カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

偏見を糺すのはむつかしい   靴ひも

2022-08-04 | 映画

靴ひも/ヤコブ・ゴールドヴァッサー監督

 イスラエル映画。監督さんの名前もいかにもユダヤ人って感じだし、実際に観てみると、なんとなく西側とは違うものがある雰囲気である。基本的に単純な映画なので、文法的には分かりやすいけれど。
 別れた妻が亡くなり、そこについていっていた知的障害のある息子(成人している)を引き取ることになる。もともとウマが合わないところがあったようで、息子は父親にはなついていない。障害者施設に入所させる予定だが、空きが無く、その間暮らすことになる。父親は自動車整備工場を営んでおり、息子もそこで働かせることにする。知的障害のために様々な騒動を起こすが、基本的にはお互いが慣れておらず、一見関係はさらに悪化する。そういう中で父親は人工透析を受けるようになり、腎臓移植を希望するのだったが……。
 一般的にはこういう描き方をする方が分かりやすいということなのかもしれないが、それなりに障害に対する偏見も散見されるし、基本的には障害が何であるのかを制作側が理解しているとは考えにくい演出だ。父親の病気に対する認識も甘いものがあり、どうしてこうなってしまうのか理解に苦しむ。まあ、ダメな映画の典型という感じだけど、これがイスラエルでは数々の賞を取った作品なんだそうだ。さらにこれを日本に配給しようと考えた人がいたから僕も観ることができたわけで、まったく残念なことになってしまった。いちおう最終的には衝撃的ではあるんだけれど、これって愛に関する話として、さて、どうしたものなんだろう。親子の関係は難しいものがあるにせよ、分かち合えるものがあるということを言いたいのかもしれないが、でも結末を考えると、何もかも手遅れである。さらに最悪と考えてもいいのではないか。監督さんたちは、そうは考えていない様子があるが、受ける側としては、そう考えてしまうことも想定しなければならないのではないか。少なくとも僕にとってはこれでは台無しだったな、という印象しか受けず、さらに障害についても、浅はかさが目立っていて残念に思うのだった。見た感じではそういうこともあるのかもしれないが、やっぱりそれは偏見に過ぎないのである。もう少し勉強しなさい、というしかないではないか。
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