本屋でお腹が痛くなる人、便意を催す人というのは相当いるらしいことはそれなりに有名なことである。そのような疑問を最初に投げかけた人といわれることから「青木まりこ現象」と命名もされている。結論から言って理由はよくわかっていないが、印刷のインクのにおいが何らかの腸の動きを活発化させるのではないかというのが、少し有力視されている説である。他には本を並べている縦の配列模様が関係あるのではないかというのもある。まったく便意など催さないという人もいるので、人間共通の悩みというわけではないし、そもそも本好きは本屋に長時間いるので、単にそういうタイミングに見舞われる機会が多いせいだという話もある。僕の場合をかんがみても、必ずお腹がごろごろしだすわけではないから、ある種の前提が合致しない限り、やはり便意というのは発起しないのではあるまいか。
もう一つ疑いがあるのは、最近はいくら本屋に行ったところで、あまりその場で買うことは少なくなった。それでこの便意問題も比例して少なくなっているように思われることだ。本屋で本を立ち読みなどして確認するわけだが、注文は帰ってからネットをクリックする。要するに荷物になるのが嫌なのだが、先日の出張中、もうそろそろ手持ちの本を読み終わるので、買うつもりで立ち読みしていたら、久しぶりに便意が来た。あれとこれと、そうしてほかに何を買おうかという気持ちと、そのような場面の過去の記憶がよみがえり、以前の場合もどの本を買うべきか逡巡していた時にやはりこのような時が来たのではなかったか、と思ったのだ。
しかしながら本屋以外の買い物で、何を買うか悩んだからと言って便意の来る覚えは少ない。やはり思い違いなのだろうか。そこのあたりを研究してくれる人が出てくると本当に助かると思います。