陽だまりの彼女/三木孝浩監督
仕事の相手先の担当者が、中学生時代の思い出の転校生だった。当時から恋心のようなものはあったが、二人の距離は急速に近づき、付き合うようになっていく。しかし彼女には、重大な秘密を抱えていたのだった。
一応普通の恋愛劇っぽいのだが、しかし内容はファンタジーというかSFというか。僕は知らずに見たので、ええっそれってあり、とつぶやいてしまった。そんな話のような仕掛けがあるんならこの展開は別だけどな、と思ったらそのまんまだったので、却ってあり得ないことのように考えてしまったのかもしれない。そういう意味ではありえないほどベタな物語の仕組みといえる。そもそも上野樹里って女優さんが天然系の人で、ちょっと人間離れしているところはある。しかしそれでいいのだと言われると、ちょっと考えてしまうところがあるのだが……。
そういうわけで、あんまりまじめに考えてもいけないのかもしれない。そういう仕掛けなんだから、と自分に言い聞かせる必要もあるかもしれない。また、主人公の男性が松本潤で、この役が引っ込み思案のいけてないはずの男性役で、これもがまた、今度は全然合ってない感じなのである。いや、演技としてはそういう感じになっているんだが、はっきり言って、そういうキャラじゃないでしょ、って突っ込みたくなる感じだろうか。ある意味では貴重なのかもしれないですけど。
なんとなく恋の邪魔者も存在するが、それほどでもない。相手の方が有利な立場にありながら、それも活かせている感じではないし、滑ってもいる。だいたいこっちが有利なんだから、余裕ありってところだろう。怖いお父さんだって、そういう雰囲気はあっても、障害になってない。むしろ心配して応援してくれそうだし。
もっともそういうスリルを味わう作品ではないようで、本当は悲しみをかみしめる物語なのだろう。だからこそ、本当はそういう駆け引きや困難さが際立つはずであったが、しかし相手が相手なんで、これでよかったのでしょうね。はい。