カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

お話はいいが、映画の出来はどうかな   アイネクライネナハトムジーク

2021-09-20 | 映画

アイネクライネナハトムジーク/今泉力哉監督

 電話で話をしているだけの相手とだんだんと恋に発展していくことになるが、その男は仕事が忙しくなるのでしばらく電話できなくなるという。男の姉の話によると、話題になっているボクシングのヘビー級の試合で日本人選手の男が勝てば、会おうと思っているらしいということだった。女はそんな他力本願なことでいいのか、と腹を立てるのだったが……。
 訳あって街頭アンケートをしているのだが、誰も答えてくれる人がいない。そういう中一人の通りがかりの可愛い女性が、アンケートに応じてくれる。その手にはボールペンの文字で「シャンプー」と書いてあるのだった。
 いわゆる群像劇で、その他にもこの登場人物に絡む人々の、それぞれの事情による物語がある。原作は伊坂幸太郎で、元は短編集なのだという。それぞれのエピソードには、しっかりと伏線の張ってある小さなトリックが隠されている。時間軸もあるが、そういう小技にあっと驚きながらそれぞれのエピソードなり物語の展開を楽しめるようになっている。演出は、なんとなくだらだらした感じだけれど、そういうのが脱力系の面白さになっている可能性はある。
 物語の軸になっているのは、三浦春馬と多部未華子との関係ではあるが、二度目の出会いの割に、その後はどうなんだろうか。むしろ三浦の友人の娘が高校生になってからのエピソードの方が、人生の機微を感じさせられる。まあ、色々楽しめるんで、それでいいのだけれど……。
 舞台が仙台になっていて、ああ、そういえば駅前はこんな感じだったな、と懐かしい。ボクシングのヘビー級で日本人がチャンピオンになるなんていう設定が、かなりミラクルで、さらに10年越しに試合をまたやるなんてことも、多重にミラクルだ。そういう魔法のかかる街が、仙台なんだろうか(単に作者が仙台出身だからのようだけど)。
 この群像劇で一つだけ最後まで納得できなかったのは、学生時代のマドンナと結婚して自由にしている主人公のわがままな友人のエピソードだったかもしれない。そもそも子供ができる関係になったのがどうしてなのか納得できなかったのに、それが理由ってないんじゃないでしょうか。まあ、そこらあたりは確認してみてください。その娘と彼氏のエピソードはいい話です。やっぱり恋愛は若いからいいってのはあるようで……。
コメント
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