2018年のPISA(OECD 生徒の学習到達度調査)の
結果がニュースとなっています。
(画像は本校に入れている各社の朝刊1面)
79か国・地域の中で、日本は「読解力」が15位(前回8位)、「数学的応用力」が6位(同5位)、
「科学的応用力」は5位(同2位)と全3分野で順位を下げ、
特に読解力の低下が著しい、と・・・
あ~またこれで教育現場(特に国語科)が大変なことになるなぁ…と思ってしまいました。
以下、私見です。いろいろご批判もあるでしょうが…。
生徒にどうやって読書を勧めるか苦労している私は、生徒の読書量の減少を実感しています。
なぜ本を読まないのか聞くと「時間がない」「面倒くさい」が大半、
時間がないのは、勉強や部活で忙しいのと、SNSやゲームに時間が取られているようです。
でも、それは子どもに限ったことではなく、大人も同じかもしれません。
このテストで「2006年PISAショック」と話題になった年代は今30歳前後のゆとり世代、
そこから「脱ゆとり教育」を実施してきた日本でしたが、結果は芳しくなかったですね。
日本語はわかるのでいつか自然に言語力や読解力が身に付く、というものではなく、
「読解力」もスポーツなどと同じようにトレーニングが必要です。
文字だけの文章を読みすすめるというのは、そもそも面倒くさく大変なことです。
新しい言葉を知り(読書)、使ってみて(会話や作文)、批判・評価され(添削)、
日ごろからたくさんの言葉に触れ、言葉を使って生活することが大切と思います。
(絵や記号、スタンプ、動画ばかりではなく)
言語能力は学校だけで一朝一夕に身に付くものではなく、
家庭での幼児の頃からの「言語生活」の積み重ねもあってのものでしょう。
「早く」よりも「丁寧な」言語生活を送る、難しいけれども地道な努力が必要です。
先日読んだ新井紀子 著
『AIに負けない子どもを育てる』も読解力育成について参考になります。
ただ、日本人にはこのPISAの
読解力テストが向かないのかなぁ、とも思います。
テストは、情報の真偽を検証したり、自分の意見を自分の言葉で述べなければなりません。
日本は古来より、言葉にせずとも「以心伝心」「空気を読む」「忖度」が推奨され、
「同調圧力」という言葉があるくらい他と同じであることの方が良しとされます。
言葉に出して批判したり、他と違う自分の意見を堂々と言う場はほとんどありません。
友だちとが難しいなら、家族で(冷静に)討論しあうというのは?
また、人が好い国民性なので、書いてあることは真実だと信じてしまいがち、
「
メディアリテラシー」能力もこれから必要ですね。
教育現場でICT化が遅れておりコンピューターを使った試験に不慣れ、との意見もあるようです。
11月の読書は以下の7冊、これで今年74冊読了です。
『神様の暇つぶし』 千早茜 (文藝春秋)
『落日』 湊かなえ (角川春樹事務所)
『いるいないみらい』 窪美澄 (KADOKAWA)
『人間の本性』 丹羽宇一郎 (幻冬舎新書)
『欺す衆生』 月村了衛 (新潮社)
『マタタビ町は猫びより』 田丸雅智 (辰巳出版)
『ひとり老後、賢く楽しむ』 岸本葉子 (文嚮社)
すでに紹介した本もありますが、面白かったのは千早茜 著『神様の暇つぶし』
実に人間くさいドロドロの恋愛小説、こんな熱い気持ちしばらく忘れておりました!