朝鮮と日米韓の対立は解消されておらず、立場の隔たりが依然として大きい。このため中国の思惑通り予備会合が実現するかどうかは、今後の米朝双方の出方にかかっているといえる。
協議筋によると、中国は6者協議の参加国が北京に集まり、協議の再開を模索する会合を主催する用意があることを関係国に示唆。この会合で合意が得られれば、そのまま直ちに6者協議を再開する考えとみられる。
米国のボズワース北朝鮮政策特別代表の訪中にあわせて北京を訪れた韓国の魏聖洛(ウィ・ソンラク)・朝鮮半島平和交渉本部長は24日、仁川国際空港で記者団に「前向きな流れが出ている」と発言。中国側から予備会合を示唆されたことを踏まえてのものとみられる。
クリントン米国務長官も26日、6者協議の再開について「進展に向けた複数の兆しがあることに勇気づけられている」と述べ、機が熟しつつあるとの見方を示した。
中国がこうした考えを関係国に伝えたのは今月、北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官の訪中後だった。北朝鮮は中朝協議で、米朝協議の仲介を 依頼。訪中したボズワース氏に米朝協議の開催を促したが、米国は、6者協議再開に結びつく場合にのみ米朝協議が可能との考えを伝えたという。
協議筋は、中国の意図について「米国を北朝鮮との協議に応じさせたいが、6者協議再開のめども立たないため、こうした概念を持ち出したようだ」と語る。
米韓外相 しんぶん赤旗
6カ国“新行程表”協議
再開へ「進展の兆しある」
米国のクリントン国務長官と韓国の柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商相は26日、ワシントンで会談し、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の再開 に向け、新たなロードマップ(行程表)などについて協議しました。クリントン長官は会談後、協議再開へ「進展の兆しがある」と述べました。(面川誠)
韓国外交通商省の発表によると、両氏は「北朝鮮の後戻りのない非核化措置と、それに相応した5カ国による(北朝鮮への)政治・経済的な措置の一括妥結方式について、関係国との協議を通じて具体化させていくことで合意した」といいます。
「一括妥結方式」は、2005年9月19日の6カ国協議で採択された合意内容を短期間で履行することをめざし、過去の協議で合意されたものに代わ る新たな行程表をつくろうという提案。韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が「グランドバーゲン」と名付けて関係国に具体化を呼び掛けてきました。
韓国各メディアによると、新たな行程表づくりの最大の焦点は、北朝鮮の完全な非核化と朝鮮戦争の休戦協定に代わる平和協定の締結をどのように並行させるかという点。北朝鮮に対する国際的な制裁をどの時点で解除するかも焦点の一つです。
米韓外相会談は、当面は北朝鮮に対し「対話と制裁を並行させる」ことで合意。平和協定については、「非核化が進展すれば別途、適切な場で協議を始めるという9・19共同声明の原則に基づき、まず北朝鮮が6カ国協議に復帰すべきだ」という立場で一致しました。
北朝鮮は6カ国協議再開前に、昨年12月のボズワース北朝鮮政策担当特別代表の訪朝に続く米朝2国間の高官協議を求めています。これについて米韓外相会談は、「6カ国協議再開に直結すると確信できる場合には、米朝協議を検討できる」との立場を確認しました。
韓国各メディアによると、6カ国協議の議長国・中国は米朝間の溝を埋めるため、「非核化が具体的にどこまで進めば平和協定の論議が可能になるのか」を米国と話し合うなど、6カ国協議再開に向けた仲裁を進めているといいます。
6カ国協議 北朝鮮の核問題解決のために北朝鮮、韓国、中国、日本、米国、ロシアの6カ国が2003年に開始。議長国は中国。05 年9月19日の共同声明で北朝鮮の非核化、米朝・日朝国交正常化、朝鮮半島の平和体制、北朝鮮への経済・エネルギー支援などを明記。08年12月に中断。 09年4月に北朝鮮が離脱を表明しています。
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