カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ごった煮変な人々   黄金の馬車

2022-08-10 | 映画

黄金の馬車/ジャン・ルノワール監督

 スペイン統治下の南米ペルーの町を渡り歩いている、イタリアの旅芸人一座がある。ある町で一座は、一般観客にはまったくウケないが、看板女優は、地元の英雄である闘牛士の関心をひき、さらに地域を治める提督にも好かれる。そうしてこの町にスペインから届けられる黄金の馬車を、女優はプレゼントされることになるのだったが……。
 とにかく妙なテンポと旅芸人一座の大家族のいかがわしさと、さらにそれにも勝る変な人たちばかりが暗躍するコメディのようなことになっている。アクロバティックな動きをする子供たちが背景にいて、何か妙な演劇もやっていて、今の僕の視点からはとても魅力的とは思えない女優に惹かれて、とんでもないことをやってしまう男たちがいる。おいおい、みんな大丈夫か? という感じである。しかしまあ、だんだんと見ハマっていくことにもなって、それらがそれなりに面白い。いちおう名作映画ということになっているが、むしろとんでも映画という感じもしないではない。こういう映画が撮られたという時代背景も含めて、奇跡的だとすることも言えるかもしれない。
 それにしても、やはり当時の人々は、これを楽しんで見たのだろうか。南米という、ヨーロッパからすると遠く未開の場所までいって、イタリア人たちが大道芸で稼ごうとするのも面白いし、しかしそれらに魅力を感じているのは統治しているスペイン人で、この映画の監督はフランス人だ。そういうごった煮の感じが妙なおかしみを生み出していることは間違いなくて、そうして結末もなかなかに考えさせられる。みんな黄金の馬車に踊らされるが、実は強欲なだけではないというのもいい。そうしてまた旅に出て騒動を起こすのであろう。
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