カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

エリックとは何者だ   エリック

2021-09-17 | 読書

エリック/ショーン・タン著(河出書房新社)

 絵本。ショーン・タンの絵本なのにずいぶん安いな、と思ったら、文庫本より小さい絵本だった。訳は岸本佐和子。
 以前に交換留学生のエリックを受け入れることになったいきさつを、物語にしている。エリックは本人が愛称のように言っていた名前で、本当のところはどのように発音していいか分からない長い難解な名前らしい。何しろ外国人だし。しかしエリックは台所の戸棚の中で勉強して眠るのだった。母は、それをお国柄だという。絵本だからエリックの姿も描かれているが、それはなんだかよく分からない小さな黒い小動物のようなものである。そうして控えめなエリックは、知らないことばかり質問してきたり、好奇心は旺盛だが、地面に落ちているような小さなものに特に興味を持っている様子だ。そうしてある日、手をふって、ごきげんようと言って出ていったきり、二度と帰ってこなくなるのだった。
 まあほとんどそれだけの話なんだが、妙な余韻を残して、そうしてやっぱりその不思議さが面白いところである。絵本が子供のためだけに描かれるものだとは決まっていないが、子供がこれを読んだとして、どういう意味なのかと僕に質問されたとすると、たぶんものすごく困ることになると思う。何しろ僕にもこれはどういう意味なのかさっぱり分からないからだ。まあ、絵も変だし、これでいいじゃないの、というしかないじゃないか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする