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第157回 芥川賞・直木賞決定!

2017-07-20 | 本の紹介
第157回芥川賞・直木賞の受賞作が昨夜、発表されました!
芥川賞には沼田真佑氏の「影裏(えいり)」(文學界5月号)、
直木賞には佐藤正午氏の「月の満ち欠け」(岩波書店)、が選ばれました。
お二方とも初ノミネートでの受賞ですが、沼田氏はデビュー作で、佐藤氏はデビュー34年での受賞、
おめでとうございます♪

芥川賞を受賞された沼田真佑さんは、北海道小樽市出身で盛岡市在住の38歳。
大学を卒業後福岡市で塾講師をしていましたが、3.11の震災後、両親の住む岩手県へ移ったそうです。
塾講師として働きながら「みそぎ」の一つとして震災を題材にした受賞作を執筆し、
それが文芸誌の新人賞を受賞し、そして今回初めての候補で芥川賞の受賞となりました!
選考委員の1人、高樹のぶ子さんによると委員の意見が割れて喧嘩状態にまでなり、
「震災を題材に書いたものの中で、初めてすごいものに触れた。」と述べています。
受賞作は文藝春秋社から7月28日に出版されます。
これから読みます、楽しみ!

直木賞を受賞された佐藤正午さんは、長崎県佐世保市出身・在住の61歳。
昭和58年に『永遠の1/2』で、すばる文学賞を受賞してデビュー、
3年前に出版した『鳩の撃退法』で山田風太郎賞を受賞したベテラン作家です。
直木賞の候補になったのは今回が初めてで、私も氏の作品を初めて読みました。

受賞作は、欠けた月が再び満ちるように、死んでも「生まれ変わり」を繰り返し、
愛する人との再会を願う女性の切ない魂の物語。
三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し幾重にも織り込まれており、
混乱しそうになった私は、人物相関図を書きそのつながりを確認しながら読みました。

一人の男性を追う女性が「生まれ変わり」を繰り返す、と聞くとおどろおどろしい感じがしますが、
衝撃のラストに胸が熱くなりました!
巻末に載っていた参考文献のひとつ、イアン スティーヴンソン著『前世を記憶する子どもたち』も読みたいです。

選考委員の北方謙三さんは
「佐藤さんは作家としてデビューして30年以上たつが、みずみずしさを失っていない
魅力的な文章を書く力がある。ほかの候補作と比べると文章力や物語の構成力で圧倒していた」
と説明されています。

この作品は岩波書店刊行ですが、この書店の小説作品は初の直木賞受賞(芥川賞も受賞作無し)、
岩波書店は返本を受け付けない買い切り制度を採用しているので、困っているのが書店さん。
返本できないので、在庫を抱えないように最小限しか書店に置いていないと思われます。
他のほとんどの出版社は通常「委託制度」を採用していて、書店に販売を委託し、
書店は販売した分だけその手数料を利益として得ることができ、
売れ残れば返本することができるため、書店にとっては損の出ない取引方法です。
受賞が決まっても、店頭にズラーっと並べられる書店は恐らく多くないと思われますので、
購入したくても、しばらく待たねばならないかもしれませんね。

その他の候補作はこちらです。
直木賞候補作をすべて読みましたが、受賞作以外で心に強く残っているのは『BUTTER』
柚木さん、次作も期待しています!

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