カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

アイスコーヒーがクール?

2015-05-16 | culture

 鴻上さんの本の紹介を読んだ。彼は長らく(もう10年)NHKのクール・ジャパンの司会をしている。クール・ジャパンは外国人が見た日本の姿ということでなかなか面白いのだが、まあ、日本人の自尊心をくすぐるものも確かにあろうが、単純に変な日本を楽しむということの方が主眼にあるかもしれない。そうして日本人自身が自分たちを不思議がるということに気づかされるわけだ。
 その鴻上さんが書いているが、日本のクールは何?というアンケートを外国人にすると、多くの回答は「ママチャリ」「洗浄器付き便座」「アイスコーヒー」ということになるそうだ。ね、ちょっとびっくりでしょ。
 中でも一番驚くのはアイスコーヒーではないだろうか。今では某コーヒーチェーン店が外国でもアイスコーヒーを出すようになっているらしいが、もとはといえば、これは日本発のものらしい。もちろん厳密には、もともとコーヒーを歴史的に先に飲んでいた諸外国のルーツというものはあるのかもしれないが、少なくとも一般的に普及した飲み物として庶民がアイスコーヒーを飲んでいる文化は日本のものであるといえるだろう。そうして熱いコーヒーしか知らない外国人が日本に来てアイスコーヒーを目にして驚き、飲んで感激するという図式だ。日本人の柔軟さに感心し、そうしてすっかりファンになってしまう。その象徴的なものとして、やはり多くの外国人が「日本のアイスコーヒー」をクールと認めるということのようだ。もちろんそんなことは日本人は微塵も知りはしないのだけれど。
 しかしながら考えてみると、これは日本が高温多湿で過ごしにくいからこそ、普通に考え出されたことだろう。さらに僕も個人的に記憶をたどると、子供のころに緑茶やコーヒーを冷やして飲むは、まだまだ一般的ではなかった。冷やすのは麦茶であって、緑茶を冷やすなんて、という反応がまず最初にあったように思う。さらにコーヒーを冷やして飲むCMが流れて、その後に徐々にそういう文化が始まった感じもする。それからは早くて、喫茶店などでは「レイコー」と注文するサラリーマンなどが登場した。まあ、それは大人たちであって、僕らが小学生の高学年になって、やっと認知できる存在になったのではなかろうか。まあ、研究している人も必ずいるだろうから、検証はその人たちに譲るが、まあ、もともと日本人の気質だとかいうよりも、かなり文化的に緩いからこそ成り立ちえた、近代日本の変遷ということになるのかもしれない。
 でもまあ、文化の伝播というのはあんがい遅いもので、いまだに日本のクールとしてアイスコーヒーが認知される程度には、日本特有に珍しいものであるというのは、面白いことである。個人個人が、これはいいことだと思っても、要するにこれを安易に商品化しない、もしくはできない会社というのが、外国には多いということだ。日本の商品の多様性というのは、外国人には脅威に映るらしいけれど、結局生き残るものは少ない。そうして生き残って普及したアイスコーヒーだからこそ、外国にも十分通用する力を持っているのではないだろうか。
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