カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

可哀そうだが、仕方がない   みおつくし料理帖

2022-08-08 | 映画

みおつくし料理帖/角川春樹監督

 原作もあり、もともとテレビドラマがあるようだ。キャストは違うようで、関連性までは僕にはわからない。監督は角川春樹で、どうして? という感じもする。後で語るが、演出はベタベタである。まあ、分かりやすさということかもしれないけれど……。
 幼馴染だった二人の少女は、洪水でチリジリになり一人は蕎麦屋の料理人に、一人は花魁になっている(これはのちにわかる話なのだが)。料理人のほうがメインで、元は上方の出身だが、江戸の文化の中にあって奮闘しながら新しい料理の味を極めていくというのが大筋である。そういう中にあって昔の友情がありながら、吉原の世界に女同士が接触をすることは極めて困難で、持ち込める料理で何とか交流を続けられるという事を絡めたドラマが生まれていく。
 男性の友情ものを描いた作品というのは多いのだが、特に最近は女性の末永い友情を描いた作品が増えているような印象を受ける。もちろん古典的なものにもそういうのはあるのだが、特に日本の作品でそんなようなものが増えてきているように思う。当たり前の話だが、女の人同士で友情があるのは当然だけれど、これまではあまり語られてこなかったというのがあるのではないか。そうであるからこそ、ある種の新鮮味のような感じがあって、取り上げられることが増えているとか。しかしながらこの話は江戸の吉原という遊郭特有の閉鎖空間が絡んでいる。当時の法律というか風習だから今からこれをどうこう言っても仕方ないが、女性が性を売るために隔離されて自由を奪われるというのは、本当に残酷な話である。今も似たようなことはあるのかもしれないが……。
 しかしながら料理の話なのだが、もともと蕎麦屋だったが店主が腰を痛めて蕎麦屋をやめて料理屋になって、茶わん蒸しが売れたりするが、それを妬む大きな料理屋があって、茶わん蒸しの味が盗まれる。そうして妨害を受けて火事にまでなる。ひどい話なのである。しかし友情があっていい話になる。
 実はこの後、NHKのオンデマンドでテレビドラマ版を少し見ることができた。そうして主人公が黒木華なのである。映画版には悪いが、テレビドラマの方が数段出来栄えがいい。なんというか演技の格のようなものがちょっと違う感じである。たぶん演出も映画の方が悪い。役者さんだけの所為ではない。映画のキャストもいい場合もあるからである。それにドラマは尺が長いので、より細かいドラマの細部が描かれている。苦労して料理する姿もしっかり演じられていて、説得力もある。せめて同じキャストで、もう少し別のひねりで作れなかったのだろうか。これを見るなら、断然テレビドラマ版の方がお勧めです。
コメント
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