「カズオ・イシグロ」という作家、今まで彼の作品を読んだことがありませんでした。
というより、恥ずかしながら名前さえもよく知らなかったのです。
お友達がこの作家の事をブログに書いていて、彼を知りました。
気にし始めると、書店で本は目につくし、映画が上映中なのにも気が付き、
HNK教育では先日1時間半の特別番組を放映していました。
映画の日本公開のために10年ぶりに来日(帰国ではない!)。
もともと日本(長崎)で生まれ、5歳のときに父の仕事の関係でイギリスに渡ります。
漢字表記は石黒一雄。
そのままイギリスに永住し、イギリス人女性と結婚し、
帰化し、著書『日の名残り』で英国文学の最高峰とされるブッカー賞を受賞します。
今や“英国が誇る”“イギリスを代表する”有名作家なのです。
初めに、小説『わたしを離さないで』(原題は“Never Let Me Go”)を読みました。
TVで話していた時もそうでしたが、英語が母国語なのでしょう、
土屋政雄さんの翻訳です。
これから読む方のために、小説の詳細ははひかえますが・・・
冒頭から出てくる「介護人」「提供者」「施設」「保護官」
という言葉に違和感を感じながら読むと、
淡々と語られるその内容は驚愕すべきものでした。
まるで、そうあることが当たり前で世間の常識のような・・・
受け入れ難い(でも決して当人達は抗うことのない)運命の中で描かれる
3人の友情と愛情は切ないです。
翻訳小説は読みにくいことが多いのですが、
訳者の腕なのでしょうか、どんどん読めました。
その後、映画を観に行って来ました。
イギリスの古い建物の感じ、天候がはっきりしない特有の天気、
悲しい運命を背負った友人3人のキャスト、
どれも原作の雰囲気に合っていたように思います。
今日は、小雨の降る肌寒い日でした。
今日の天候もこの映画にピッタリ!