カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ゆるくて適度にシュールな群像劇   アスファルト

2021-09-02 | 映画

アスファルト/サミュエル・ベンシェトリ監督

 フランスにある団地での出来事を群像劇的に表している。それぞれ関連があるようでいて、そうでもない緩さがある。でもまあ、普通は低所得者向けの団地のありようがある中で、ちょっと変わった人々が、ちょっと変わった体験をするということなのかもしれない。
 団地のエレベータが壊れたため、住人組合でお金を出し合って新たなエレベータを設置することになる。しかし二階にするんでいる男はお金を出さない条件として、絶対にエレベータを使わないと約束させられる。そうしたら事故で足を怪我して車椅子の生活になってしまう。住人に見つからないようにエレベータを使用できるのは深夜のみ。そうして外出すると夜勤の休み時間に煙草を吸っている妙齢の女性と出会うのだった。
 鍵っ子の高校生(美少年)の部屋の前に、売れなくなった女優が越してくる。彼女はエレベータのドアの扱いが下手だったり、鍵を部屋の中に入れたまま外出したりする。その都度彼女を何らかの方法で助けるが、お礼すら言われない。しかし機会があって、彼女の過去の映像を一緒に見て、本当に女優だったことと、過去の映像の彼女がなかなか可愛いことで興味が深まるのだった。
 NASAの何らかの不調で、宇宙からの帰還の計算が狂ったのか、フランスの団地の屋上に着陸してしまった宇宙飛行士が、非公式のまま団地のおばあさんの部屋に居候することになる。そうしておばあさんと言葉が通じないまでも交流が生まれていくのだった。
 イザベル・ユペールが出演していることで、日本でも公開されることになったのだろう。それ以外では、特段派手なこともないし、製作費のかかった作品とも思えず、敬遠される映画のようにも思える(日本の配給会社的に)。しかしながらそのおかげで、この不思議な感覚の映画が日本でも観られるようになったわけで、良かったといえばよかったのかもしれない。実のところその不思議さとフランスらしさが伝わってきて、さすがに愛の国だな、という感じだろうか。そして適度にいい加減である。少なくともアメリカのNASAが、こんなことするはずないじゃないか。
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