カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

お仕事は大変だけど……   スペシャルズ!

2022-08-16 | 映画

スペシャルズ!/エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ監督

 「政府がつぶそうとした自閉症ケア施設を守った実話」と副題がついている。お話はその実態を描いたもの。どんな問題があっても入所を断らない施設と、彼らを企業で働いてもらおうと奮闘する団体の人間の姿が描かれている。
 フランス映画。実話をもとにしているらしいとはわかる。おそらく作中のエピソードには、実際の話が混ざっているということだろう。電車に乗ると緊急停車のボタンを押してしまう人や、人込みもかまわず走り回ってしまう人など、実生活ではちょっと困りすぎる人々がいることを紹介しながら、そういう人たちだって、働ける可能性も捨てられないので、なんとか企業に送り込んで、採用してもらおうとする。時にはちょっと騙すというか、都合の悪いことは隠しておいたりする。まあ、正義のためなら、ということになるんだろうか。
 実際に日本でもそういうことは行われているわけで、万国共通の問題ともいえるかもしれない。障害の程度もあるが、このようにサポートをする仕事人の活躍あって、なんとか生活をしていこうとしている人々が、それなりにたくさんいるのである。もちろん好き勝手にやるわけでは無くて、この映画でも問題になるが、行政の監査などの基準をクリアしなければならない。そういう部分は、頑張ってるから見逃される問題とはちょっと違うのではなかろうか。行政がよく分かっておらず、誤解したり、妙な介入をするということは考えられるけれど、それは一般の人々の偏見と変わらないものだったりする。そういう意味では、この映画のような実態を理解する人が増えることで、防ぐことが可能になるのかもしれない。
 僕の場合はちょっと特殊な立場かもしれないが、作る側にも誤解があるようにも思うし、しかし一般の人に理解されるためのデフォルメもあるのだろうとは推察される。そういう複雑な思いが重なるので、ストーリーを追っている中でも、集中できないような感覚がどうしても出てきてしまった。基本的なお話は悪くないのだろうとは思うが、なかには本当にそれでいいのだろうか、という疑問も付きまとった。もう少し別のアプローチの支援の仕方もありそうなのだ。まあ、映画とはちょっと関係ないかもしれないが、気になるものは仕方がない。そういう訳で、啓蒙映画としてよい部分と、困る部分があるように感じる。知らないより知ってもらいたいので、それはそれで突っ切って観てもらうということになるんでしょうか。
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