カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

かなり変なバイオレンス映画  スーパー!

2013-06-25 | 映画

スーパー!/ジェームズ・ガン監督

 この手のヒーローものというのは、近年よく作られるようになった。中にはデフェンドーみたいに大変に優れたものもあって、やはり一定の理解と支持を得ているといえるだろう。この作品はデフェンドーみたいにリアルではないが、ちょっとだけ近い。その上でキック・アスのような激しい暴力も加味されているという感じ。というか、行き過ぎではあるだろう。まあ、そういうところが楽しいといえばそうなのだが、悪趣味と言えばそうである。ショックを受けつつも考えさせられる訳で、そもそもの善行というのはまったく難しい問題なのである。
 世の中には悪い人間がいることは確かだ。いわゆるヤクザ的に怖くて迷惑な人を何とかしたいということもあるし、この映画のエピソードにもあるように、列に割り込むような人間も何とかしたい。非常に不快だが、やはりあちらの国でも、皆黙って我慢しているような現実があるのだろう。注意して懲らしめてやりたいが、関わりを持つのも面倒そうだ。さらにはとばっちりだって受けかねない。悪のほとんどはそのようにやり過ごされることが多くなり、諦められていくのかもしれない。道徳問題として学校教育を子供時代に受けたとしても、大人社会の現実として学ぶことは、一定の悪さというのはのさばるままであるという感じかもしれない。
 映画としてはこの問題に対処する方法を提示しているとも言える。ヒーローになることで社会提起してより良い社会にして行くということも言えるかもしれない。警察以外のヒーローが取り締まることで、ムーブメントが起こるかもしれない。現実には痛い人間が的を外しながらやるにしても、大義名分としては理解できることである。
 そうして、主人公の行いの基本には、自分のパートナーへの深い愛という側面もある。ある意味で崇高なところに精神を持っているともいえて、しかしかなり風変りだ。SFチックな物語になりそうになりながら、精神世界の破綻したものにもなりそうになる。正義と暴力のバランスを崩して、痛いしっぺ返しも食らうのである。
 とにかく変なバイオレンス映画なのだが、出来が悪い訳ではない。明らかに低予算でありながら、かなりいい感じの仕上がりにもなっている。もっとも嫌悪を覚える人の方が多いだろうけれど…。
コメント
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